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【マーケット】最近の米国市場で話題になっていることに思う

まぁ常識的なコメントだよな。

「共闘」買いで株価乱高下、影響や対策は?専門家に聞く: 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN020DY0S1A200C2000000

空売り=悪
と決めつける人は未だに少なくない。
ただ市場は時として異常な価格を形成する。
バブル然り、暴落然り。

日本でもTwitterや2ch、Yahoo掲示板といったSNSを通じて煽りコメントを多発する人も少なくない。フォロワー数の多さを利用して煽りコメントを出すことで追随買いを誘発し利益を得ようとする人たち。

自らの影響力で市場を動かそうとする。
正直、見ていて気持ちいいものではない。
一歩間違えれば…ギリギリのところだろう。
でもそういった人がいるのも相場。昔からそういう人たちはいた。
ただSNSの発展に伴い、個人の発信力や伝達力が飛躍的に伸びた結果、軽視できないほどの影響力を持つようになった。

自らの目で株価を評価し、割安なのか、割高なのかを判断する。
市場は操作するものではなく、あくまでも市場との対話が本来あるべき姿だと思う。

市場を動かす、操作する、相場を煽る。
こういった行為自体が傲慢なのだと思う。
あくまで我々は市場の中で生かされている存在に過ぎないのだから。

高度経済成長期ならいざ知らず(足元は高値更新し続けているけど…)、必ずしも経済が拡大一辺倒ではなくなった国の市場においては、株が上がるだけではなく下がることも多い。どちらかといえばバブル崩壊後の日本市場は低迷期の方が長かった。そういった市場の中で、買い(=上昇)だけで安定したリターンを得続けることは簡単なことではない。(割高な銘柄を)売るというアプローチも十分合理的なアプローチだ。

株の売り方は、株を借りるためにレンディングフィーを支払わなければならない。それはこの低金利の時代において、お金を借りることよりもはるかに割高なコストを負担する。しかも、買いは下がってもゼロだが、売りでの上げは青天井だ。売りの方がよほど怖いし、リスクコントロールが非常に重要になる。
GameStop株で大きな損失を出したヘッジファンド。
ショートスクイーズ(踏み上げ)が一番過激に相場が上がる。
昨年、後輩に自分が伝えた言葉。

「バブルで高値をつけるのは売り方の踏み。暴落で底値をつけるのは買い方の投げ」
どちらも狂乱的な状況に陥った市場の中で、クレバーと思っていた人たちが、暴力的な相場や大衆行動の怖さを軽視し、リスクコントロールを誤ったときにその立場に陥る。

長い目で見れば正しい判断かもしれないが、その異常値を耐えられるようにリスクを抑制しなければ巻き込まれてしまう。

明らかに異常な価格形成、割高な株価だったからこそ、ヘッジファンドは売りで向かったのだろう。その異常さに自信があったからこそリスクも大きく取った。しかし、大衆行動の怖さや暴力的な市場に対して、ファンドとしてのリスク許容度とのバランスが必ずしも適切ではなかったから大きすぎるドローダウンになったのだろう。リスクを取り始めたとき、その運用者にはその異常な株価形成が「大きな(売りの)チャンス」に見えたはずだ。そして市場の暴力に巻き込まれて自分が踏み上げ、高値をつける羽目になった。

個人(大衆)が市場に参加し、一般化することはとてもいいことだ。
ただときとして大衆の行動は感情的にもなりがち。
今回のことは規模は小さくても日本でも起きている。

日本は特になにか市場に問題が起きると、よく理解できないもののせいにする人が多い。
特に困ったことに、相場解説者とかプロを自称するような人にこそ、理解不足から決めつけるようなコメントを出される人が少なくない。
かつては先物取引や裁定取引、そして昨今ではHFTやヘッジファンド。
なんかあったらそのせいにする。

その実務を知っていれば、何か悪者に仕立てて説明すれば済むようなものじゃない。
市場はもっと複雑で、大きなものなのだから。
市場は様々な人が参加し、売りと買いがぶつかるからこそ成立する。
市場で最も重要なことは「多様性」だと自分は考えている。

個人投資家も、ヘッジファンドも、HFTも市場には重要な市場参加者だ。
それぞれの視点から市場と向き合い、市場の価格形成に寄与している。
どちらが正義とか、間違った存在とかではない。
個人投資家にも、ヘッジファンドにも、HFTにも問題のある行動をとる輩もいる。
だからといってその全体が問題ありと決めつけるのも間違い。
市場においては、勝つも負けるも常に紙一重。
今日まで勝ち続けてきたからといって、明日も勝てる保証はない。
常に自分は間違いを犯すリスクがあることを自覚したうえで、市場に対して謙虚に対峙し、対話し、リスクコントロールを忘れずに向き合うことが大切。

一つの戦略が常に機能し、正しいわけでもない。
市場は常に変化し、ものすごく複雑かつ様々な条件によって表情を変える。
だから「絶対」はないし、決めつけることはとても危険な行為だ。
その不安と向き合うために、懸命に調べたり、学んだり、分析したりしながら自分の見通しを信じられるものにしようと努力する。
それでも負けた以上、「市場がおかしい」のでもなく、「市場が間違えている」のでもない。
そんなおかしな動きをするだけの要因がどこかにあったはず。それを見落としていたか、軽視してしまっていたから、結果として自分が負けた。
市場の中で生かされているに過ぎない自分達にはその謙虚さが大切なのだと思う。
それが長く市場で生きていくために必要なことだろう。
プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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