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【マーケット】歴史的な暴落(現状の整理とリスク)

「歴史的な暴落」と言われる状況になってきた。

正直、自分が想定していた最悪のシナリオよりも厳しい状況になっている。
武漢が封鎖されたときに、これは他人事ではないと判断して様々なBCP対策などを打ったし、チームのメンバーへの注意喚起も行ってきた。
マーケットが楽観しているのが「異常」と感じていたし、どこかで大きく反応する局面が来るとは思っていた。
ただ18000円前後、最悪でも16000円台に一瞬突っ込んだとしても、あくまで一瞬で、その辺が底打ちになるだろうと思っていた。
各国の政策対応も打ち出される(効果については疑問を持っていたが)。
少なくとも冷静さを取り戻すきっかけぐらいにはなるのではないかと期待していたが…。
それを受けてのNYダウは過去最大の下落という結果だった。

マイナス金利という異常な金融緩和政策を続けることで生み出されてきた過剰流動性。資金は余り、わずかな利回りを求めてリスクを取っていた状況。悪材料に奇妙なほど強さを見せていた米国株式市場。それがここまで様変わりするとは…。いや裏を返せば、それまでの相場がそれだけリスクに対して鈍感になり過ぎていた証左なのかもしれない。

下は月次データを元にした月間騰落率のワーストランキング。
NYダウと日経平均株価で出してみた(さるまさんがTweetしていたので、自分でも計算してみたが、ちょっとデータが違うようだ。原因は分からないけどBloombergからとりあえず引っ張ったデータでそのまま出しておく)。
3月16日の引けベースの水準でこの3月は試算した。
現時点で、NYダウでは過去7番目、日経平均株価では過去2番目の下落率になっている。

月間下落率
(※Bloombergのデータを利用)

これが単月で留まればいいのだが、一つ気になっているのは1929年の米国株式市場の大暴落をきっかけにした大恐慌。そのときの下落をきっかけにウォールストリートはその後数年に渡って何度も暴落を繰り返している。

ウォール街大暴落 (1929年)


この表をみると、(10位、16位)1930年、(1位、11位、14位)1931年、(2位、9位)1932年、(12位)1933年。(3位)1938年。
そして最後の1938年の翌年、1939年に第二次世界大戦が勃発する。

今回のリスク資産の暴落は、「新型コロナウイルスによるパンデミック」が引き起こした経済の世界的な停滞が原因というのは間違いないだろう。
そういう意味では、その感染拡大が一巡し、それを乗り越え、経済活動が再開されてくれば、株価も回復していくだろう。

最も重要なことは、今回の暴落をトリガーにして、それが次のリスクへと伝播していくことを止めることだろう。
自分が一番懸念しているのは、CLOのリスク。これは昨年からかなり話題にはなっていた。過剰流動性を背景に、リスクに鈍感になりきっていたマーケットでは気にする向きもそれほどいないようにも見えたが、一気に資金が委縮し、信用収縮が起きていくと導火線に火がつく危険がある。それは金融システムへの不安(リーマンショックの再来)に直結する。

「リーマンショック」と呼ばれるあの暴落も、リーマンが最初ではなかった。2007年の米国住宅バブル崩壊→ベアスターンズの破綻→リーマン破綻と連鎖していった。

リーマン・ショック

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%82%AF

リーマン・ショックでは潰れないはずの大企業の信用が問われた。
その後に生じたソブリン・リスクでは国家(政府)の信用が問われた。
そして最後のリスクの取り手として、世界各国の中央銀行が超低金利(マイナス金利)に加えて、資産購入というやり方で経済を支えてきた。

今回の暴落に対して、金融政策をいくら打っても、市場は一向に評価していない。
中央銀行の限界。そしてその信用が問われたとき、資本主義経済はどうなっていくのか。

今回の暴落と、経済活動の停滞によって、倒産が連鎖し、失業が増え、悪循環に陥るリスク。
それは何としても防がなければならない。
そうなってしまうと1929年に端を発した大恐慌の二の舞になってしまいかねない。

感染予防を徹底し、医療崩壊を起こさないこと。命を守ることも大事だ。
しかし、経済活動を停止させることによって生じるリスクをどうやって防いでいくのか。
世界的な協調と、具体的かつ力強い政策を打ち出していかないと、市場のパニックは容易には収まらないだろう。

最も重要なことは、今回の暴落がトリガーになり、連鎖的な危機に繋げさせないこと。
新型コロナウイルスとの戦いに打ち勝った後、一日も早く正常な経済活動を取り戻すことと、ダメージを受けた人々をどう救うかの道筋を明確に示すことなのだろう。

中国、そして武漢では、感染者数の増加はピークアウトしている。
武漢が封鎖されたのは1月23日。中国での様々な規制は徐々にではあるが、緩和の方向に向かいつつある。約一カ月半というところだろうか。

そして色んな数字が世の中を出回ってはいるが、中国の感染者数は81,036人(16日時点、下記サイト参照)。中国の人口は14憶人とも言われている。感染率は人口比0.0058%に過ぎない。
医療崩壊を起こし、都市封鎖まで追い込まれた武漢でも感染者数は67,799人(同)。同市の人口は1108万人。人口比では0.6119%に過ぎない。

https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

専門機関の予測では、人口の〇〇%が感染するという試算もある。
しかし、実際にはその程度の数字にとどまっているということも忘れてはいけない(中国の発表した数値の信頼性への疑問は残るが…)。
それは中国政府による徹底的な感染予防策があったからこそかもしれないが、新型コロナウイルスの感染拡大は必ず終わりが来るし、抑制もできる。

武漢封鎖からしばらくの間、マーケットはそのリスクをあまりにも過小評価していた。
そして現在、マーケットはおそらくそのリスクを過大評価しているのだと思う。

大衆心理の変化と行動。
楽観から総悲観へ。
そして理屈で言えば割安と合理的な判断をしていたはずの人までが、大衆のパニック心理に押し流され、ロスカットを余儀なくされる。賢明な投資家ほど、追い込まれてしまう。
マーケットはそもそも完全なものではない。理性を失い、感情的に動くマーケットもある。

本来は、こういうときはリスクを圧縮し、十分な余力を持ち、その状態で不安に支配されたマーケットが落ち着くタイミングを見計らうべきなのだろう。あまりに急激な変化に、うまく対応していくことは困難を極めるが。一つだけ言えるのは、「自分が理解できない状況が生じているとき、理解できない以上はリスクを圧縮するしかない」ということなのだろう。
プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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