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【回想録】試練のとき

ディーラーとして、プログラマーとして急速に成長しつつあった自分だが、その時期に大きな試練を迎えることになった。

そのディーリングチームはチーフディーラーの下、チームでの運用体制をとっていた。
しかし、突然チーフはメンバーにこう言い渡した。

「来期からはディーラーは全員契約に切り替える。契約になるのが嫌なやつは運用から離れてサポートに回す。」

全く選択の余地はなかった。
ディーラー続けたければ契約になれということ。
正社員として雇用の安定や給与の安定は捨てろということ。
そして契約の条件は一切知らされていなかった。

当時、ディーラーの契約化が進み始めた頃だった。
大体、20%程度の成功報酬が一般的だったかな。

半ば強制的に契約になる羽目になったあと、その条件は伝えられた。
ちなみにその年度、チームはあんまり儲かっていなかった。

一つの柱であった裁定取引がドイツ証券の台頭で一気に稼げなくなっていたからだ(裁定取引のブログ参照)。

運用者4人のチーム。その中でチーフはこういった。

「今期は全体不調だったが、うまくいかないのは会社が協力的でなかったためだ。今回、チームとして会社とは成功報酬を20%で握ることになった。その配分は俺に一任されている。まず俺はリーダーとして色々とやっているから半分(10%)は俺がもらう。残りをみんなで分けてもらうことになる。」

4人の中では最年少だった自分は残りの10%のうち、2%を配分してもらった。
でもいくらチームとはいえ、2%の成功報酬で契約社員になることを強制するなんて。
そして運用がうまくいかなかった責任を会社のせいにする。
責任者としてそれでいいのだろうか?

尊敬するチーフ。
優秀でハードワーカーで憧れの存在だった。
それまでの自分にとっては遠く輝く存在だった。

でもそのときに初めて疑問が芽生えた…。

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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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