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【回想録】混迷のとき…6

自分でも予想していなかった突然の退職。




慰留はあったものの、会社の資金でリスクを取ることに対する安易さは受け入れられなかった。そして、苦しんでいるディーラーを目の前にしながら、そのリストラに関わる部分をほとんど人任せにしながら、そういったことを進めていたことも許せなかった。




今、思えば感情的になり過ぎていたかもしれない。

収益低迷で追い込まれていた部長なりの策だったのだろう。

ただ何で相談してくれなかったのだろう。




契約という立場でありながら、マネジメント補佐という中途半端な立場でいたことがいけなかったのだろうか。


それまで不満ややるせなさを抱えながら、リストラ案・改革案の取りまとめに奔走していただけに、湧き上がる悔しさを抑えることができなかった。




ちょうどシンガポールのF1が初めて開催された時期だった。

シンガポールの友人に招待してもらい、後輩を連れて観にいった。

そして帰ってきて、そのまま退職願いを提出した。




一番心残りだったのは残していくことになる後輩や部下たちのこと。

ただ彼らに事情を説明したときに




『自分たちのために無理をして残ることはしないでください。』




と言ってくれた。

そして送別会を開いてくれて送り出してくれた。


最後まで面倒をみてやれなかった…なのに恨むでもなく、責めるでもなく感謝の言葉で送り出してくれた。


自分にとって、彼らの存在は宝物だ。

そしてこれからも大切な後輩であり続けるだろう。






次の事は何も考えていなかった。

自分にとってもあまりに突然なことだったから…。




それでも退職のことを皆さんに伝えた直後から、多くの方にご心配いただき、お声もかけていただいた。


ディーラーとしての自分を評価し、好条件でオファーをくださるとところもあった。ヘッジファンドからのオファーも合わせて十数件のオファーをいただき、かなりホッとしたのを覚えている。




ところが…辞めて少し後に業界に衝撃が走る。




『リーマン・ショック』




だからといって転職を焦る気はなかったが、マーケットにいれないことが何より悔しくてもどかしかった。




市場は荒れていた。

ボラティリティの高い相場は得意。

ディーラーとして百年に一度と言われる相場を目の当たりにしながら、現場にいれないことが何よりも悔しかった。




オファーをいただいた中で迷っていたのは…

これからの十年、自分がどうあるべきかが見定められていなかったこと。




いちディーラーとしてなら迷う必要はないほどオファーをいただいていた。

中にはビックリするような好条件を提示してくれるところもあった。




しかし、本当にそれでいいのか?

どこかで迷いを拭いさることが出来ずにいた。




そして自分が選んだのは…




ディーリング部がない会社。

その立ち上げを全面的に任せてくれるという。

処遇は部長として。

契約ではないため、成功報酬は半分になる。

そして自分からその報酬は部の立ち上げが実現し、利益貢献できるようになるまではいらないと申し出た。




明らかに個人としての所得は大幅に減ることになる。

それでも契約という立場の限界を痛感していた自分にとっては、目先の自分の収入よりも『自分が何をすべきなのか』が重要だと思った。




その会社は経営の皆さんも熱い方が多く、お話していて突き動かされるものもあった。


ディーリング部のファンド化。運用をビジネスにしていくことが将来的には必要だと思いながらも、ファンドを一から立ち上げるには準備不足だったし、あまりにも突然過ぎた。




そしてリーマン・ショックによって世界的にリスク・マネーが収縮している現状では運用資金集めも難しいと判断せざるをえなかった。




そして翌月。


自分はその会社に入社した。

そこはある意味素晴らしい会社だったが、ディーリング部を立ち上げるのはあまりにも難しい会社だった。


今となっては、事前にそこまで調べておけば…とも思うが、それも後の祭りだった。

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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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