FC2ブログ

【回想録】壊れ始めた夢…3

そしてさらなる追い打ちが続く…。



ある日突然投資家から一通のメールが。



『一人一億円以上、もしくは流動資産の7割(後に8割に引き上げられる)』を運用資産並びに資本金に差し入れること。それが出来ない場合は解散も考えてもらう。』



と。



さすがに参った。

各自多少なりとも一定の資金を運用資産には入れていたが、その条件が突然跳ね上がった。

そして、前回のようなことをされて資本金が一気に目減りした状態で、いずれ資本がなくなるから差し入れろという…。



応じるのは難しかった。

運用者である以上、自分のファンドに一定額を入れるのは常識。

自信があるならそうすべきだし、投資家がチェックする項目の一つでもある。

ある一面においては『正論』なのだが…。



これまでの経緯を考えるとヘタに応じれば、個々の資産をいいように搾取されるリスクも出てくる。

ビジネス上の約束を一方的に変えられたり、後から条件を変えられるような状態で、そんなリスクは取れない。



かなり悩んだ。

ファンドへの思いはとても強かったから、他の投資家に支援してもらってこの危機を乗り越えられないか少しだけ模索もした。



しかし、結局支援を得られたからといって、こういう状況ではかえってその人たちに迷惑をかけてしまう。

3人で相談し、解散を受け入れる…という選択をせざるをえなかった。



いざそれを申し出たら



『自分が(資本金を)損をしている状態でやめるのは納得いかない。辞めさせない。』



と言われ、かなりのすったもんだの末、結局我々全員が退任するということで決着をみた。





正直きつかった…。

必死の思いで様々な問題を乗り越えてようやく設立にこぎつけたこのファンド。

仲間の一人を失い、それでも前に進もうと一歩ずつ進んできた。

昼も出ず、朝まで一人の部屋で戦いながら、何とか乗り越えようと相場と戦い続けた…。

この『ファンド』を守りたかったから。

しかし、思わぬところでつまづき、そして追いこまれた。



簡単に『辞める』という決断をしたわけではない。

悔し涙も散々流した。

しかし、短い時間の中で決断を迫られ、そして選択肢はあまりにも限られていた。



今、自分は仕事を離れて一人日々を過ごしている。

本音を言えば、しばらく休みたい。

気力も使い果たした…そう思っていた。



辞めたときは仲間がいたから、みんなでいける場所を探すことは何とかしなければと思っていたが、一人の仲間は事情があって転職を急ぎ決めた。

しばらく休みでいいかな…そんな風に思い始めていた。



でも、辞めることをみんなに伝えたとき、本当に多くの人が温かい声をかけてくれ、心配もしてくれ、そして期待もしてくれた。



『お疲れ様。』

『早くマーケットに戻ってこいよ!』

『待ってるよ!』

『頑張れよ!』

etc…。



これほど人に支えられて生きていることを実感したことはないかもしれない。

しばらく立ち上がる気力もないと感じていたのに…みんなの声や励ましが力を与えてくれた。

今の自分のどこから湧いてくるのか不思議なほどに。



元々、十年かかると思って目指し始めた道。

間違いも失敗も犯した。

いくつもの反省・後悔もある。

謝らなければならない人たちもいる。



でもまだ自分にこうして期待してくれる人たちがいる。

応援してくれる人たちがいる。



前に進もうと思う。

自分に期待してくれる人たちがいくつかの選択肢を与えてくれた。

どの道を選択するのがベストなのか分からないけど、その期待に応えたい。

今は心からそう思う。





そしてみんなに…『ありがとう』

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR