【回想録】挑戦のとき…4
この頃、ITバブルのときの逆襲とばかりにこの時期はハイテク株『以外』がムチャクチャ強い動きをみせました。
新日鉄だとか不動産株といったIT関連以外が急騰。
NT倍率は大幅に低下していきました(日経平均株価÷TOPIX)。
株式市場全体が買われてTOPIXが大幅上昇を示す中で、2000年4月に行われた『例の日経平均採用銘柄大量入れ替え』によってハイテク株指数の色彩を強めた日経平均株価の上昇は鈍く、同倍率の低下を招きました。
その頃のコラムでは『ハイテク株は株にあらず?』なんてタイトルでコラム書いてましたね(^_^;)
2005年11月1日。
朝、会社について東証端末を上げると立ち上がらない…。
8:30を過ぎても運ともスンとも言わない。
アレ…?
そして史上初の東京証券取引所の株式取引全面停止となりました。
理由は、この時期東証がシステム処理能力の増強に追われており、データ処理について色々と修正している中で生じたトラブル。
ようやく東証の売買が再開したのは13:30。つまりこの日の立会はわずか1時間30分しかなかったことになります。
ところが大阪証券取引所は問題なく動いてる(当たり前ですが…)。
現物株が動いていない状況で先物だけで売買するハメになりました(^_^;)
一応、大証の現物株は動いてはいますが…ちょっとどーにもならないですよね。
システムダウンなんて話だけに悪い方に反応するか?と思いきや、先物は寄り付きからスルスルと上昇。
現物ないから軽い軽い(^_^;)
前日の終値は13620円。13660円で寄り付いた日経平均先物は、そこを安値にそのまま上昇。年初来高値を更新し、13870円まで駆け上がりました。
その先物の上昇を悔しそうに指をくわえて眺めていた現物ディーラー諸氏。
13:30の東証取引再開と同時に『ヨーイドンッ!』とばかりに突撃。
銀行株や不動産株が急騰して、出来高は17億9745万株(売買代金でも1兆9291億円)に達しました。
わずか一時間半の間のこの出来高…。
この時期の株式市場の熱気を感じさせる一幕でした。
この時期、東証のシステムトラブルだけではなく、大証やJASDAQでも遅延が頻発し、名証なんかもトラブル起こすという状態で取引所のシステムのお粗末さは強く指摘されていました。
東証では処理件数が一定以上になると対応できないなんてお粗末な話で、場中に『今、何件であとどれぐらいで取引が止まるかも』なんて話が出回る始末。実際に15時を待たずに止まったこともあります。
大証もちょっと注文混み合うと必ずのように遅延が発生。ひどいときは発注してから5分10分して、ようやく約定返ってくるなんてことも。特にその頃の先物ディーラーにとって一大イベントとなっていた『機械受注』では必ずのように遅延のオンパレードでした。
JASDAQは取引終了したはずの時間から数十分後にようやく終値確定なんて始末でしたね。
そんな取引所システムのお粗末さ…それがHFT(High Frequency Trading=超高頻度取引)の参入障壁となり、人間の手動売買を守っていたとは皮肉な話。
取引所システムの処理能力高速化、コロケーションなどの環境整備が進むにつれて、HFTやアルゴなどの影響力が高まり、人間による一カイ二ヤリは今や絶滅危惧種になりつつあります。
そんな時代もあったなぁ…と少し懐かしく思う今日この頃でした(^_^;)