【マーケット】銀行の先物売りで裁定売り残増加?
投資主体別売買動向で銀行が先物を売っていたからって、「銀行の先物売りで逆ザヤが恒常化し、裁定売りを誘発して、売り残高が歴史的にも異常な水準にまで達している」というのは明らかにミスリーディングだと思う。
これみて直近2週間のプログラム売買報告(所詮は自己申告ですが)をJPXのサイトから落としてざっと集計してみたけれど、売りをやってる業者は明らかに限定されてる。明らかに国内系に偏ってるし。

相場の専門家や解説者なら、いい加減に気がついてもいいと思うだけどなぁ。
ちょっとうんざりしてきた。
もし逆ザヤが恒常化していて、裁定売りを組みやすい地合いが長期化しているなら、もっといろんな業者が売りやってるって。こんな偏った形にはならないと思う。
1990年代から考えても、この売り残高の増加は異常な状況。どんなに相場がひどくても、先安観から先物が売られて逆ザヤであっても、こんなに売り残高が増えることはなかった。
見るべきは「先物を誰が売ってるか」ではなくて、まずは「誰が裁定売り残を作り、持っているのか」だろうに。
投資主体別売買動向で見るならば、「個別株の売り主体」と「先物の買い主体」だし、せめて公表されているプログラム売買ぐらいはちゃんと見てから語ろうよ(そういう自分も記事が気になったから拾える範囲の2週間遡っただけだけど)。
最も見るべきは、その背景にいる、需給面での大きな歪みを作っている存在だろうと思う。
明らかに過去に例がない需給要因があるにも関わらず、過去の経験則や固定概念から抜け出せず、その発想から裁定売り残で相場を語るのはもういい加減やめた方がいいと思う。
自分だって、その現場にいる訳じゃないし、所詮は片手間でやった推察・考察の範囲でしかないけれど、いくら逆ザヤ気味であったとしても、ここまで裁定売り残が増えるほど、場中に裁定売りをバンバン出来るまでのミスプライスが恒常化しているとは思えない。2015年ぐらいからの株価指数の動きと裁定残高の推移の乖離は明らかに別の要因があると思う(過去の記事みてください)。
ま、自分は相場解説者でもないし、とある市場関係者の個人的な見解ということでしかないけれどねw
ちなみにこれらの業者が相場を売り仕掛けてるとか、相場の下落要因になっているとか、訳の分からない無知な見解につなげるのはやめてくださいね。
あくまでもマーケット・ニュートラルな売買だろうし、おそらく売りをやる理由があるからやってるんだけだと思うから。
【追記】
ちなみに日銀のホームページで確認すると、8月に日銀がETFを購入したのは
2、5、6,、7、13、15、21、26日。
今日JPXのホームページで遡って確認できるのは13日からのプログラム売買。
売り残が千万株以上に大幅増となっている日は
13、15、21、26日。
本当はもっと遡って時系列を確認し、先物の売買手口などもしっかりとフォローしたうえで判断するべきだとは思うけれど、少なくとも13日以降は合致する。
確かにこれらの日は、日銀が買ってきている以上は指数的には弱い日だったりもするんだけれど、ザラ場に下落が続いて裁定売りがバンバン出るような値動きではなかったはず。
日によっては寄り付きが安値近辺で、ザラ場では上昇している日すらある。
JPXのホームページ、日銀のホームページをチェックしただけで、それぐらいは気がつけるはず。
現役時代はこういったものをデータベース化していたし、先物の手口や取得可能なデータは極力全てそうしていた。
そういったものをしっかりと蓄積し、分析を続けることで、見えてくるもの、感じるものがある。
個別銘柄やってるから関係ないとか、先物でも短期だから関係ないとか…で終わってしまう人と、そういったものもしっかりとフォローし、全体の需給や相場観の土台を作ったうえで自分のトレードをする人では、いざというときに判断の差が出る場合もある。
公表されているものぐらいは自分の目で見た方がいい。
下手な相場解説者や市場関係者のコメントを鵜呑みにするのは危険だったりする。
だって彼らのほとんどは、自分自身でリスク取ってるわけじゃないから。
もちろん中にはしっかりとデータを収集し、ロジカルに分析し、参考になる意見や判断をしてくれる人もいる。この人の意見は参考になるなぁと思う人も少なくない。
でもそういう人でも「これってどう思いますか?」と不意に聞かれて、ロクに分析もせずに適当に答えてしまう場合もままあったりする。
データや市場で起きている事実はしっかりと自分の目で見て、自分で考える。
人の言うことを何でもかんでも鵜呑みにはせず、常に自分の分析や判断と照らし合わせながら違和感があるものはしっかりと捨てる。
取捨選択が出来てこそ、初めて情報は活きてくる。
「自分で考える力」を身につけなければ、日々変化し続ける市場に対応するのは出来ないんだから。