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【回想録】変化のとき

ITバブル崩壊。
その後も市場は不安定な動きを続けていた。
それでも市場にはボラティリティがあり、収益はある程度の水準を維持できていた。

そんな中で持ち上がった合併話。

トレードしていて、ロイターかなんかのニュースで知った。

「おいおい、ウチ合併だってさ。」
「え、マジで!?」

そんな会話がディーリングルームで交わされて、その翌朝、正式に社長から説明があった。

相手は準大手証券。
地場の我々の何倍もの規模。
完全に吸収される側だった。

銀行再編が進んでいた時期でもあり、そんな中で銀行主導で進んだ話なのだろう。
正直、他社に移ることも必要になるかもしれないと思った。

ただディーリングについては、我々の会社の方が人員・収益ともに圧倒的に上回っていたため、ディーリング部長は当時の上司がそのまま残ることになった。

チーフとの争いのとき、手を差し伸べてくれた部長。
世話になった人だけに、まず最低一年は一緒にいって支えようと決心した。

そして合併を迎えた。

最初はキツかった。
エクイティ部の方々に

「おはようございます」

と言っても返事もしてもらえない。
考えてみればしかたないのかもしれない。

彼らからすれば吸収した側。
なのに株式業務における花形ともいえるディーリング部門は我々の会社が主導権を握っていた。
すごく悔しかったのだろう。

そしてそこのエースとしてかなりの好条件で入ってきた自分。
妬みや反感の視線を強く感じた時期だった。

「やってみせなければ…」

正直、かなりのプレッシャーだった。
あまり気負い過ぎたからだろうか、高熱を出し、初日欠席。
挙げ句の果てに、二日目無理して出社してトレードして、1000万ほどキレイにロスからのスタートとなった…^^;

今となっては笑い話だが…色んなプレッシャーを感じていた自分にとってはかなり厳しいスタートとなった。吸収された側の会社。みんな不安だったと思う。
特にディーリングは良くも悪くも目立つ存在。

「みんなの為にも俺がやらなきゃ!」

なんて変な責任感を感じてしまっていた自分。
それでも何とか切り返し、その月は1000万程度のプラスで終われて、とてもホッとしたことを覚えている。

1000万の損を出して、凹んでいた日の引け後。
わざわざ声をかけてくれた人がいる。
合併相手の会社側にいた顧問の方。

周囲が自分の失敗を興味本位でアレコレ言っている中で

「気にすんな。」

と声をかけてくれた。
暖かく力強い言葉だった。
その言葉にどれだけ救われたか。

その頃は空売り規制なども強化されていたこともあって、自分は現物株中心の売買から先物オプション主体の売買に切り替え始めていた(まだ半々ぐらいだったかな)。
ITバブル崩壊とともに変わっていく市場に適応しようと
自分のトレーディングを再構築し始めた時期でもあった。




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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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