今回のロシアによるウクライナ侵攻という暴挙と、それが招いた世界的な断絶と緊張状態。
今更ながら、旧ソ連形成国の歴史について自分があまりにも無関心・無知であり、現状を知らなかったことを痛感しました。
ここしばらく時間があれば、様々な関連記事や本を読んだり、ドキュメンタリーを見ています。
ウクライナのオレンジ革命、そしてマイダン革命と多くの血を流しながら勝ち取ってきた民主化。そしてロシアによるクリミア侵攻、ドネツク・ルガンスク東部地域で続いてきた紛争。
グルジアの民主化とロシアとの紛争、そして「這う境界線」。
小国アルメニアで起きたデモによる革命と民主化。
欧州最後の独裁国家と呼ばれるベラルーシで続く民主化の戦い。
ロシアの言論統制と現政権に異を唱える人たちの苦闘。
新聞記事の短い文章からは感じ取れなかったものが沢山そこにはありました。
歴史の中で多くの侵略や戦争に巻き込まれ、戦地となってきたウクライナ。
ソ連崩壊によって、ようやく独立した主権国家となったウクライナ。
独裁的な政権、汚職がはびこる政治に対して、学生たちを中心に立ち上がり、多くの血を流しながら勝ち取ってきた民主的な国家。
それをまたロシアの侵略によって奪われようとしている。
歴史の解釈というのは、人の主観や立場によって歪められもします。
どの国の政治が正しくて、間違っているかなんてことも人の立場によって変わるでしょう。
でも現在の政権を批判することすらままならないロシアやベラルーシ(他にもあるけど)。
異なる価値観や主張を弾圧するようなこと。
主権国家である他国を侵略するようなこと。
自国の兵士たちにすら事実や目的をまともに伝えず命をかけさせること。
他国の何の罪もない人々を殺戮することを正当化しようとすること。
「核」を使用することですら威嚇に使い、言葉に出してしまうようなこと。
個々の人間が持つ生命や自由や権利を奪うことは絶対に許してはいけないし、人の権利や尊厳を踏みにじる行為、それは「悪」だと断じていいと思います。
ウクライナの人々の元に一日も早く平和な日常が戻り、難民となって多くの国々に避難した人々が自分の土地に戻り、自分たちの未来のために汗を流す日々を取り戻せることを心から祈ります。
これまで多くの苦難を乗り越えて手にした主権と民主的な国家が維持され、他国からの侵略に怯えることなく未来に向かっていけるように願っています。
ロシアにもベラルーシにも善良な人は沢山います。
そういった人たちの声は弾圧され、多くのロシア人が国外に出ています。
現代の日本人の自分には想像も出来ない状況です。
でも振り返ってみれば、第二次世界大戦時の日本も正にそういった弾圧が正当化されていた時代があります。
Twitter見てて、沢山の岸田首相への批判を目にします。
共感できるものもあれば、ちょっとそれは…と思うものもあるけれど、何よりもそれが当たり前のように出来る日本って平和で幸せなんだな…と改めて思いました。
人は自分が一度信じたものを否定することってなかなかできません。
自己否定にもつながるから。
第二次大戦に向かうナチスドイツも政党として支持を集めた先にその暴挙がありました。
でも、まともな大人なら、やっていいこと、悪いことの区別ぐらいはつくでしょう。
子供たちにそれを教える立場にいる大人として、子供たちの未来を守り、胸を張れる大人であってほしい。
そう信じたいと思います。
マーケットについて思うこと。
昨年末から急激に高まるインフレ懸念と中央銀行のタカ派転換。
それによって株式市場はある程度調整を余儀なくされてきたところでのこのロシアによるこの侵略戦争。
団結した欧米諸国による強力な制裁措置によるロシアとの断絶。
一歩間違えれば、第三次世界大戦や核戦争すら勃発しかねない緊張状態。
散々、ロシアがウクライナに侵攻しようとしているぞ、と注意喚起されていたはずなのに、どこかで「この時代にそこまでの暴挙には出ないだろう」と、どっかで楽観視してしまっていたのかもしれません。
そのリスクをどう評価すればいいのか判断がつかず、市場は急速にリスクオフの動きになりました。
かなりリスクを落とした状態にあるところに、ショートポジションもそれなりに積みあがっていたのでしょうね。
需給的にも軽くなっていたところだけに、戻りも戻りでまぁすごい。
ただ人の思惑が錯綜する戦争の行方を予測することは誰にもできません。
恐らくプーチン大統領自身ですら予想していなかった状態になっているのが現状でしょう。
いくつかのシナリオを想定し、その場合にどういった状況が起こりえるか、などについては考察できるところもありますが、戦況やロシア側の行動、NATOの対応、何がトリガーになってどう展開していくのかは予測は困難です。
今後の戦争の行方や予測に基づいてマーケットが動いたというよりも、戦争のリスクに慌ててリスクを落としきり、ショートも入ってきて、割安感も出てきたところにある程度まとまった買いが入り、戻っているという状態なのかなと考えています。
経済の予測についてもすごく難しい局面です。
戦争や制裁の影響がどこまで続くのか。
足元のインフレ自体は供給サイドに起因したものではあると思っていますが、パンデミック、戦争、制裁とここまで悪材料が重なるとどれほどそれが長引くのかも正直分からない。
中央銀行ですら、その予測やかじ取りが困難になっているのではないでしょうか。
米金利も少しずつ逆イールドが実現しつつあります。
かなりの確率で景気後退のシグナルとも言われています。
5月には金利の引き上げだけではなく、QTに踏み込まざるをえないのかなとも思います。
QEによる大量の流動性供給に歩調を合わせるかのように上昇してきた株価だけに、その影響は軽視してはいけないでしょう。
年後半か来年あたりに景気後退局面が来る可能性は少なからずあるのでしょう。
短期的なインフレで終わらずに本格的なスタグフレーションになるリスクもそこにはあるかもしれません。
ストラテジストや、エコノミストの方の話も色々とお聞きしましたが、まぁ本当に難しいところですね。
結構、オーソドックスにPERやPBR、配当利回りといった指標が取り上げられる局面が増えているようにも思います。株価的に下値のサポートとして意識されているのでしょう。
そうなってくると2008年以降続いてきたグロース優位の展開から、少し景色が変わってくるのかもしれません。
ただここまでグローバル化が進んできた世界において、急激な断絶が生じていくことをあまり想定できていなかったし、準備も出来ていないというのが正直なところ。
ロシアの侵略に中国がどう関与していくのか。
今回、ロシア進出している企業や取引の多い企業は大きなダメージを受けました。
中国の対応次第では、冷戦2.0と呼ばれるような構図になっていくリスクもあります。
考えうるリスクがあまりにもアチコチあり過ぎて、ちょっと整理が追いつかない…。
それでも今後起こりえるリスクを想定し、リスクを抑制しつつ、一歩引いて中期的なポジショニングのチャンスを待つ。
短期的にはボラティリティがかなり高い状態が持続する可能性が高いので、トレーディングスパンを短期化していくのも一つのアプローチかもしれません。
まぁマーケットとの向き合い方は人それぞれ。
ただ昨年後半でコロナ禍での超過剰流動性相場は一巡し、次の展開に相場は入っていること。
そして2月24日を境に世界は一変したこと。
いったん頭の中を整理しておいた方がいいのは確かでしょう。