【ビジネス】ワクワク、ハラハラ、ドキドキ
ヘッジファンドがアジアで人材争奪-運用者報酬は上昇傾向
先日、この記事に出ているハワードさんがシンガポールに来られた時に、お茶しながらミーティングをした。
運用者の育成について色々と話し合った。
ヘッジファンドを立ち上げ、様々な投資家と話す機会が増えた。
色んな質問を受けるのだけれど、大体必ず聞かれるのが
「PM(ポートフォリオ・マネージャー)の雇用条件 or 引き抜き防止策」
アクティブ運用、ロングショートなどアルファを取りにいくような運用戦略を土台とする運用会社にとって、PMはその戦略を担う根幹だ。
その人材が引き抜かれることも少なくないし、ここ2年ぐらいは大手運用会社からスピンアウトして、自身の運用会社を立ち上げる流れも結構多かった。
稼げるPMがいなくなるだけで、そのファンドは大きなダメージを受ける。
人材不足から、引き抜きが多いこの業界。投資家もそこを常に心配している。
自分が作りたかったものは、次世代の運用者が育つ道筋。
ヘッジファンドのPMになる道筋って実際のところどうなんだろう?
最近多く聞くのは、アナリスト出身者。
次に、リサーチセールス(機関投資家営業などで、ヘッジファンドなどを顧客として提案などを行っているような人たち)あたりだろうか。
ひと昔前なら、外資系証券などでもプロップ・トレーディング(自己売買)が活発に行われていて、そこからヘッジファンドを立ち上げる人や、大手運用会社に引き抜かれる人も少なくなかった。
そういった道は、ボルカールールの影響もあって今はほとんど見られなくなってしまった。
運用者の移籍や引き抜き、独立。
それでは投資家から見た場合の投資先のパイは大きくは変わらない。
繰り返しになるけど、自分が作りたいと思ってきたのは、次世代の運用者が育つ道筋をしっかりと作ること。
しかも、できることなら未経験者からの道筋。
でも運用者を育てるってホント難しい。
特に地場証券という箱庭では、小さな視野で、小さな世界しか知らないまま、目標や夢も小さくなりがち。
よほど自分の可能性や未来に貪欲で、周囲に流されない意思の強さと、自分自身への厳しさを持てるような人材じゃなければ、そこには手が届くどころか、別世界の話で終わってしまうだろう。
育成の方法論とか、アプローチとか、知識とか…
テクニカル、ファンダメンタルズ…
リスク管理、ファクター分析…
そういうのも大事だけれど、どんなに頭がよくてもね、実際にマーケットでリスクを取ったときに取る行動こそが大事だったりする。
頭でっかちで勝負が出来なかったり、リターンへの貪欲さが足りなかったり、リスクに振り回されたり、感情のままリスクを振り回したり、自分の都合で相場張ったり…。
必ずしも知識があって、頭がいいから優秀な運用者っていうわけじゃないから面白い。
マーケットはその人間性を露わにする。
投資哲学や、思考プロセス、リスクとどう向き合うか。
自分の弱さもむき出しになる世界。
知識だけで機械的に運用するなら、必ずしも人間がトレードする必要がない。
クオンツやAIによる運用の方が絶対的に優位だったりしてしまうことになる。
なんのために「運用」という、結果がすべての世界に挑戦してきたのか?
夢や目標がどこにあるのか?
将来を見据えたうえで、現在をどう戦い、生き残り、学んでいくのか?
なんかこう…ワクワク、ハラハラ、ドキドキさせてくれるぐらいの若手と出会いたいんだよね。
こんなリスクのある世界に飛び込んでくるぐらいだから、みんな腹を括ってるのかなと思うと、そうでもなかったりする。
それでも一人、また一人とそんなヤツに出会えたりもする。
彼らが道に迷ったときや、悩んだとき、苦しんだときには寄り添い、手を差し伸べてやりたい(そういうヤツは、放っておいても育つけどw)。
そういうヤツはプレッシャーも、挫折すらも、自分の成長の糧にする力があったりする。
前に進もうとするから、転びもするし、悔しい思いもする。
前に進もうともしない人には、決して分からない世界がそこにある。
だけどそういう人だけが、つかみ取れるものがきっとある。
そんな可能性の塊のような彼らと、一緒に夢を持ってワクワクできるのが一番楽しいんだよね(^.^)