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【雑感】コロナ禍の一年を振り返って②

今年は「暴落」と「バブル」を一年の間にやってしまっているような印象を持っています。
もちろんこんな相場は自分にも経験がありません。

『下にも上にもいくとこまでいかないと止まらない相場』
という印象です。
だからこそ間違ったとき、合わなかったときにロスカットやリスク回避の動きを適切に取れないと致命傷になりかねない。負け方が難しい相場だったと感じているのだと思います。

「暴落」のとき、底値をつけるのは買い方の投げ。
「バブル」のとき、天井をつけるのは売り方の踏み。

今年、何度かそれを言葉にしました。
ミクロのファンダメンタルズを見て、バリュエーションにこだわり、こんな株価はおかしいと考え、握りしめていた人が損失に堪え切れなったところが底値であり、天井になった。

新規で売る人、新規で買う人は「儲けたい」という意識があるから、出来るだけいい価格で買いたい(売りたい)という行動が基本になります。
しかし、ロスカットに追い込まれた場合は、価格を無視して買わなければならない(売らなければならない)状況になっていまう。
暴落時、バブル時、訳の分からないような上げ下げをしたときに、概ねそういった動きが発生しています。そこで底値や天井をつけている場面を、今年は沢山見ることになったと思います。
新規でポジション取るにはとても入れないような値段をつけてしまう。皮肉なことに、論理的に考え、現在の株価が異常値だと考えている人ほど異常値をつけてしまう状況に追い込まれる。

ニュースをみていると、倒産や店舗閉鎖、人員削減、自殺者増加…そんなヘッドラインが毎日のように流れている中で、株価はバブル崩壊以来の高値を更新している。
しかも、その上昇も非常に限られた銘柄で実現されていて、自分の経験の中では見たこともないような銘柄間格差も生まれている。
とても理屈では理解し難い相場、そう感じてもしょうがないと思います。

今年の相場は、ファンダメンタルズよりも需給で動いた一年だったと思います。
下げるときは売りが売りを呼ぶ。
上がるときは、買うから上がる、上がるから買う。
モメンタムが極端に効いた一年。
短期で値動きを取りにいく人とか、流れに乗れた人にはとてもやりやすい一年だったかと思います。

もう一つ、自分が何度か話したことがあります。
暴落のときの底値は比較的分かりやすく、底をつけるタイミングもほぼ同じ時期になる。
バブルのときは天井は比較的分かりづらく、天井をつけるタイミングがズレやすい。

これは株式市場の市場構造によるものだと考えています。
基本的には、買い方が圧倒的多数であり、売り方というのは限定的な存在です。
暴落時、買い場を待ち構える待機資金は非常に多く、コツンと底値をつけたと感じたとき、その待機資金が一気に流入してくる。売り方は、積極的に新規で売る人はそんな安い水準で追いかけていくようなことはあまりしないので、戻るときはほぼ同時に、それなりの反発力で戻りやすい。

バブル時、売り場を待ち構えている待機資金はそれほど多くはなく、買い方は非常に儲かっている状態なので余力が豊富にあり、先導銘柄が天井をつけても、「次」を探す。なので個別銘柄でも、指数でも天井をつける時期などにズレが生じやすく、何度か再度高値トライする動きも起きる。バブルの天井というのはある程度振り返ってみて、「あそこが天井だったか」というパターンになりやすい。
実際に、自分が経験したITバブル期。日本市場をけん引したのは光通信やソフトバンクでしたが、それらの銘柄が天井をつけたのは2000年2月。日経平均株価の高値は4月。米国市場のS&P500やナスダック指数は3月。ちょっとずつ時期がズレていたりするのです。

今年10月にマザーズ指数が天井をつけたときも予兆はいくつも出ていました。先導銘柄といえる銘柄群がかなり下がっているものが散見されはじめていたし、明らかに踏みと思われる天井形成の動きもいくつも見られました。危険な兆候はいくつもあったけれど、バブル的に沸いているときは、でも次があるんじゃないか、もう一発あるんじゃないか、と考えてしまう。それが裏切られてようやく…という状況だったのではないでしょうか。

一年間の間に、こんな下落も上昇も経験するなんて、まぁすごい一年だったなと思います。
ただそれを「異常」と言ってしまえばそれまで。
相場にはそうなるだけの理由がそこにあるし、どんなに「異常」に思える相場でも、なぜそうなってしまっているのかを考える努力をせず、自分の理解の及ぶ範囲や経験則の中でだけ決めつけてしまえば適応することは出来ない(この相場に合わせてしまうことが長期的に正しいは思いませんが)。自分の運用に自信があったり、確信的なものを持っているほどその切り替えが難しかったりもします。
でも相場の中で生かしてもらっているに過ぎない我々が相場を否定してしまってはいけない。

「異常」に感じる=自分の常識や経験では理解ができない相場

だとしたら、なぜそんな動きになっているのか、自分なりに納得できる理由が見つかるまではリスクを抑える必要もあるでしょう。「相場がおかしい」「相場が間違っている」といって消えていった運用者を数えきれないほど見てきました。その価格がついてしまっている以上、その現実と向き合い、その要因を理解する努力を続けることでしか、運用者が生き残っていく道はないと思うのです。

そして当然、そうなった理由は「コロナ」でしょう。
スペイン風邪以来、100年振りのパンデミック。
それが社会に与えた影響や、緊急対応的な極端な中央銀行の流動性供給、不透明になった企業業績など、それらの全てがパンデミックに起因しています。

コロナによるパンデミックを軽視したり、それが与えた社会変容や経済・企業への影響を軽視してしまった人…というよりも、市場が過大評価していたとしても、その市場の評価と自分の評価にズレが大きかった人が非常に厳しい状況に追い込まれた印象があります。

足元の感染者拡大が懸念される状況の中で、ワクチンの開発や接種開始の報道も増えてきます。
来年は、社会経済活動が正常化に向けて進む一年になることを期待しています(相場的にというよりは生活や社会活動の面で)。
それによって来年は大きく相場つきも変わってくるかもしれません。
コロナによって生じた極端な歪みは、コロナの終息によって元に戻っていくかもしれません。
今年、機能しなかったものが機能するようになり、今年の極端な相場しか知らない人にとっては、それが通用しない相場になるのかもしれません。

ただ不可逆的なものもあります。
一度、この一年を振り返り、コロナが社会や相場に与えた影響を整理しておく必要はあるでしょう。

気まぐれブログなので、またいつ更新するか分かりませんが、
コロナ禍で苦難に直面している多くの人に、来年は明るさが感じられる一年になることを心から願っています。
プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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