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【ビジネス】マネジメントの経験

『マネジメント』

いちディーラーでしかなかった自分が、その立場に就いたのは2014年のことだ。
マネジメント一年生。
それまでの経験、それまで求められてきた能力とは全く異なるものが必要になる。
現在の自分を受け入れることが最初だった。
今の自分に何があって、何が足りていないのか。

また、それまでのマネジメントの諸先輩方とは、あまりにも色が違う自分。
みんなに受け入れてもらえるか、不安もあった。

でも『今のままでは(組織は)残れない』ということだけは強い危機感として持っていた。
「組織を変える」
そんなに簡単なことじゃない。
経営からの信頼、ディーラー達、スタッフ達からの信頼。
それがなければ何をどう言ったところで、独りよがりな戯言で終わってしまう。

色んな苦労もあったし、辛いことも少なからずあった。
でもいつの間にか、それなりに面白い組織になり、何人もの若い人材が自分の夢を追ってくれている。決してすべてが順風満帆というわけではなかったし、今でもそれは同じだけれど、振り返ってみればずいぶんと前に進み、変化してきたとは思う。
そしてヘッジファンドを立ち上げ、大変な苦労をしながらではあるけれど、様々な方の支援や信頼をいただいて最初の一歩をしっかりと踏み出すことが出来た。

でも『今のままでは残れない』という危機感はいまだに変わらない。

時代は恐ろしいほどの速度で変化していく。
業界の在り方が大きく変化していくであろうこの時代に、取り残されていきつつある現実。

全ては現実を受け入れるところから始まる。
今あるモノ、足りないモノを自覚すること。
でもそれが出来ない人が圧倒的に多いのが現実だ。

「これまでそれでやってきたんだから…」
過去の経験に引きずられる。
「今のままでいいじゃん」
現実逃避的な発想。
そういう人が実に多い。

「足りないモノ」を自覚するというプロセスは痛みを伴う。
今の自分(組織)じゃダメなんだという自己否定。
これってそれまでの自分の努力や取り組みを否定することにもつながる。
それって辛いことだ。

人にはプライドがあったり、自己肯定バイアスがかかりやすかったりもする。
自分を守る思考が働くことはある程度しかたのないことかもしれない。
だってその方が楽だから。
自分(組織)を客観視し、ダメなところを正面から自覚するって、経営責任を負っている者ほど辛い行為だ。でもそれが出来なければ、組織のかじ取りは出来ない。


また多くの人が、それまでの自分(組織)の経験の範囲でしか、物事を捉えたり、考えたりすることが出来ない。
それってある意味当たり前のことでもある。

これまでも自分が何かをやろう、変えようとする度に、様々な意見対立があった。
「なんで分かってもらえないのだろう?」
何度も自問自答し、どうすれば伝わるのかすごく悩んだりもした。

異なる意見を持つ人を否定するのは簡単だ。
でもそれでは支持や理解は得られない。

「なぜ理解してもらえないのか?」
それって当たり前のことだと気づいた。
だって経験も知識も、それまで見てきたものも違うのだから。
結論を見出すまでのプロセスにおいて、それらはとても重要な要素だ。
それが異なっている以上、違う意見になって当たり前だ。
だから自分の経験や知識、見てきたものを共有するところから始めた。

自分自身も、様々な経験や見識を持つ方々から学んだり、本を読んだりしながら視野を広げる努力をし続けなければいけない。


現実(現状)を受け入れることが、未来を創っていくためのスタートラインだ。
今あるモノ、足りないモノを自覚すること。
客観的かつ的確な「現状認識」をすること。
そこから始まる。

その次に未来を予測し、それに伴う変化を想像し、新たな存在価値を創造していく。

強い組織や優れた組織だと感じるところは、外部の見識のある人や、様々な経験を持つ人材を積極的に獲りこみ、変化し続けている。
それはつまりこれまでいた人にとっては、自分の立場を脅かす存在を受け入れることにもつながる。旧態依然とした保守的な組織では出来ない芸当だ。
多様な経験や知識を持ち寄り、議論し、厳しい意見も戦わせながら、痛みを伴う変革も恐れない。

おそらくここから数年、十年先には、非常に厳しい未来が待っている。
淘汰されていく組織が沢山出てくるだろう。
それはきっとこれまで以上に厳しいはずだ。
だからこそマネジメントが強い覚悟を持って、現実を受け入れ、変化を想像し、その変化に対応するべく自ら(組織)を変化させていく必要がある。
そうしなければ未来を創造することは出来ないだろう。
プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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