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【トレード】SORの問題について②

SBI証券自身がSORを使って個人投資家の先回りをして儲けていた訳ではないことは誤解しないようにした方がいいと思う。

ただSBI証券がSORで流す先が、SBI Japannext(グループ企業が運営するPTS)だけだとすれば、そこでの約定率を少しでも上げようと東証への回送のタイミングを少し遅めにしたりするバイアスがかかっていた可能性はあるけれど。

また他の証券会社が「ウチのSORは安全です」的なコメント流しているようにも見えるけど、それも下手すりゃ誤解を招く。ちょっと安易過ぎる気がするな。

SORを使って、主市場より先にPTSやダークプールで約定すれば、即時に東証に流したとしても、レイテンシーに優位性を持つHFTに先回りをされるリスクはゼロじゃない。

PTS(およびダークプール)に注文を出してから、残りを主市場(東証)に回送する

その時点で、約定電文が返ってきてから、残数を東証に出し直すプロセスが発生する。
PTS板に出しておく時間がゼロだったとしても、電文の行き来の時間はゼロじゃない(ミリ秒の世界ではあるだろうけど)。
もしその間にPTSで約定がぶつかった相手のHFTが約定電文を受け取り、東証に発注するまでの時間がより短ければ(ナノ秒とか)、そこには先回りやレイテンシー・アービトラージをされる可能性は残される。

SOR(やアルゴ)の作りこみって難しい。
実際には、目にも止まらない速度で動いている市場。
「1回のまばたきの速さは平均で100 - 150ミリ秒」と言われている。
HFTはそれよりも圧倒的に短い瞬間で勝負している。

短期売買系のトレード(特に主市場での約定が前提のある程度の金額)をしている人は、SORの利用によって執行リスクが高まるのであれば、その利用は避けるべきかもしれない。
ただトレードスパンの長い中長期のトレードをしている人であれば、あまり気にする話ではないのだろう。

執行手数料がどんどん下がっていく時代。
一方で、取引参加者(証券会社)が取引所に対して支払う場口銭の存在を意識している人は、個人投資家にはあまりいないだろう。
東証の場口銭は世界的に見ても低水準にある。
けれど取引を執行する度に証券会社は多少なりとも取引所にコストを支払っている。
それを低下させていくためには、よりコストの低いPTSやダークプールでの約定を増やしていきたいという意識が証券会社側に生じてもおかしくはない。
日本の場合は、そういったところ(取引所外)で約定してもTosTNetなどの立会外取引を通じなければならないという規制がある。
また取引所やPTSなどの取引参加者になるためには、一定のコストを負担し、マーケットデータのコスト(二次配信するためには取引所にお金を払っている)、回線や仮想サーバーなども必要なだけ設置するなど様々なコストもかかる。
そういったコストを負担しつつ、市場参加者にとって有用な取引機会を増やしていこうと各社取り組んではいるのだろう。
皆さんが市場に参加するためのインフラを構築するのには多額の資金が必要となり、執行毎に場口銭がかかる。それを各証券会社(特にネット証券)は負担していることは理解しておいて欲しい。

証券業界に繋がりが深い自分だから証券会社を養護するつもりではないけれど、証券会社自身が個人投資家の先回りしているわけではないし、そこからサヤ抜きをしているわけではないことも理解してあげて欲しい。
ただ証券会社サイドも、SORだのダークプールだのアルゴだのと、そのリスクや問題点を直視せずに安易に導入していけば、どういうことになるかは十分に留意しておくべきだろう。

我々が使わせてもらってきた外資系証券が開発しているSORやアルゴですら、HFTには結構いいようにされている印象もある。
ゲーミングやアンチ・ゲーミングといった言葉も彼らから教えてもらった。
市場の分散化が進めば、10年前に米国で起きたような問題が必ず表面化してくる。

そういう世界に個人投資家を巻き込むことのリスク。

個人投資家にとって本当のメリットがどこにあるのか?
利用した場合のリスクがどこにあるのか?(そしてそのリスクをゼロにすることは困難だ)
最初のブログと被るけど、しっかりとそれぞれを利用する際のリスクとメリットを説明し、理解してもらったうえで、その機能の利用自体はそれぞれが選択できるようにしていくことが大事なのだと思う。


プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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