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【トレード】相場に向かない人?

自分はもう現役を退いた身。
今は、若い世代が挑戦する場所を作り、夢を実現できる道を作っていきたいという思いで色々と取り組んでる。

「育てる」
というと如何にも講義したり、指導したりってイメージになると思うけど、実際のところは舞台・環境を作ってあげることが中心で、基本的には現場のことは現場に任せてって感じ。相場は見てるし、客観的に俯瞰して見ながら色んなことを考えはするけれど、それは自分の立場と責任を果たすためにやっているのであって、自分の相場観を現場に押し付けることが目的ではないし、過去の運用者が語ったところで得られるものは知れてると思うから。
壁にぶつかったり、悩んだりして求められたときは、メシにでも連れていきながら話はするけれど、伝えてやれることは「稼ぐための手法」や「絶対儲かる銘柄」なんてことは絶対にないw
そんなもん知ってたら、きっと今でも現役にしがみついていた?…かもw

ま、自分はピークを過ぎて、いい歳こいたオッサンの自分個人の可能性より、より若い多くの人材の可能性をより高めるために、自分が出来ることをするべきだと思ったから今の道を選んだので戻ることはないけど。

現役を退き、ディーリング部長をやり、ヘッジファンドを立ち上げ、様々な人にお会いしてきた。
特にこちらに来てからは多くの投資家や、他のヘッジファンドの方ともお会いすることが増えた。

「沢山の運用者を見てきた中で、向き不向きとか、どういう人材がうまくいくとかあるんですか?」
結構沢山いただく質問。

まぁ自分なりに見てきたもの、経験してきたものの中からお答えはするんだけど、正直やらせてみないと分からない面がある。
面接でどれだけ論理的で、人柄も良さそうで、努力家に見えても、相場に入ると別人になる場合がある。
分析力、思考プロセス、言っていることと行動の一貫性、これまでの取り組みや挫折の経験(自分は挫折経験はあった方がいいと思ってる)…様々なことを面談などで聞き出しながら、探りはするんだけれど、それだけでは見えてこないものがある。

でも…「うまくいく人」というよりは、「こういう人は困っちゃうんだよなぁ」ってのは確実にあるw

引け後に会話したり、ポジションがないときに会話すると、とても論理的で、自分をよく分析出来ているなと思うのに、実際にポジションを取るとやってることが論理破綻する人。
リスクや損失に直面した途端に、理性が飛んで、思考ではなく、感情でトレードしてしまう人
まさに「自分を見失う」人
こういった人については「本田病(by @ざわさん)」ということで(※こち亀よりw)。

ギャンブルや勝負事に向かない典型的なパターンなんだろうな。
いくら話して、指導してみても、こういう人はなかなか変われない。

いくら論理的な思考が出来ていても、相場と向き合いながら、自分自身を律することが出来てはじめてそれを実践できる。

バリューとか、グロースとか、モメンタムだろうがなんだろうが、個別株式だろうが、デリバティブであろうが、稼ぐためのアプローチは正直なんでもいいと思うんだよね。
それぞれの個性や特性に合ったアプローチを選び、相場環境に応じてしっかりとバランス取りながらリスク・PLのコントロールが出来ればいい。

だけどどんなアプローチであっても、相場に入った途端に「自分を見失う」人はどうにもならない。
どんなに高い分析力を持っていても、実際にリスクと直面させてみないと分からないことがある。

「臆病」は別に乗り越えられると思うし(あまりに極端なのは厳しいけれど)、「怖さ」を知る人は、「怖さ」を知らないか目を瞑ってしまう人よりよっぽど信頼できる。「怖さ」を知りながら、乗り越えるために分析し、思考し、「勇気」を持てばいい。「臆病」な人は儲からないけど、損も知れてる。でも後者は、相場やトレードをギャンブルにしてしまい、とんでもない損失を出す危険がある。
その「怖さ」とちゃんと向き合いながら、自分を見失わずに成長していかなければ、どこかで足元をすくわれる。

雰囲気に流されやすい人もまずいかな。
モメンタムがムッチャ効いている相場、バブル相場なら「思考」よりも「勢い」が大事な場合もある。「踊る阿呆に見る阿呆同じ阿呆なら踊らにゃ損々」という言葉があるように、そういった相場ではある程度「阿呆か」と自覚しながら勝負しにいかなきゃ乗りきれない場合もある。
でもそういった相場で稼げたのを実力と勘違いすると、大体数年後に相場から退場させられてしまう。逆にそういう相場ではそれほど大きくリターンが出せなくても、焦らずに自分のやり方を貫いていた人は長い目でみたらしっかり生き残っていたりもする(その時期に我慢するのは相当なストレスだろうけど)。

あとは基本的には自分の都合で相場を張らないこと。
「いくら稼ぎたい」「損を取り返したい」はあくまでも自分の都合。
すっごく当たり前のことなんだけど、自分の都合に合わせて相場は動いてくれない。
なのに自分の都合が先に出てくる運用者って結構いるんだよね。

自分の置かれている状況、リスク許容度、相場環境、ポジション量、資金の質…様々な要素を客観的に判断して、リターンを最適化する。
そういう基本的なところをしっかり出来るかどうか。

履歴書をみると、とても素晴らしい人が結構沢山いる。
でも相場は平等なんだよね。
知識や能力があることによって、相場に対するアプローチという面では選択肢は増える。
でもマニアックなことすれば儲かるわけでもない。
「相場がおかしい」「相場が間違ってる」と自分の間違いを認められない。
そんな風に相場に向かってプライド振りかざす人はどうしようもないから。

どんなに落ちこぼれだったとしても、チャンスはちゃんとあったりもするのが相場。
自分の感覚だと、エリートで挫折知らずよりも、多少挫折経験があったり、ハングリーさがあった方がいいかもしれないなと思ったりもする。これは自分が落ちこぼれの挫折しまくりの人生だったからバイアスかかってるかもしれないけどw
そういう人は「ごめんなさい=ロスカット」が上手だったりもするしねw

「将来こうなりたい」
「これぐらい稼ぎたい」
と願うのはいいこと。

夢や目標、遠くを見ることも大事。それがモチベーションになり、ハードワークの原動力にもなる。
でも足元を疎かにして、先ばかり見ていたら、きっと足元をすくわれる。
足元をしっかりと見て、現在の自分の力量を見極め、出来ていること出来ていないことを客観的に判断し、自分を律しながら一歩ずつ成長すればいい。
個人としても、ファンドとしても。

自分の可能性を育てるのはあくまでも自分自身。
その舞台を作る努力、よりその可能性を伸ばしやすい環境は用意してあげられても、所詮はそこまで。
自分を知ることが最初の一歩。
ダメなところ、足りないところも含めて現在の自分を認めたうえで、いかに自分を律しながら相場とどう向き合うかなんだと思う。

自分を律する。
それが自分を守ることにもなるし、我々のような立場なら、投資家からお預かりした大切な資金を守ることになる。
プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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