この記事ではネット証券も厳しいビジネス環境に陥りつつあると。
個人の減少がHFTのせいみたいな書き方しているのにはちょっと違和感もあるけれど、まぁ日計りのデイトレーダーの減少という意味では「一因」ではあるかな。
一方で、短期売買型の人は、ボラティリティの高さもあって株から仮想通貨(暗号資産)に流れた人もそれなりにはいるのかな。
アベノミクス相場で儲かった個人投資家も沢山いただろう。
8000円台から24000円台まで駆け上がった日経平均株価。指数で3倍となれば、そりゃ収益機会もそれなりにあったはずだ。
でも最近はだいぶ難しくはなってる。
高値からは調整色を強めているし、市場は低迷し、不透明感も増している。
政治、ちょっとした発言やツイートで相場は無駄に乱高下するし、リスクコントロールも難しいかもしれない。
でも長い期間のチャートでみれば、どうみたって「調整」の範囲内。
にもかかわらず、その間に退出させられた個人投資家はなんとなくだが沢山いる気がする。
「リスク」との向き合い方にこそ問題があるような気もしないでもない。
儲けやすい相場で儲かる。
これは多くの人がそうだ。
大事なことは、儲けにくい相場でどうなのか?
(1)ガードを固めて判定勝ちでもいいから最小限のリターンを出す。
(2)取ったり取られたりを繰り返し、儲からない。
(3)損をして退出させられる。
上げ幅の一定比率のでの調整でしかない以上、それで(3)になってしまうのは根本的なリスクの取り方に問題があるとしか思えない。
ディーラーでも、若手とかでいい相場でたまたま大勝ちして、ポジションが大きくなった人って、そのほとんどが数年後に消えている印象がある。
「いい相場」で勝つのは当たり前。
「難しい相場」でこそ地力が問われる。
相場のおかげで儲かった部分と、自分の地力を勘違いしてしまうとそうなってしまいがち。
「賢明な投資家」
になるために何が必要なのか。そういったことをしっかりと伝えることが大事な気がする。
そしておそらく賢い人は、「(4)今は勝負どこじゃないから様子見」でのんびりやってるのかもしれない。
「待つのも相場」だしね。
ファンドマネージャーやディーラーみたいな職業で運用やっている人は、「やらない」という選択肢をなかなか取れない。だから「しのぎ方」を身に着けて(1)を続けるしかない。
最近の個人投資家はとっても賢くなっている印象がある。
インターネットには情報があふれ、賢明なアドバイスや意見、知識を簡単に見たり、学んだりすることができる。
1990年代、2000年代の個人投資家の印象とは様変わりしている。
下手な「プロ」よりもよっぽど理解が深い人もいる。
ネット上の情報は玉石混交なので、しっかり見極めることが大事だとは思うけれど。
最近では、有料の投資情報も底が浅いものなら見抜く力を持っている人が増えている印象もある。
相場低迷によって一時的に減少したとしても、個人投資家は相場が盛り上がってくれば、ある程度は戻ってくるようにも思う。
正直、問題なのはこっちかな。
『地盤沈下の関西証券業界 45年で従業員半減新規参入乏しく、個人資産生かし切れず』
先日の記事では関西証券業界の地盤沈下が。
社数で考えれば確かに関西の地盤沈下は厳しいのだろう。
ただ対面営業主体のリテール証券は、地域に限らず全て厳しいと見るべきだと思う。
個人投資家の株取引の約9割を大手ネット証券が占め、対面営業自体がその存在意義を問われている。
対面営業での顧客の年齢層はおそらく相当に高い。
さらに最近では「取引手数料無料」をうたったスマホ証券なども出てきている。
高い手数料を取って取引を取り次ぐ。
それに見合うだけのサービスや付加価値を提供できているのか?
それもないのに手数料で利益を上げていくというフロービジネス自体が、もう構造的に時代遅れになりつつある。
大手証券ですら、リテール網の縮小に動いている。
ここからの数年は、各社生き残りをかけることになるだろう。
厳しい現実を見つめ、時代の変化と向き合ってこなかったことを認めたうえで、根本に立ち返らなければいけない。
「対顧客ビジネスである以上、顧客に求められる存在になる。」
顧客ニーズがどこにあるのか?
現在の自社が、それにどこまで対応できているのか?
出来ていること、出来ていないことを整理し、持っているもの、持っていないものを整理し、何ができるのかを考える。
顧客と向き合うことをせず、そのニーズを受け止めず、「これまでこうやってきたから」と、過去の延長線上でしか考えることが出来ない。
それでは厳しいだろう。
もう小手先のことでどうにかできる状況ではないと思う。
証券業界から実質的に去っていった友人・知人も多い。
これから先はもっと減っていくだろう。
こっちは構造的な問題を抱えている。
かといって証券市場は資本主義経済を支える根幹でもある。
それを支える証券業界がどうあるべきなのか。
自分達がこの市場の中で必要とされ、市場に資する存在になるために、これからの数年でどう変わっていくべきなのか。