【回想録】苦行のとき…4
ポジション枠が5枚に増えた頃。
新入社員のときのチームのチーフディーラー(以下、兄貴)が移籍してきた。
自分にとって兄貴のような存在。
この人が居たから、自分は転職が出来たし、ディーラーとしての道に戻れた。
とても嬉しかった。
しかし…色々と問題もあった。
当時、チーフディーラーはS&P先物やCME日経平均先物を夜間自宅で売買していた(自分も時々夜中にお邪魔してやらせてもらっていた)。
そのため会社に来るのは昼頃。でもNTやオプションなどのポジションは結構抱えたままになっている。
前場、そのポジションの運用管理を誰かがしなければならない。それを自分が任せられていた。
自分のポジションは先物5枚。
でもそのチーフのポジションは動くとデルタ数十枚にはなる。
当然、自分のトレードよりもそっちに集中しなければならない。
そのため前場はあまり自分のトレードはできず、後場からやることが多かった。
それでも信頼されている証と前向きに受け取って頑張っていたのだが、兄貴が合流してからはそうはいかなくなってしまった。
チーフと兄貴は将来会社を立ち上げようとしていた。
兄貴は証券金融情報の会社を作りたがっており、そういった会社と連携して情報提供のビジネスを並行して進めていた。
後場になると、チーフの席から自分の席に戻り、兄貴の横に座るとそれに関する仕事をポンポン振られた。
これ書いて…
あれ作って…
あぁ、また『ドラえもん』だ…。
前場はチーフのポジション運用管理。
後場は兄貴に頼まれた資料作り。
しばらくは耐えたが、あるときにプツンと切れてしまった。
例の月末面接で
『お前せっかくポジション増やしてやったのに全然数字が伸びてない!』
と叱られたのだ。
『当たり前じゃないですか!自分のトレードやるヒマないんすから。』
そして自分は現物株への再転向を決断した。