【マーケット】市場の分散化
PTSの信用取引解禁。
それによってPTSのシェアが増えていくことは悪いことじゃない。
ダークプールにおいても、その約定率は上がっている。
米国ほど、極端な市場の分散化が進むとは思わないが、日本でも市場の分散化は進みつつある。
市場の売買代金なんかもToSTNeTの約定なんかもしっかりモニターしていかないと、適切な売買代金が把握しづらくなっていく(日本では立会外取引を通す必要があるだけまだマシ)。
市場の分散化が招いた問題は、10年ぐらい前に米国で起きた様々な問題をしっかりと把握しておくことで、今後の日本市場でどんな問題が生じる可能性があるのかは、ある程度想定できる。
SORを通じて色々と言われ始めているのもその一つ。
ただ「フロント・ランニング」と「レーテンシー・アービトラージ」は、似て非なるものだ。
その違いぐらいは理解したうえで言葉を用いた方がいい。
過去に「フロント・ランニング」的な要素を含んだ話を聞いたこともある。
注文内容を発注者以外の第三者(仲介者などを含む)が知ったうえで、先回りする行為。
でもHFTが行っている主な取引は、概ね「フロント・ランニング」ではなく、「レイテンシー・アービトラージ」だ。
これがいいか悪いかは別の問題だけれど、言葉の用い方一つで印象は変わりかねない。
広義でのアルゴに対する評価も一緒。
なんでもかんでも一緒くたにされやすい。
ブローカー・アルゴを使えば、HFTなどにゲーミングされるリスクが出てくる。
アンチ・ゲーミングとか、イタチごっこの世界がそこにある。
TWAP(何分おきに何枚ずつ買うみたいなシンプルなアルゴ)みたいに分かりやすいアルゴを使えば、個人投資家にも読まれて執行コストは上がる。機械が読んだらダメで、個人が読んだらOKというのもおかしな話になる。
SORの活用には、様々なリスクや問題も内包される。
市場が分散されること、それによるメリットとデメリット。
執行評価の重要性と公平性。
様々な問題が今後表面化するだろうし、話題にもなるだろう。
でも誤解や曲解から、なんでも「悪」と決めつけないように理解を深めて欲しいなと思う。