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【マーケット】市場の分散

『PTSでの信用取引解禁』

PTSを運営している方々にとっては大きな一歩だと思う。
市場の健全な発展を願い、色々とご相談も重ねてきた方も多いし、まずは『おめでとうございます』と言いたい。

自分が積極的にPTSと関りを持つようになったのは、ディーリング部長になる前辺りからだった。

PTSの歴史は結構古い。
いくつも出来ては消え、現在ではSBIジャパンネクストとChi-Xのみとなっている。
その少し前、PTSの売買代金シェアが拡大し、10%に達するか超えたとされる頃、東証が『呼値適正化』を打ち出してきた。
PTSがその呼値の小ささによって、執行コストが低減できるということが機関投資家など執行を引き付けていた面もあり、それへの対抗策のように自分には見えた(これ主観)。もちろん米国市場などの海外市場に比して呼値を適正化するという意図はあったのだろうけれど(これが一般的な理解)。

そしてPTSの売買代金シェアは一時大きく減少してしまうことになる。
ちっぽけなイチ市場参加者に過ぎない自分達だけれど、健全な市場育成や、市場間競争の活性化などに少しでも寄与できないだろうか、と考えてPTSの方々とお話する機会を持つようになった。
ディーリング部長に就任後、最初に取り組んだプロジェクトがPTSへの直接取引だった。

地場証券では一番最初に取り組んだ(A証券が同日スタート)。

あえて売買代金シェアが落ちてきているPTSに参加し、協力する。
もちろん参加するためにはコストがかかる。
取引参加者として負担するコストに加え、システムの開発、対応。
ミドル・バックの負担など…。
それでもやるべきだと思っていた。

やったからには主役であるディーラー達に少しでも活用してもらわなきゃならない。
でも様々な問題に直面した。
マーケットメーカー(HFT)が圧倒的に多く、SORの設計や設定次第でかえって不利にもなりかねない。
ディーラーの不満ももちろん出た。

SBIジャパンネクストはナイトタイム・セッションがあるので、それは彼らにとっても「これまで指をくわえてみていなければいけない時間帯」に取引が出来るようになったという大きなメリットはあったと思う。

Chi-Xは当時の社長が非常に熱心な方で、足繁く自分の会社にも足を運んでくださり、参加者であるディーラーの不満に耳を傾けてくれたりもしていた。
その結果として、ただでさえ流動性がそこまでない中にも関わらず、HFTの影響を受けにくい仕組みを作ろうと取り組まれ、Chi-Alpha & Chi-Select、Chi-Match、Kai-Xなど、Chi-Xの中にも複数のプラットフォームが存在している。

実際に、PTSの方のご紹介で大手HFTの方々とも何人かお会いし、議論もさせてもらった。
一部のHFTに問題があるとしても、大手のところなんかはとてもしっかりとした意識を持たれていて、「フラッシュ・ボーイズ」をきっかけにしたHFT悪玉論に強い懸念を持たれていたし、彼らにとってもPTSの発展は重要なことでもあったのだと思う。

市場間競争が一定程度あることは、取引所(私設取引所含む)が市場参加者としっかりと向き合っていてもらうためには必要だと思ってる。
一方で、市場が分散することによる問題は間違いなく存在する。
米国で10年ぐらい前に起きた様々な問題。
HFT、SOR、ダークプール…。

ダークプールも発展している。
『ダークプール・アグリゲーター』なんてものも生まれている。
日本のダークプールは、一応立会外(ToSTNeT)を通すことにはなってるし、少しはマシかもしれなけれど。
どちらにしても市場の分散が進んでいけば、いつか様々な問題も生む。

一度、米国のその頃の記事は目を通しておいた方がいいと思う。
いくら全体の規模が大きいとはいえ、市場の分散が過度に進み過ぎたことによる弊害はいくつも起きていた。
恐らく今回の信用取引解禁を機に、個人投資家の利用が増えれば、その先にそういった問題が日本でも発生する可能性は少なくない。

適正な市場間競争と、市場の分散に伴う問題。
これを適切にコントロールすることはとても難しい。

踏み外したとき、市場の分散は悪しきことと捉えられて、育ちつつあるPTSやダークプールに大きなダメージを与えることにもなりかねない。

最も優先されるべきは市場参加者だ。
個人投資家も、ディーラーも、機関投資家も、HFT(MM)も、全ての市場参加者にとって守るべき透明性と公平性は維持したうえで、その競争を糧に市場が健全に発展して欲しいと願う。
プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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