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【回想録】崩壊のとき

ITバブル崩壊のときは静かに近づいていた。

この頃に異常を感じさせるシグナルがいくつかあった(ま、全体が異常だったけど^^;)。
それに気付いていたかどうか。
その場にいるとなかなか分からないもの。

まずはアナリストの目標株価に関するコメント。
ソフトバンクの高値は19万8000円。
連結PERは1000倍を超えていたかな。

そんな銘柄がゴロゴロしていた。
そんな異常ともいえる高い株価を正当化するために、アナリストは売上高を用いたPSRだったり、保有株式の含み益を目標株価算定根拠に入れてみたり。

バブルの時代に出てきた「Qレシオ」なんかもそう。
従来の基準で正当化出来なくなると、無理矢理にでも新しい算定根拠を作り出して正当化しようとする。

これは危険な兆候です。

あと異常を感じたのが投資信託の動き。
当時は大和投信が結構頑張ってたんだけど、天下の野村さんが本気を出した。
それが悪名高い「日本戦略株ファンド」。

2000年2月2日に運用を開始。
野村證券100周年記念ということもあって、1兆円という凄まじい金額の募集を行った。
天下の野村、営業の野村だけあって、設定前に7924億円を集めきった。
これはいまだに輝かしい(?)記録である。

その頃の投資主体別売買動向をみると面白いことに気づく。
投資信託の売買を分析すると、買い単価が異常に跳ね上がり、売り単価が低いのだ。
そこまで極端に買い単価と売り単価が乖離したことはなかった。
つまり投資信託は低位株(旧来の重厚長大産業系銘柄)と呼ばれるものを売り、値ガサ株(IT関連株)を買いまくっていた。

投資信託は時流に乗り、セールストークに結びつくものが販売しやすい。
ブームに乗って…というある意味では安易な発想だ。
結果としてブームの天井をつけることも少なくない。

その典型が野村の戦略ファンドだった。
ドコモ、光通信、ソフトバンクの上場来高値は2000年2月。
その時期に設定された同ファンドはITバブルの天井を買ったとも言える。


この時期、ちょっと耳にした話題(ホントかウソかは知りません)。

ある八百屋さんが元手700万ぐらい(だったかな?)で信用取引を始めて、無茶苦茶儲かった。
ソフトバンクとかを二階建て、三階建てにして億の金を稼いでいるとかいないとか…。

二階建てというのは、買った銘柄の株価が上がった分、担保価値が上がり、その分さらに信用でリスクを拡大させること。

つまり評価益分、買い乗せ買い乗せでリスクを取り、デカく稼ごうとしたらしい。
そして実際に大きな利益を得ていた。
あくまで評価益ではあるが…。

そんなバブル天井の兆候が見られるようになった頃。
崩壊は静かに訪れた…。

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tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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