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【回想録】動き始めた夢…4

2ヶ月目が終わりにさしかかった頃。

投資家からきた話は単純だった。



ここまでの損益状況を見る限り、3ヶ月目も同じような状況が続くようなら撤退も考えなければならない。



当初の約束は1人5000万円までの損失限度。

そして3人で1億5000万円まで、また一人増員枠も入れて2億円までは許容するというものだった。



一番損が出ているプレーヤーでも▲2000万円強。

まだ許容出来るレベルのはずだった…。



しかし、ファンドにとって投資家は神様。

そしてアクシアはその投資家の資金がほとんどであり、彼が手を引けばそれでおしまいになりかねないのも現実だった。



悩んだ…。

仲間にどう言えばいいのか?

どうすればいいのか?



出来るならギリギリまで任せたい。

しかし、それももう限界だった。

投資家が最初に約束した損失限度ラインを無視したからといって、いくら文句を言っても立場が弱いのはこちらだ。



ファンドの損=投資家の損



迷惑をかけているのはこちらなのだから…。



とりあえず1日の損失限度を抑えなければならない。

損が出ているプレーヤーも日々の勝率は悪くない。

ドカンと出る損失を抑制できれば、あとはカバーできるかもしれない。



一流のプレーヤーに対して、言うべきことではないと重々承知のうえで、彼にそのことを話した。

彼は受け入れてくれたものの、モチベーションの低下は明らかに感じられた。



3ヶ月目に入ってすぐ、彼は予定していた夏休みを取ることになった。

1週間の休み。



その間に1円でも多く取り返したい。

自分はビジネス面をいったん棚上げし(まぁ、損が出ている状態でビジネスもしようがなかったが…)、運用に全力を尽くすことにした。



昼も出ず、引け後はすぐに自宅に帰り、イブニングから朝までトレード。

1日のうち15~16時間は相場に張り付いていた。



飲みの誘いもほとんど断り、背水の陣で臨んだ。



大きな玉で丁半博打は出来ない。

ここで自分までコケればそれこそ全ては水泡に帰す。



負けられない。

一発逆転も狙えない。

コツコツと地道に積み上げながら、生活のほとんどをマーケットに振り向けた。



そしてその成果は少しずつ上がり始めた。

彼の休みの間に800万ぐらいは取り返せた。

少しずつ何とかなるのではないか…と思い始めていた頃。

彼は帰ってきた。



しかし、彼から出た言葉は



『損失の責任を取ってやめたい。』



という一言だった。

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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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