【トレード】運用者の育成について
最近、色んな立場の方と話していて思う。
HFのマネージャーはアナリスト出自の方が多いし、企業の分析力によるアルファ創出というのは分かりやすいストーリーではあるのだろう。
一方で、優秀な企業分析ができるからといって、実際のポートフォリオ運用においては、リスク・マネジメント力、市場の変化に対する対応力、決断力といったトレーディング・ベースの能力も必要になってくる。
そういったものって一朝一夕には身につかないし、実際にリスクを背負い、PLと向き合い、失敗も繰り返しながらでしか得られないものだったりもする。
実際の運用経験がほとんどないアナリストが「リスク」を適切に判断できず、自身の企業分析にこだわるあまりに過度なリスクを取って大きな損失につなげてしまうこともありえる。
ロスカットや苦しい時の立て直し方、PLの状況によるリスクの取り方、実際にリスクを取りながら、市場の中でしか経験できないものがある。
次世代の運用者を育てていくうえで、企業分析力を磨くことと、ポートフォリオのマネジメント・スキルを磨くこと。この二つをどうバランスさせながら、学び、経験できる環境を作っていくか。
相場は常に変化する。
一定の期間が経過すれば、過去に経験のないような変化も生じてくる。ITの進化によるトレーディングや分析の在り方の変化、中央銀行による市場関与…etc。
過去にうまくいっていたマネージャーが、その後10年・20年と適応し続けられる保証はない。
新しい世代の育成と、過去に経験を積んだマネージャーがやりがいをもって向き合える次のステージをどう考えていくのか。
リサーチや分析を学べる環境と、トレーディングを経験できる環境の両立。
人を育てるうえでの今後の課題かな。