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【投資・運用】派手な言葉や美味しい話には気をつけて

「投資詐欺」…なかなかなくならないですね。
引っかかってしまう人が少なくない現実。

「仮想通貨(暗号資産)」や「AI」など、流行りのキーワードを使って人の目を引く。
難しい言葉や専門用語を並べ立てて、いかにもすごそうな雰囲気出して勧誘する。
でも実態や裏づけが伴わない。
運用実態がないような「詐欺」は最悪。
運用実態と話が違ったり、ギャップがあまりにもあるという事例もある(金融当局から処分を受けるような事例)。

昔も今も変わらずそういった存在は消えない。

人からお金を集める「投資勧誘行為」「金融商品の販売」、人からお金を預かって運用する「資産運用業」。
どちらもきちんとしたライセンスや登録・届出が必要です。

そういう話を受けても、最低限その業者がライセンスや届出をしているかぐらいは調べてください。
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyo.html

ここに日本国内で登録している金融業者は記載されています。

金融商品取引業者
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kinyushohin.pdf

適格機関投資家等特例業者等
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/tokurei.html
(届出者リストは令和3年4月30日現在、業務廃止命令を発出した届出者リストは令和3年5月31日現在、連絡が取れない届出者リストは令和3年5月31日現在)
これなんかは63条に基づいて届出ベースで行える資産運用業のスキームだったりするので、届出数が膨大で、かつては問題の多いところも少なくなかったようです。そのため規制強化されたりもしてきました。

皆さんがあまり好意を持っていないHFTですら登録されています。
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kousoku.pdf

”ヘッジファンド”や”ケイマン諸島籍”というと、なんか悪さしている印象や、得体の知れない存在のように見られる場合もありますが、そういったファンドはケイマン諸島籍であれば、その金融当局であるCIMAに登録されていますし、そのファンドの運用を行う運用会社は各国(シンガポールならMAS、日本なら金融庁(FSA)、香港、オーストラリア、その他の国々の場合も)の金融当局で登録や届出を行い、認可を受けてその運用業を行っています。

勧誘行為や資産運用を「業として」行うものはすべからくこういったプロセスを経て、それぞれその業を行う国の規制当局の監督下で業務を行うことが義務付けられています。
もちろん審査や検査も当局から受けますし、必要に応じて指導や処分も受けることになります。

投資勧誘を受けた場合やそういった話を聞いた場合、その人および所属している組織・法人がそういった認可を受けているかぐらいは確認しなければいけないでしょう。

「デューデリジェンス」
https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/te/J0603.html
これは最低限のことです。
今はネットを通じて様々な情報を得ることが可能な時代です。
面倒かもしれませんが、ご自身の大切なお金を預ける前に、しっかりと預ける先のことを調べてください。

私は実際にシンガポールに拠点を構え、ファンドを運用している会社を経営しています。
ライセンスの関係もあり、その規制の範囲での投資勧誘しかできず、投資家も日本でいう適格機関投資家に限られています。いわばプロの投資家ばかりです。
実際に興味を持っていただいても、投資するまでには多くのデューデリジェンスのプロセスを経なければなりません。オペレーション・デューデリジェンス(資産管理上の業務が適切に行われているかを調査する)のために海外から来星され、業務中に半日ほど滞在されてまでチェックを受けたこともあります。
それぐらい大事なことなんです。

もちろん目論見書(ヘッジファンドなどではPPM:「Private Placement Memorandum」)を投資を受ける前に交付することも義務付けられています。
投資家の資金管理はトラスティ(信託)が行い、取引および資金の監督や精査・清算、投資家とのやり取りなどの実務はアドミニストレータが行い、ファンドの監査は監査法人が行います。
それら全てが第三者の法人です(※これらが全て関連会社などでやっている場合は注意が必要です、過去にAIJが起こした巨額損失の事例もあります。https://gendai.ismedia.jp/articles/-/31993)。
実際の運用および運用指図を行っている我々は、そのお金に直接関わることはありません(もちろん間接的に指示したりはしますが)。そうやって第三者が資産管理や、その実績の精査・評価、適切にそれらが行われているかの監査などを行ってくれているからこそ、投資家は安心してお金を預けることもできます。運用者が運用実績を誤魔化すことも、知らない間にお金を使いこんだり、隠したりすることもできませんから。
当然そういったサービスプロバイダーに対して、一定の費用を支払う必要もあります。
もちろん金融当局の認可を受けるためにはそれ相応の体制(人員なども含む)が必要になり、コストもかかります。

加えて、公募で個人投資家向けにそういった金融商品を販売しようとすると、規制のレベルは一気に跳ね上がります。
いわゆる「個人投資家保護」の観点から、そのような規制体系になっているのです。
これは日本のみならず、シンガポールや他国でも基本的に同じです。
金融知識や投資に対する理解、リスク認識が十分ではない個人投資家の方々を保護する観点から、それに対する管理責任、説明責任、開示義務など様々なものが非常に厳しく求められます(個人であっても一定の資産レベルを超えている人や、適格機関投資家として登録されているようなプロと言える方は除外されています)。
そのためには運用会社側も相当な人員と管理体制などを保持する必要があり、結果として運営コストも跳ね上がります。日本でライセンスを持つ金融業者と連携し、販売スキームや法的な要件を整えることで販売する道がないこともありませんが、基本的には、一件あたりの投資額がより小さくなりがちな個人向けに販売するのに反比例するかのように、それにともなう責任・義務のハードルやコストはより大きくなっていきます
日本発の日本株ヘッジファンドは小規模な組織が多いのが実情です。その規制のハードルはかなり高く、あまり公募で個人向けに積極的に販売しようとするところはない理由の一つにもなっています。

資産運用業を営むためには、それなりのコストがかかってしまうのが現実なんです。
だからこそ、そこまでコストをかけてでも業として営む覚悟と責任が求められもします。

大切なお金を預けること。
その預ける相手をしっかりと見極めてください。
最低限、法律を順守しているかどうか。
そんなこともロクに守れていない人を信頼できますか?
そんな人に大切なお金を預けられますか?

投資にはリスクが伴います。
安易な言葉や目新しい言葉に惑わされないように注意してください。
美味しい話には裏がある。
こんな世界的に異常ともいえるほどの低金利が常態化した昨今。
美味しい利回りなんてそうそう実現できるものではありません。
少なくともそれを実現するためには一定のリスクが伴います。
リスクも少なく、大きなリターンを得るなんて話はないと思っておいた方が賢明でしょう。
実際、どんなに誠実に懸命に資産運用業を営んでいても、マーケットが相手である以上は損失を出してしまう場合だってあります。リスクとリターンは常に表裏一体であることだけは忘れないでください。

ご自身で運用するなら、誰から情報を得るか、学ぶかも大切です。
大切なお金を第三者に預けるなら、それ以上に誰に預けるか、その人や組織が信頼できるのかどうか、しっかりと調べられるようにしてください。
派手な肩書や文句、美味しい話に惑わされないでください。

個人投資家でも、メディアに出ている方々でも、運用業を営んでいる人でも、様々な人がいます。
尊敬できる人もいれば、この人はいかがなものか…と感じてしまう人もいます。
プロや見識・知識の豊富な人から見ればそれが分かる。
つまり「見極める目」を持つことが大事なんだと思います。

そのためにまずは安易に投資やリスクを取ることは避け、基本的な知識や見識を積むところから少しずつ始めてください。
焦らなくても相場は逃げません。
将来への「不安」から焦って「リスク」を取りに行くことは必ずしも賢明な行動とは言えません。
あくまでも投資や運用は「リスク」を伴います。
リスクがある世界に飛び込む以上、最低限身を守るための知識や術を身に着ける。

それが「はじめの一歩」です。

※最近、電子書籍版で61巻以降が解禁されたので暇な時間に読んでいるのでつい…w

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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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