【回想録】苦行のとき…3
先物のポジションが倍になった頃(といっても2枚だが…)、自分が抱えていた仕事は他にもあった。
あのアシスタント業務に加え、「システム担当」としての仕事。
一つは裁定取引用の発注システムの運用管理。
初期に導入していたこのシステムはUNIXベースで扱いづらく、よくトラブルを起こしていた。
一番多かったのは回線がつながらないトラブル。
その原因で一番多かったのは、誰かが配線踏んじゃってケーブルが抜けてた…という間抜けなトラブル。
当時、その会社ではコードが剥き出しで、端末の後ろにいくと恐ろしいほどグチャグチャになって絡まっていた。今、思えばありえない話だけど、何か端末の入れ替えとかあると必ずといっていいほど誰かが踏んでケーブル外れてトラブル…。
その度に復旧作業をしなければならなかった。
立ち上げればいいというものではなく、接続までいくつかの作業をしなければならず、かなりの手間がかかった。
そのシステム会社も自分が入って一年ちょっとで倒産するような状態だったから保守も十分じゃない。
システムに強い自分がその任を背負わされるまで時間はかからなかった。
さらにVBAレベルではあったが、プログラミングが出来たため、デリバティブ、CB、現物の先輩たちのサポートもしていた。
「こんなの作れない?」
「あんな感じで作ってよ。」
いつか見た光景…ここでもやっぱり「ドラえもん」だった…。
でも大きな違いはそれが運用に直結していたこと。
・ロングショート。
・バスケット(TOPIX型の裁定取引を行うための現物バスケット)。当時はBARRAモデルを使うところが多かったが、そのチームではExcelで分析・構築・検証を行なっていた。
・CBのボラティリティ計算。
・テクニカル分析を元にしたシステム運用。
などなど…。
当時の自分にとってバイブルだった教本は「フィナンシャル エンジニアリング」。ボラティリティを計算する際に一般的なのはブラック・ショールズモデルだが、その他に二項分布モデル、ハル・ホワイトモデルなどがある。そのハル・ホワイトモデルの考案者でもあるジョン・ハルが書いた分厚い本だ。
コテコテの文系、浪人、留年をして五流大学卒業の自分がこんな本を毎日読むとは…。
でもそのおかげでその後の自分にとって大きな「知識」という財産を得ることが出来た。
ただ非常に由々しき問題が…。
どうしても自分の運用に集中しきれないのだ。
アシスタント業務もある。
システム担当としての仕事もある。
結果、場中でも運用以外に時間を割かれることも多く、ディーラーとしては苛立ちが募る日々が続いた。
そして毎月末に行われるチーフとの面談。
褒めることにがほとんどない人だった。
他の業務があるからという言い訳なんて通じない。
それなりに頑張ってはいたはずだが、毎月のようにダメ出しの連発。
「この程度の数字じゃまだまだ話にならない。」
何度言われたことだろう。
でもついにある月の面接で…
「これだけディーリング以外の仕事抱えていたら厳しいですよ。もっとディーリングに集中させてください。」
と申し出た。
正直、ちょっと怖かったけど…。
しばらく間が空いたあと
「分かった。お前の気持ちも分かるから、若手みんなで分担するようにしよう。」
翌日からはかなり負担が軽減されて相場に集中できる時間も持てた。
そしてほどなく先物のポジションを5枚に増やしてもらった。
とても嬉しかったのだが、
現物株の先輩が
「すごいな。ミスター(チーフの呼称)の下で5枚までいったヤツ初めてなんじゃないか?」
どうやら自分の前に何人も先物をやらされたものの、2枚以上には増やしてもらえず、ほとんどが挫折していったらしい…。
喜びはあったけど、浮かれている場合じゃなかった…。
あのアシスタント業務に加え、「システム担当」としての仕事。
一つは裁定取引用の発注システムの運用管理。
初期に導入していたこのシステムはUNIXベースで扱いづらく、よくトラブルを起こしていた。
一番多かったのは回線がつながらないトラブル。
その原因で一番多かったのは、誰かが配線踏んじゃってケーブルが抜けてた…という間抜けなトラブル。
当時、その会社ではコードが剥き出しで、端末の後ろにいくと恐ろしいほどグチャグチャになって絡まっていた。今、思えばありえない話だけど、何か端末の入れ替えとかあると必ずといっていいほど誰かが踏んでケーブル外れてトラブル…。
その度に復旧作業をしなければならなかった。
立ち上げればいいというものではなく、接続までいくつかの作業をしなければならず、かなりの手間がかかった。
そのシステム会社も自分が入って一年ちょっとで倒産するような状態だったから保守も十分じゃない。
システムに強い自分がその任を背負わされるまで時間はかからなかった。
さらにVBAレベルではあったが、プログラミングが出来たため、デリバティブ、CB、現物の先輩たちのサポートもしていた。
「こんなの作れない?」
「あんな感じで作ってよ。」
いつか見た光景…ここでもやっぱり「ドラえもん」だった…。
でも大きな違いはそれが運用に直結していたこと。
・ロングショート。
・バスケット(TOPIX型の裁定取引を行うための現物バスケット)。当時はBARRAモデルを使うところが多かったが、そのチームではExcelで分析・構築・検証を行なっていた。
・CBのボラティリティ計算。
・テクニカル分析を元にしたシステム運用。
などなど…。
当時の自分にとってバイブルだった教本は「フィナンシャル エンジニアリング」。ボラティリティを計算する際に一般的なのはブラック・ショールズモデルだが、その他に二項分布モデル、ハル・ホワイトモデルなどがある。そのハル・ホワイトモデルの考案者でもあるジョン・ハルが書いた分厚い本だ。
コテコテの文系、浪人、留年をして五流大学卒業の自分がこんな本を毎日読むとは…。
でもそのおかげでその後の自分にとって大きな「知識」という財産を得ることが出来た。
ただ非常に由々しき問題が…。
どうしても自分の運用に集中しきれないのだ。
アシスタント業務もある。
システム担当としての仕事もある。
結果、場中でも運用以外に時間を割かれることも多く、ディーラーとしては苛立ちが募る日々が続いた。
そして毎月末に行われるチーフとの面談。
褒めることにがほとんどない人だった。
他の業務があるからという言い訳なんて通じない。
それなりに頑張ってはいたはずだが、毎月のようにダメ出しの連発。
「この程度の数字じゃまだまだ話にならない。」
何度言われたことだろう。
でもついにある月の面接で…
「これだけディーリング以外の仕事抱えていたら厳しいですよ。もっとディーリングに集中させてください。」
と申し出た。
正直、ちょっと怖かったけど…。
しばらく間が空いたあと
「分かった。お前の気持ちも分かるから、若手みんなで分担するようにしよう。」
翌日からはかなり負担が軽減されて相場に集中できる時間も持てた。
そしてほどなく先物のポジションを5枚に増やしてもらった。
とても嬉しかったのだが、
現物株の先輩が
「すごいな。ミスター(チーフの呼称)の下で5枚までいったヤツ初めてなんじゃないか?」
どうやら自分の前に何人も先物をやらされたものの、2枚以上には増やしてもらえず、ほとんどが挫折していったらしい…。
喜びはあったけど、浮かれている場合じゃなかった…。