【マーケット】高速化・複雑化を続ける市場
証券市場って誰の為に存在するのだろうか?
アローヘッドが稼働し、HFTが一気に日本市場に流れ込み、淘汰されていく証券ディーラーやデイトレーダーを見ていく中で、いつも疑問に思っていたこと。
システムが更新される度に、処理能力の向上とスピードの向上が示されてきた。
すでに人間が認知できる速度ではない世界。
巨額の設備投資や最新の設備、高速なインフラを保持した参加者でなければ、その環境を活かしきることはできない。
一般の個人投資家が安心して参加できる証券市場であって欲しいな…というのが個人的な気持ち。
「スピードバンプ」
一定の速度制限はあっていいような気がする。
F1の世界でも、レギュレーションがあり、その範囲内でテクノロジーやドライビング・テクニックを競う。
ずいぶん前にこのブログでもそう書いた記憶がある。
取引所側でも、そういった意識はあると思う。
高速化・複雑化・分散化する市場。
今までは、機関投資家やプロ向けに限定されていたSORやアルゴを一般の個人投資家が活用できるようになったことは決して悪いことではない。
でもいい部分だけを伝えておきながら、そこにある問題やリスクを誠実に開示せず、執行されるプロセスに選択肢を十分に与えず…ではユーザー(市場参加者)は離れていく。
10年も前に米国ではPTS(米国ではATS(Alternative Trading System))、ダークプールが数十も乱立し、様々な問題を引き起こした。
市場の分散化がどういった問題を起こすのかは、その頃のニュースを見直すだけでも容易に理解できる。
行き過ぎた手数料引き下げ。
様々な基礎コストやインフラ、環境・設備投資、場口銭などが執行および仲介にはかかってくる。
そこがゼロになるわけじゃないのに、顧客からの取引仲介手数料をゼロにする。
つまり他のところで収益を上げなければならない。
そこには様々な不透明さがつきまとう。
かつて自分もかなり不透明な取引仲介プロセスの提案を受けたことがあった。
手数料がいくら安いとはいえ、ディーラー達を異なるリスクにさらしかねないと判断して、強く断った。
個人的には、ブローカーは適切な手数料をいただいてもいいのではないかと思う。
仲介業者(ブローカー)として、顧客の注文を守り、最適かつ安全な執行をするという当たり前のことを守ることの方が大事じゃないかと。
市場は誰の為にあり、その仲介を行う業者はどうあるべきなのか。
PTSやダークプールがシェアを伸ばすことが、どういったメリットを生み、一方でどういった問題を引き起こすのか。
今一度、ちゃんと整理して考える必要があるのかもしれない。