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【回想録】混迷のとき…8

とりあえず入社後一カ月でテスト売買を開始出来る状況を整えた。
そして12月入ってすぐに売買開始。

不慣れかつ使い勝手の悪い取引所端末での売買。

現物株は東証会員権(入社後、半年で取りにいくと聞いていた)がなく、すぐには出来る状況ではなかった。もちろんTOPIX先物も同様。

つまり売買できるのは日経平均先物だけ。
オプションもやろうと思えば出来るが、管理体制が追いつかない。

正直、かなり苦労することを覚悟していた。

最悪、スタート月は▲1000万ぐらいはあるかもしれない。
元々、苦手なメジャーSQ月でもあったし…。

ただ環境に慣れれば十分にリカバリー出来るだろう。
出来ればチャラ以上で終わって、環境への適応も出来れば十分。

そんなつもりで売買を開始した。

ところが…

ディーリングをする場所がまず最悪だった。
営業部隊がいるフロアの片隅に間仕切りだけした状態。
営業マンの怒鳴り声、罵声がバンバン聞こえてくる。
ディーリングやるのにこれ以上はないという最悪の環境。

しかもたった一人のディーラー。

その会社は営業で成り立っている。
200名弱の従業員のうち、かなりの部分が営業。
また他の部署も含めて

『お前損だしたら分かってるんだろうな』

的な雰囲気がバンバン伝わってきた。
ディーラーという人種を敵視してる…そんな印象すらあった。

凄まじいプレッシャーだった。
これまで相当な修羅場をくぐり抜け、それなりにプレッシャーには強いつもりだったが、そんなものは簡単にぶち壊された。

相場で感じるプレッシャーとは異質のプレッシャー。

そんな中でもやるしかない。
逃げ道はなかったし、作る気もなかった。

ただこの異様なほど敵視される雰囲気は少しでも変えておかなければ。
自分は当初約束されていた成功報酬を返上した。
部として貢献できるまでいらないと。

それを自分から申し出たときに、鬼軍曹の態度が少し変わったのを感じた。

そして運用開始前に直属の上司である本部長に
自分の考えを伝えた。

『負けるつもりはないが、トレーディング環境や相場状況を考えるとスタートは苦労する可能性が高い。最悪▲1000万ぐらいは損が出る場合もありえる。ただロット(金額)を落としすぎれば戻すのは容易ではなくなる。だからそこまでは外野の声を抑えて欲しい。3ヵ月以内にはそれなりの数字を作ってみせるから。』

と。

それは自分にとって宣言でもあり、いわば公約のつもりだった。
最悪の環境だったが、

『やってみせる。』

強い覚悟でそのプレッシャーと戦う決意をした。

ところが…



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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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