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【ビジネス】ようやくスタートライン

運用会社としての登録も、SingaporeのMAS(Monetary Authority of Singapore)によって完了し、ようやく運用会社としてのスタートが目前に迫ってきた。
本音を言えば、ある程度覚悟はしていたものの、スタートまでがこんなに時間もかかり、大変なものだとは…。
投資家の資産をお預かりする運用ビジネス。
これを行うにはそれぞれの国の法律に基づいたライセンスなり、登録・認可を受ける必要がある。
そのためには人的要件など諸々を満たす必要がある。
申請を行ってからは、どの国でも認可まで一定の期間はかかる。
つまりその期間は、業務は出来ないのでお金は支出のみになる。

しかも、その間に様々なドキュメントを作り、各カウンターパーティーと契約を結んだり、KYCを受けていく必要もある。そのためには法律事務所のサポートが必須。相当な費用もかかる。

数ヶ月、人件費をはじめ、様々な費用が持ち出しになってしまう。
レギュレーションで最低維持資本金を定められているうえに、それまで支出ばかりが重なるっていうのは分かっていてもかなりの負担だ。
ある程度の資金の余裕がなければ、ライセンスが必要なビジネスは負担が大きい。認可までの期間というのは、こういったビジネスを始めるにあたっては大きなハードルの一つだろう。

ファンドがどこにあるかも大事。
シンガポール政府もSVACCという制度を一昨年から走らせているが、やはり日本のヘッジファンドの多くはケイマン籍。
ケイマンなどでもレギュレーションは強化されてきていて、AMLOなどの対応も求められてくる。FATCAとか、W-8-BENなどの税制に関わる対応も必要。

様々なレギュレーションや法律を学びながら、それぞれの対応をしていき、投資家対応の準備を始める。
プレゼンテーション資料の作成。
自分達の運用者の特性を知り、分析し、特徴や戦略、リスクなどを出来るだけシンプルにまとめていかなければならない。
投資家もプロの方々ばかりなのだから、下手なもの持っていったらダメ出しのオンパレードになりかねない。

しかも、マーケティングにも様々な制約がある。
あくまでもシンガポール法に基づいた登録運用会社である以上、他国でのマーケティングは行えない。
またその登録やライセンスのステータスによって、受けていい投資家、ダメな投資家もある。特に個人投資家は、投資家保護の観点から一定の要件を満たしていないとお受けすることも難しい。
特に最初の頃は(だと思うけれど)、あっちこっちから問い合わせが来る。当たり前だけど、英語のメールもバシバシ来る。

マーケティング資料もとても大事。
徹底的に自分達(ウチの場合は後輩の運用者)の運用を分析し、投資家が知りたい情報にどれだけ的確に答えられるか。
「説明責任」の重さや大変さはこのあたりから痛感する。
決められたルールの範囲であれば、概ね好きにやっても結果さえ出ていれば認めてもらえる自己売買とは全然違ってくる。
論理的に、自分達の運用のどこにアルファがあるのか。収益の源泉がどこにあって、再現性があり、弱点がどこにあって、そのリスクに対してどうリスクマネジメントをしているのか、それらが説明出来なきゃいけない。

合間にホームページ作ったりもした。
出来るだけコスト抑えたいのでその辺は自分で。それでも法律事務所にレビューしてもらう必要もあると思えば、それにもお金がかかってくる。実際やってもらったけど…。

オペレーションやNAV(Net Asset Value)の計算、それらの実務もなかなか大変。こっちは本番が始まってからが地獄かなw
でもしっかりやってみせなければ、投資家の信頼を損ないかねない。

監査法人や、(各国の)法律事務所、トラスティ、アドミニストレータ、カストディアン、プライム・ブローカー…、様々な方々と仕事をしていく。
様々な立場でのプロフェッショナルに支えられて形になっていく。
実績や信頼のある第三者による監督・監視をしてもらえることも大事な要素だ。
投資家の資金を受託するのはとても重い責任なのだから。

そしてそういった方々の中では、自分が一番の素人だ。
なんせ全てが初めてのことばかりなんだから。
こんなに色々と一気に勉強したのはどれぐらい振りだろう。

それでもようやくスタートが見えてきた。
後輩達がそのステージでどんな活躍をしてくれるのか楽しみだ。
そして5年先、10年先、まだ見ぬ後輩達が活躍してくれる場所になってくれたらいいなと思う。



【ディスクレーマー】
 このコラムは当社のサービスの販売促進や当社が提供するサービスに関し推奨または勧誘する意図で作成されたものではありません。

Yamawa Asset Management Pte. Ltd.は、シンガポールにおいて、登録ファンド運用会社(Registered Fund Management Company(RFMC))としてシンガポールの金融管理局(Monetary Authority of Singapore(MAS))の規制下にあります。シンガポールの証券先物取引法(Cap.289)および証券先物取引(ライセンスおよび業務運営)規則で定義される適格投資家(Qualified Investors)を対象としております。本コラムは、有価証券や金融商品の購入・引受け、または投資サービスや投資助言の提供を勧誘または推奨するものではありません。また、当社は、本コラムに含まれる情報を信頼できる情報源から取得するべくあらゆる努力をしておりますが、当社は、情報の誤り、欠落、あるいは、記載されている情報の使用に起因して生じる結果に対して一切の責任を負いません。本コラムの全ての情報は、その時点での情報が記載されており、完全性、正確性、即時性を保証するものではなく、また、情報の使用に起因して生じる結果について一切の責任を負わず、明示であると黙示であるとを問わず、何ら保証(業績、商品性、あるいは特定の目的への適合性の保証を含みますが、これらに限定されません)するものではありません。

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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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