【ビジネス】証券会社のシステム
今日は外資系トレーディングシステム会社の友人に呼ばれてミーティング。
目的は今後、日系証券向けにシステム開発するにあたって意見を聞きたいということだった。グローバルに開発をしている同社にとって、日系証券向けに要求される項目は恐ろしく特殊で、しかもごく限られたものになるため、独自のカスタマイズをするのも費用対効果を考えると難しい。
古くからの友人で、元々は地場証券向けトレーディングシステムの会社に勤めていた友人。っつーか【回想録】で出てきたトレーディングシステム会社のOさんなんだけど…(^_^;)
日系地場証券を支えているシステム環境というのは世界的に見ても恐ろしく特殊。
例えばバックオフィスシステム。
取引所が新しい先物を上場するといったとき、その銘柄に対応するのに平気で一社あたり1千万とか2千万とかふっかけてくる。
銘柄一つ追加するだけなのに…。
それが原因で地場証券の多くが先物新商品には手を出さない。
結果として、新しいものを取引所が出しても、外資系や大手のマーケットメーカーの注文だけになり、売り買いが離れてしまい、結果商いが盛り上がらず、立ち上がりからコケてしまう。
地場証券向けトレーディングシステムでも、今回のJ-GATE対応費用として顧客から数百万~一千万円を徴求したり、イブニングや夜間取引への対応費用として月々百万円単位のコストを徴求したりしている。
運用規模の小さい地場証券にとって、このコストは大きな障害となる。特にデリバティブ運用者の数は各社でも多くはないことから、ごく限られた一部の運用者のために対応費用がかかることになり、会社によってはやらないという選択をするところが多くなる。
しかし、取引所が24時間化を目指し、海外の運用者やシステム・トレーディングがこれだけ入り込んでくる中で、いつまで同じところにとどまっていられると思っているのだろう?
外資系や大手、銀行系のプロップはすでにもっとグローバルに戦っている。そしてヘッジファンドももちろんそうだ。さらに個人投資家ですら、イブニングや夜間という時間帯、海外株式市場などもトライしている人は多い。日系地場証券だけがいつまでも同じところから動こうとしない。そしてそれを取り巻くシステム会社が足かせになっている。
外資系証券では自前で開発できる体制があるし、イブニングや夜間取引も事前に登録してあるトレーダーは自由にやっている(携帯からでも発注可)。同じ日本なのに。
地場証券の経営者の方や、コンプライアンス、リスク管理担当者の方に問いたい。
『本当にそこまでの管理が必要なのですか?』
『そうでなければいけない』という先入観は捨て、ちょっと外の世界を見てみると、まったく違うものが見えてくる。
肝心なことは本当にリスク管理、コンプライアンス管理で必要なものはなんなのか?その要件をどうすれば満たせるのか?
もっと開かれた世界を見渡してみれば、自分たちがどれほど狭い世界、知識の中でやっていたか驚くはず。
ディーリングを運用をビジネスの柱と考えるなら、戦っていくための足かせが、そんなつまらないところにあることに疑問を持たないのだろうか?そしてそれを変えようと思わないのだろうか?
運用者側はどうせ言っても無駄とあきらめ半分の声が多い。
必要なら声をあげなければいけないのは分かっていても、運用以外のそんな面倒臭いところにそこまで労力割いてられないから。
今は相場が回復してきたから、この2~3カ月で一息ついているかもしれない。ただ中長期的な展望にたって戦える環境・組織作りをしておかなければ、またしばらくすれば撤退に追い込まれるところも出てくるだろう。
とりあえずシステム会社のみなさん。目先のお金が欲しいのは分かりますが、顧客がそんな金かかるならやらない…なんて選択をしなければいけないような状態が続くのはお互いにとって不幸なはず。
もう少し顧客のビジネスを支えていくという姿勢で考えてはもらえないでしょうか?ねぇ(^_^;)