本当は一昨日日本に一時帰国しているはずだった。
前回の緊急事態宣言が明けたとき、「ようやく日本に一時帰国することが出来る」そう判断して、スケジュールの調整や業務の引継ぎの準備をしながら、航空券を手配し、多くの人たちとスケジュールを調整してミーティングや(少人数での)会食などの予定を組んでいった。
1年3ヶ月ほど日本に帰れていない。
家族にも会えておらず、Zoomとかで会話するだけ。
仕事も本当に色んなことがあった中で、ようやく前を向いて色々と進んでいける状況が見え始めてきた状況。
オンラインで出来ることはそうしてきたし、それで足りるかもしれない。
でも大切な人や、大切なことは直接お会いし、きちんと伝えたかった。
大阪の感染者数が1日1000人を超え、東京の感染者数も増え始めた中で小池都知事の記者会見を拝見した。
「他県から東京へは来ないでください」
この一言を聞いて、こんな状態で行くわけにはいかないと判断して、全てをキャンセルした。
正直、より安全なシンガポールからの日本帰国だし…という考えもちょっとよぎったけど。
家族にも会いたかったし、仕事でもしっかりとご挨拶しておきたい人(会社)がいくつもあった。
日程が限られていた中で、少人数でしか会えないため、会いたい人全てに会うことは出来ないのは分かっていたけれど、それでもなんとしても行きたかった。
苦渋の決断ってのはこういうことなんだなと改めて思った。
でも少しでも早めに決断する方が、自分の為に予定を空けていてくれた人にかける迷惑も最小限にできる。
結果的にはそれでよかったかな。
今日、シンガポールがコロナ禍で安全な国のトップになったという記事を見た。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-04-26/QS5FPMDWRGG001
ドミトリーで感染爆発を起こし、失敗したと批判された時期もあったが、それを抑え込み、ついにここまで安全と言われる状況を実現したシンガポール。
市中感染はほぼゼロが続いており、日々報告される感染者は全て海外渡航者だ。
10~20人程度だったその数が、ここ数日40人を超えてきているのは気になるところだが、それも水際対策がキッチリ出来ているから市中に広がる不安はあまり感じない。
人数制限(今は8名まで緩和された)や営業時間の制限(22時半まで)、飲食中以外はマスク着用義務(飲み物、食べ物がない状態でマスクを着用していないと処罰を受ける)、業種によっては営業停止など相変わらず規制はきっちりされているものの、シンガポールの飲食店はちょっとしたバブル的な賑わいを見せている。高級寿司店とか2ヶ月、3ヶ月先まで予約で埋まっていたりするところもある。日本で飲食店が苦境に陥っているのとは対照的だ。
それもシンガポールが感染拡大初期段階でサーキットブレーカーと呼ばれる厳しいロックダウン措置を取り、市中感染を徹底的に抑え込んだうえで、水際対策もきっちり行ってきたことが奏功している。本当にシンガポール政府はうまく対応してきたと感心させられる。
でも外でのマスク着用は当然義務だし(運動中と飲食中のみ外すことが認められている)、していなければ罰金が科される。
規制に違反すれば厳しい処罰もされる。
収監された人や、ビザをはく奪されてシンガポールから追い出された人もいると聞いている。
日本でマスク着用に不満を言い、着用せずに問題になる人がいるが、シンガポールでそれをやると、もれなく処罰される。
国民に危機感がそこまでなかった時期に、日本でそんな強力な規制が出来たかどうか。
人権や自由を過度に制限することをせず、ここまで感染を抑制してきた日本って、世界的にみれば優秀なのかもしれない(実際先の記事では7位に位置している)。
日本は「お願いベース」でやってるから、変異株もすっかり入り込んでしまっているし、ダメなところはもちろん沢山ある。でもシンガポールのような強制力のある措置を発動させてたときに、国民はどう反応するのだろうか(シンガポールは強制的に14日間の隔離(自己負担で2000SGD))。
ワクチンは、シンガポールは現在45歳以上が対象となっており、自分も一回目はすでに接種済。5月初旬に二回目も終わる予定だ。
日本は、ワクチンの普及も現在は遅れているようだけれど、5月からは接種のスピードも上がってくるらしい。
リーダーって大変だなと思う。
パンデミックへの対応なんて、誰がやったとしても批判は必ず受けるだろう。
厳しくやれば、批判をされる。
緩ければ、また批判をされる。
国民のストレスはリーダーに自ずと向かう。
手探りの中で、何が正解かも分からないウイルス相手に必死に考えて決断していかなければいけない。
もちろんそれだけの責任と権限があるのだからしかたない。
経済や国民の暮らしを守りたい。
リスクと向き合いながら、懸命に戦ってくれている医療従事者も守りたい。
新型コロナウイルスなんて消えてなくなって欲しい。
オリンピックもなんとか開催して、頑張っている選手の皆さんの活躍の場を守り、それを見た世界の人々の励みにしてもらいたい。
想いはみな同じだろう。
ただ「お願い」ってのは都合よく使っちゃよくないとは感じる。
「お願い」をまじめに聞いた人がバカを見る。
そんなことがあっちゃいけない。
その辺はシンガポールは明確だった。
ダメなものはダメ。その代わり補償するものは補償する。
どの国や自治体の対応がベストだったのか。
何が有効だったのか。
そこへの検証や反省はしっかりと行うべきだろう。
ただ今は我慢が必要な時。
年内には必ず明るさが見えてくるときがくる。
そう遠くない時期に、また日本への一時帰国を考えられる状況になることを信じて。