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【ビジネス】ヘッジファンドの運用について

先日の山和証券との共同プロジェクト、その人材募集に沢山の方にご興味を持っていただき、早速応募などもいただいているとのこと、ありがとうございます。

「ヘッジファンド」というとどんなイメージを持っていますか?

相場でなんか仕掛けたり、投機的なことやったり、なんか得体の知れない相場を動かすロクでもない存在…と最悪のイメージ持たれている人もいるかもしれません。
何か相場で説明のつきづらい動きが起きると「ヘッジファンドのせい」で片づけてしまう相場解説者とかも少なくないですからねw
相場が急落すると、「先物での売り仕掛け」とか、「裁定解消売りで下落」とかで片づけてしまうのと同じですね。裁定解消売り出すときは、現物バスケットは売るけれど、同じ金額の先物買ってるんですけど…ね。このコメント見る度に不思議に思っていました。。。言うなら「先物に売りが出てきていて(理論価格を下回る状態が継続したため)裁定解消売りを誘発した」だろうに。

話を戻します…
「ヘッジファンド」といっても、その運用手法は様々です。
ある程度、共通しているのは何らかの形で「ヘッジ」をかけながら、「安定したリターン」を追求するファンドというところでしょうか。
ロングオンリー(買いのみ)のファンドは日本の投資信託には多く見られます。指数に連動するように運用する「パッシブ運用」、企業分析やリサーチなどを元により高いリターンを求める「アクティブ運用」など様々です。

ただロングオンリーであれば、下げ相場ではどうしても損失が出る局面があります。それでもアクティブ運用においては、ベンチマークとしている指数などに比べて下落が限定的であれば相対的に優秀と評価されます。パッシブ運用は指数に連動するように運用するのが基本なので、指数が下がった分だけしっかり連動して下がるはずです。これらも重要な資産運用のアプローチです。

一方で、ヘッジファンドでは、そういった局面でもリターンを出せるようにショート(売り)も組み合わせながらリターンを上げることを目指していきます。ただ特徴的な点としては、ヘッジしてリスクを抑制する半面、「レバレッジ」をある程度使うという点もあります。

広義のヘッジファンドでは、投資対象商品も多岐に渡りますし、運用戦略やリスクの取り方、レバレッジのかけ方など、それぞれ違いがあります。
ファンドリサーチの会社の方とも何度かミーティングしてきましたし、彼らのデータベースなども拝見してきましたが、ものすごく多様性に富んだ運用戦略がそこにはありました。

日本株ヘッジファンドと括られると、投資対象商品が株式であれば、多くのヘッジファンドが「エクイティ・ロングショート」と呼ばれる運用手法だと思います。
残念ながら、日本発のグローバルマクロやHFT、CTAはそれほど多くありません。ここしばらくで増えてきていたのは「PE(プライベートエクイティ)ファンド」とかでしょうか。シンガポール政府もここ数年はPEファンドの誘致に力を入れていたように聞いています。

アジアのヘッジファンドの多くが、香港やシンガポール、日本に運用拠点を置き、ファンドの運用を行っています。
もちろんどの運用会社もそれぞれの国の制度に従い、資産運用業の認可またはライセンスを受けて、その監督下で運用業を営んでいます。

投資勧誘行為などの営業行為などは法律に従って定められているため、そのライセンスによってどの地域、どういった投資家層の投資を受けていい、受けてはいけないなども定められています。

ヘッジファンドの場合は、多くが機関投資家やファンドオブファンズ、ファミリーオフィス(富裕層)などに投資をしてもらって運用を行っています。個人投資家については、投資家保護の観点からどこの国でも非常に厳しい基準と制約があり、事務処理やオペレーションの負荷も高くなり、かなりの人員を整え、その要件を満たさなければならないため、一般の個人投資家から直接投資を受けているヘッジファンドはあまり聞いたことがありません。

現実的に、日本株ヘッジファンドの多くは、それほど規模も大きくはなく、人員も数名でやっているようなところが多いんです。かなり大きいところでも数十人規模というところでしょうか。
いつの日か、ヘッジファンド投資などももっと一般化・大衆化して欲しいな、とは願っていますし、そういった取り組みをされている会社も増えてきてはいますが、まだまだ時間がかかると思います。



Yamawa Asset Managementにおいては、山和証券ディーリング部で運用実績を上げてきた運用者によって運用されるファンドであるため、同ディーリング部で運用可能な手法を土台にしています。基本的な運用戦略は「日本株ロングショート戦略」です。

個人的には、マーケットへのアプローチ、稼ぎ方は人それぞれ、その個性に合った戦い方を身につければいいと考えています。そのため、これまでディーリング部長だった時期に採用した人材には、短期売買から、派生商品中心の運用、ロングショートなどそれぞれ本人が望む道を尊重していました。

個人であれば、個人の資産状況に応じた戦い方。リスク許容度やどの程度のリターンを求めるかによっても投資対象ですら柔軟に選択していけばいい。一番自由度があるのが個人投資家でしょう(なんといっても自分のお金ですから)。

(プロップ・トレーダー)ディーラーならば、その会社で取引可能な商品、監督・管理の下で、自分に合っている戦い方を目指せばいい。自分が所属する会社の許容度や対応力が限界点にはなりますが、一方で会社が許容してくれれば、その範囲内では様々な戦い方を選べます。

ただヘッジファンドの運用においては、運用する資産は投資家のものです。投資していただくにあたっては、PPM(目論見書)を投資家に交付し、PM(運用者)はそれに則った運用を行う必要があります。PMにとっても運用資産規模(キャパシティ)をより大きくできないと、こちらの世界に来てもあまりハッピーではないでしょう。また運用の再現性や安定性、様々なものが求められてきます。

今回、山和証券との共同プロジェクトによる人材育成については、この運用戦略に基づいた運用をベースに取り組んでもらうことになります。
「なんか窮屈だな」と感じてしまうかもしれませんが、「ロングショート」といっても実に様々だし、運用者の個性や経歴によっても結構な違いが出てきます。アナリスト出身の人ならリサーチ力にアルファを求める場合もあるし、トレーディングベースだったり、データに基づくアプローチであったり、またモメンタムを取りにいく人もいれば、リバーサルを得意とする人もいる。ショート(売り)にアルファを求める人もいれば、ショートはインデックスで構成し、ロングサイドのアルファを追求する人もいる。

実際に共通したルールの下でロングショート運用をやっていても、個々のPMの個性やリスクリターンのプロファイルには結構な違いが出たりします。
その「違い」がとても大切だと自分は考えています。
それぞれのアプローチにおいて優秀な人材が揃い、違いがあること(相関(correlation)が低い)。これがあることで、誰かが苦戦する局面でも、そこをカバーし、チーム(全体)としてのリターンが安定化していく。
だから「違い」や「個性」は尊重し、それを守っていきたいと考えています。


今回あくまでも人材採用・育成において主体となるのは山和証券ディーリング部です(私自身はYamawa Asset Managementを立ち上げる前はここで部長の立場にありました)。

山和証券採用情報
https://www.yamawa-sec.co.jp/recruit/dealing/application_requirements/

かつてディーリング業界が花形と呼ばれた時代であれば、「ディーラー募集」というだけでもワクワクしてチャレンジしてくれる若い人材が沢山いました。
ただ地場証券のディーリング業界は、頑張っている会社はまだいくつかはありますが、現実を直視したとき、その魅力も大きく損なわれてきてしまったのは認めざるをえません。「古き良き時代」を忘れられず、「変わりゆく時代」に必要とされる存在になる取り組みがどこか足りなかったのだろうと思います。

どんな組織、会社、業界でも「人を育てる」という取り組みは重要です。例えばスポーツの世界でも、ある世代にチームを引っ張ってくれたエースがいても、その人が抜けたら弱体化してしまうだけのチームではなく、新しい世代のエースが生まれてくれるようなチームこそが本当に強いチームなのだと思うのです。

自分もかつて現役だった時代があります。当時の友人たちには業界でもトップクラスの実績を誇ったディーラー達が何人もいました。自分の可能性に貪欲な彼らの多くが、よりいい環境や条件を求めて他社に移籍したり、独立してヘッジファンドを立ち上げたり、大手プラットフォームに引き抜かれたりしました。自分自身でもそういう挑戦をしてきました。
その人が抜けた後、あっという間に弱体化してしまったディーリング部、廃部に追い込まれたディーリング部もいくつも見てきました。
でも力のある人が、自分の可能性を追い求めたり、次の選択をすることを妨げることはできません。個人の自由や意思は組織に縛られるべきものではないのですから。

そして一人の人材が、そこまで成長し、成功するためには、それだけの高い目標やモチベーションも必要です。今回は、その具体的な目標の一つを掲げたに過ぎません。
そして組織としては一人の人材に依存せず、目指す道はそれぞれであっても、常に所属するディーラーそれぞれの可能性を最大化する努力を続け、次世代の育成を継続させることが大事なのだと考えています。

人を育てるためには、一定のリスクやコストもかかります。目先の損得ばかりを気にして、中長期的な視点を持てずにいたら、取り組むことは難しいでしょう。それでも持続性のある組織を作っていくためには最も大切なことだと自分は考えています。そして一人でも成功例が生まれてくれれば、会社にとっては利益は十分に残るはずです。実際に現在の収益の柱になってくれているディーラーには、自分が部長になったときに取り組み始めた育成プログラムの下で、未経験者から取り組んでくれた人材も複数います。

個人が自己実現を目指し、夢を叶えるために努力をする。企業はその実現をサポートし、その成長とともに発展する。個人の成長や成功があってこそ、組織としても発展しえる。そしてその先に「資産運用の担い手となる人材を輩出していく」という形で業界の発展にも資することが出来たとき、改めて必要とされる存在として認知してもらえたらと願っています。

プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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