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【相場雑感】阪神淡路大震災

1995年の今日、阪神淡路大震災が起きた。

 

自分はその頃、まだ新人だった。
それでもオプションのトレードを任せてもらっていた。

 

 

基本はセルボラ(ガンマショート)。
コールとプットを両方売り、デルタはフラット(相場の方向性では勝負しない)。
つまり、相場の変動がネガティブに働くポジション。

 

 

当時、市場では不可思議な現象が生じていた。
TOPIXが下落しても日経平均株価だけが下がらないのだ。
下げかけてもSGXで妙に大口の買いが入る。

 

その手口はベアリングズ証券。

 

みんな不思議がっていたし、確かに違和感があった。
個別株の動きをみても相場は下げたがっているのに、妙にSGX225先物だけを買ってくる。

 

 

明らかにおかしい。
裁定取引のチャンスでもあったが、NTショート(明らかに割高な日経平均先物売りTOPIX買い)をする参加者も多かった。

 

 

おかしい…みんなそう思っているのだが、日経平均先物だけが妙に下がらない。

 

 

しかし、ある朝テレビをつけるとニュースでは信じられない光景が映し出されていた。

 

 

崩壊したビル。
崩れ落ちた高速道路。
とても日本の光景とは思えなかった。

 

 

『阪神淡路大震災』

 

 

恐ろしい光景だった。
テレビに映し出された光景が目に焼きつく。

 

現地周辺にはそれほど知り合いはいなかったが、同期入社の友人などがいて心配だった。

状況を十分に確認しきれないまま、急いで会社に向かう。

 

会社に向かう電車の中で、自分の頭の中はこの相場をどう乗り切るかにあった。若手ということもあって、それほど大きなポジションではなかったが、状況次第では数百万の損失が出てもおかしくはない。当時の自分にとっては大きな金額だった。

 

 

このとき運用者の性というものを感じざるをえなかった。

 

心ではこの震災を痛ましく思いながら、頭では相場のことを考えている自分。

こういう痛ましい出来事で相場が動いたときに、それで利益を上げることが道徳的にどうなのか…と関係者以外の人は言うだろう。

 

人の不幸で金儲け…と酷い言い方をする人もいる。

 

 

ただ我々の仕事は会社の資金でリスクを取り、利益を上げること。
そういったときこそ相場は荒れ、そのポジションはリスクにもさらされる。
そしてリスクがあるところにこそ、チャンスもある。
そこで市場に参加しないで逃げることも出来ない。

 

 

またそこで損失覚悟で投げてくる人たちの売りを誰かが買わなければ市場は成立しない。
流動性の供給。
そういった意味でも我々のような存在は必要なのだと思う。

 

 

そう言い聞かせながらも、初めて感じる違和感だった。
心で感じるものと頭で考えているもののギャップ。

 

 

その後の復興関連株の急騰は驚くべきものだった。
不動建とかすごいことになってたな。

 

 

先輩ディーラー達がそれで騒いでいるのを横目で見ながら

 

 

『俺、スゲェ仕事してんだな…。』

 

 

と、複雑な気持ちになったのを覚えている。

 

 

多くの人が亡くなり、涙にくれているのに…。

 

 

この仕事の意義って何なんだろう。
人の役に立っているのだろうか?
ものを作っているわけではない。
人のために何かをしているわけでもない(会社の利益には貢献してるけど)。

 

 

学生の頃は「学校の先生」になりたかった自分。
仕事の意義をどこかで見つけていきたいと思うきっかけだったかもしれない。

 

 

その後、人を育てるとかマーケットフォーラムだったり、今の挑戦であったり…。
目先の損得勘定だけならとても損な話だったり、回り道だったり…。
それでもそういう道を選び続けているのは、もしかするとそんなものを探し続けているのかもしれない。

 

 

朝、ニュースを見ていてふとあの頃を思い出した。

 

 

ちなみに、そのわずか一週間後にあの『ベアリングズ・ショック』が起こる。

 


今日は自宅で夕方から挨拶回り。
久しぶりに庭木の手入れでもしよう。

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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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