【ビジネス】新たなスタート
昨日、Yamawa Asset Management Pte. Ltd.の創設メンバーがようやく揃った。
みんなで記念の写真を撮ったりした。
ここまで会社の設立、ケイマンなどでのストラクチャリングやドキュメンテーションのプロセス、シンガポールでの運用会社としての登録プロセスなどをずっと取り組んできて、ようやくスタートが見えてきた感じ。
山和証券の自己売買部門(ディーリング部)から、こういう取り組みをする理由。
お金もなく、経験もない若い世代が運用者としての未来を夢見たときの選択肢を作っていきたいという「想い」がそこにはある。
これは自分としては十数年願い続け、挫折なども経験しながら、諦めることなく取り組んできた一つの形。
ボルカールールの影響で、国際的なビジネスをしている金融機関のほとんどで、自己資金による売買(プロップ)はほぼなくなってしまっている。
「ディーリング」といえば中小地場証券。でもこの業界も2010年以降、シュリンクし続けてしまい、いまでは最盛期の10分の1といったところ。
日本で、「ゼロから運用者が育つ環境」はあまりにも少ない。
著名個人投資家の人に憧れ、その道を目指す若い人も多い。
それも一つの選択肢だと思う。でも専業でそれを出来るところまでいくのは決して容易なことではない。リスクと向き合うことが出来ないままに挑戦し、そこで一歩間違えれば、人生を大きく左右しかねない。
日本にある個人金融資産という資源を活かしていくためには、運用者としてそれを担える人材を育て、増やしていかなければいけない。
今、ヘッジファンドの運用者になるとすれば、アナリストから転じる道が一番可能性があるのかな。高い企業リサーチ力をベースにした運用にはアルファがあると説明も付きやすい。
でも運用はそれ(リサーチと情報)だけでは完結しないし、もっと多様性に富んだ運用者がいてもいいのだろうと思う。
一定の範囲内で、自分の裁量で運用に取り組める環境。
「絶対リターン(自分はあまり好きな言葉ではない)」とも呼ばれる安定的なリターンを目指す運用。
ロングオンリーのファンドであれば、ベンチマークを上回っていればそれは評価されるべきファンドといえる。でも相場全体が大きく下げる局面では、どうしたってドローダウンが出ることもある(ロングオンリーに投資しているのに、それを批判する人はどうかと思う)。
そういったときにβリスクを抑制し、異なるリターン・リスクのプロファイルを持つ運用者を、投資家にとっての選択肢として増やしていくことも大事なことだと思っている。
海外の投資家からみれば、ロングオンリーはストラテジーの一つに過ぎない。ロングショートや、グローバルマクロ、様々な運用ストラテジーの中の一つだ。
運用者の多様性。
投資家からみたときの選択肢を増やす。
次世代の運用者が、生まれ育つ環境を作る。
でもその道は決して容易な道ではない。
著名個人投資家に憧れる若い個人投資家でも同じことだろうけど、その多くが志半ばで道が閉ざされる。
それを少しでも減らし、成功確率を引き上げるために、そこには人を育てる環境や、経験や知識を学べる場所も作っていく必要がある。
それを何年もかけて作ってきた。
それでも多くの人材が、それを叶えることなく挫折するだろう。
そこに辿り着くのは容易なことではない。ハードワークも必要だし、常に成長を求める貪欲さ、論理的な思考プロセス、他者の考えを受け入れ、吸収しつつ、それを取捨選択していけるだけの合理性。相場だから、必ず失敗も間違いもある。そのときに立て直すための底力と精神的な強さ。どういった運用手法で相場と向き合うか、それによって求められるものも、必要なことも変わってくる。先輩から学びつつ、それ以上のものを自分で見つけていかなければ、おそらくそれ以上の運用者にはなれない。
それを貫いていくためには、目指すべきもの、憧れ、目標にできる存在も必要になる。
そしてそこで切磋琢磨し、結果を出し、運用哲学を磨き、リスク・マネジメント力を身に着けていったトップレベルの運用者が、投資家の資金を受託し、その運用力をより高いレベル、広いフィールドでその力を発揮できるようにするための今回の取り組み。
これも一つの挑戦。
数年後、どうなっているかはやってみなければ分からないし、やってみせなければいけないと思っている。
自分たちの未来だけではなく、同じ道を志す若い後輩たちのためにも。
自分はすでに現役ではなく、あくまでプロデューサーであり、監督であり、その他諸々の雑用係w
でも若い世代が育ち、その舞台で活躍してくれる未来を創りたいと思っている。