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【ビジネス】アジアの中の日本

今日は午後から、欧州系ブローカー(証券)が主催するヘッジファンド向けのセミナーに招待いただいて参加してきました。

香港で開催されて、シンガポールと上海にビデオ中継。
すでにそこには「東京」がないんだなと。

ふと「そういえば最近電化製品とか買っても、取扱説明書に英語、スペイン語、中国語、韓国語はあっても日本語がないな。」と感じたことを思い出したり。

シンガポール側で参加していたヘッジファンドは、シンガポール、中国、韓国。日本人は自分だけ。
あるファンドの方と話したら、PM(Portforio Manager)はインド人と中国人がいるとか。フォーカスしている市場もアジア・パシフィック。

日本は金融資産もあるし、可能性をもったいい人材も沢山いる。
市場の規模も相対的に落ちたとはいえ、世界トップクラスだ。
なのになぜか金融や資産運用業界の中で、日本人の存在感は小さ過ぎる気がする。

もっと広いフィールドで活躍し、広い視野をもった若い世代が育つことが出来るようにしていかないといけない。
まだまだやらなきゃいけないことは沢山あるな。
そう痛感した一日でした。


【マーケット】急落すると「悪役」探し?

市場が急落すると「悪役」探すのが好きな人が多い。

 

最近ではどうやら「AI」らしい。

「ヘッジ・ファンド」もかな(笑)

以前は「先物・オプション」、「裁定解消売り」あたりだったろうか。

 

もう少しちゃんと理解をしたうえで、原因を探して欲しいと思う。

そんな単純な「悪役」の存在一つで急落するほど相場は簡単じゃないよ。

 

その前の上げ過程にどこまで裏付けがあったのか?

市場はリスクにどこまで鈍感になっていたのか?

株価は上がれば上がるほど下落リスクが高まる。

教科書の最初の方に書かれているような話だ。

9月のあんな上昇があって、その後に急落したからといって…ねぇ。

 

以前、よく「裁定解消売りで急落」なんて記事をよく見かけた。

実際にやっていた人間からすると「アホか…」と思う。

裁定解消売りは、現物株のバスケットを売るのと同時に先物を同金額(想定元本)買う。

要するに「マーケット・ニュートラル」だ。

売り買いほぼ同時にやる裁定解消売りで相場が急落したと専門家と言われる人が平気で話す。

根本的な要因は「大量の裁定解消売りを誘発するほど先物を売る主体がいた」ことにある。

だからといって先物の売りは「仕掛け」ばかりじゃない。

もちろん先物で投機的にリスクテイクする主体もいる。

でも「リスクに鈍感になりきっていたロングオンリーのところが慌ててヘッジをかけにいく(=理論価格を無視してまで金額をさばきにくる)ことが多くの場合、そういった要因になったりする。

先物とかで投機的なアクションを取るように見えるのはCTAとかだろうか。

ただそんな彼らもその投資判断をしているのは、すっごい頭のいい研究者とか学者みたいな人が多かったりもする。

単純に相場を力技でつぶしに来るというよりも、動かす金額がバカでかいからそう見える。

 

グローバル・マクロ戦略を取るヘッジ・ファンドなんかもそう。

「ヘッジ・ファンド」ってよく一緒くたにされて悪役にされるけど、そもそも「ヘッジ」って言葉がついてる。

ヘッジ・ファンドにも様々な戦略があって、でもその多くはマーケット・ニュートラルかそれに近い運用戦略だ。

日本株で多いのは「ロング・ショート戦略」。

つまり売りと買いのポートフォリオをバランスして運用し、上げ相場でも下げ相場でもリターンを狙う。

投資家はβリスクを嫌い、αだけを欲しいという。

βニュートラルにしろなんて言われる場合もあるぐらいだ。

そんな戦略でやっているヘッジ・ファンドが投機的に仕掛けて相場の急落要因になるというのはおかしな話だ。

 

ただグローバル・マクロやCTAのように国や市場をまたがって大きな資金を動かしているヘッジ・ファンドになれば話は別。

投機的かどうかは別にして、日本の市場を買って、他国の市場を売るなんてこともするわけだし、その資金はあまりにも巨額であるため、市場動向に大きな影響を与える場合がある。

ただそれを「仕掛け」というそんな陳腐な言葉で決めつけるのはちょっと違う気がする。

 

「AI」も自分はそこまで知らないけれど、AIファンドを運用している知り合いもいるし、AIベンチャーの方ともお話を何度かしてきている。AIの研究をしている大学の方や、その学生さんともお会いしてお話する機会もあった。

AIが暴走して市場にどうこうっていうほど、AIは市場を支配してはいないと思うな。

大切なことは上げ過程にあるプロセスで、「市場(その参加者)がリスクにどこまで鈍感になっていたか」。
日銀の過剰な関与もあって、下げるべきときに下げない市場に慣れきって、企業業績、成長性、バリュエーション、ファンダメンタルズ、様々なファクターとの合理性を保てなくなっていたのではないか?
来年には消費税率引き上げがあり、欧米の中央銀行が金融緩和策の方針転換を図る中で、日銀の金融緩和策や過剰関与も限界を迎えていた。株とよく一緒にインフレヘッジの手段と言われる不動産についても、その融資などで問題も続出していたし、潜在的なリスク要因はいくつもあったはず。そして政府や日銀が狙っていたレベルでの経済成長には届かないまま2020年を迎えようとしている。

 

短期的には下げが急過ぎるのもあって、どっかでリバウンドもするだろうし、早く落ち着いてほしいとも思うけれど、こういうときに分かりやすい「悪役探し」をするよりも、下げた背景をもっと深く掘り下げて考えるべきだと思う。
そんな表面的な分かりやすい「悪役」ばかり探していると、相場の本質を見誤るんじゃないかな。

【マーケット】何事もほどほどに…

先日、ファンド関係者と飲んでいて何度も聞いたこと。

 

「日本の株式市場がどんどん小さくなっている感じがある。湖だったものが池になったような…。」

 

まぁそう感じてもおかしくはないだろうな。

日銀の過剰な介入が招いた市場参加者が体感している実情なんだろう。

マクロ系のデカイところが動いただけで、過剰反応してしまうような市場の厚みのなさ。

株価変動の要因が、本当にファンダメンタルズに裏付けられたものとは言えない感覚。

需給要因のみで、不安定に乱高下しやすくなっている市場。

確かにボラティリティがあることは、収益機会にもつながるけれど、その変動の根拠があまりにも薄弱なものであれば、リスクとリターンとが見合わなくなる。

 

本来ならば、短期的にこれだけ値動きがあれば、短期運用者にとってはチャンスになるはずなんだけど、値動き自体があまりにも軽薄な印象があって、リスクばかり感じてしまう運用者も少なくないと思う。

「こんな市場じゃやってられない。」

という言葉もずいぶん聞くことが増えた気がする。

 

市場の価格形成能力や価格発見機能を歪めてしまったことは自覚しておいて欲しいものだ。

それが市場参加者の減少を招き、市場としての魅力を失わせる原因にもなりかねない。

 

経済をコントロールすることの道具として市場を使う。

ある程度ならばそれもいいだろうけれど、過度な市場への関与は市場の本質を歪め、魅力を失わせることにもなりかねない。

何事もほどほどに…。

【ビジネス】「夢」をみること

仕事って給料の為にする。
お金をいただく以上、人の役に立ってはじめてそれが正当化される。
自分に与えられた役割・責任を果たす。

当然のことかもしれない。

でもそれだけじゃつまらないよね。
そこに「夢」や「目標」がないと。
それがあるから頑張れるし、努力もできる。
そして成長し、それが一歩ずつ形になった時の喜びもそこにはある。
今の自分がやるべきことは、若い世代にその「夢」を追いかけられる道を作ってあげること。

「夢」や「目標」を持ち、前に進んでいくこと。
それはいいときばかりじゃない。
それが手に入らないとき、そこに辿り着けなかったとき、その「夢」や「目標」への想いが強ければ強いほど、辛い思いをする。
人はそれを「挫折」というのかもしれない。

「挫折」をしたっていい。
何度となくその痛みや苦しみを味わったとしても、それを糧にして成長につなげればいいのだから。
自分がこれまで出会ってきて、「大きな人だなぁ」「強い人だなぁ」と感じられる人って、みんな「挫折」もし、転んだことがある人ばかりだった。

ただその人達はみな、「挫折」を人のせいや環境のせいにはせず、自分自身の中にあるその原因と正面から向き合ってきた人なのだろうと思う。

俺自身も何度も「挫折」し、転んできた。
でもその痛みは挑戦した者にしか味わえない。
その「挫折」を恥じることもない。
胸を張ってその痛みと向き合えばいい。
「夢」を追いかけたからこその結果の一つでしかないのだから。
その「挫折」一つで全てが否定されるわけじゃない。
歯を食いしばって、前を向いて歩いていけばいい。

また「夢」は見つけられる。

【ビジネス】新たな挑戦へ

久し振りに少し時間が出来たのでブログを書いてみようかと。

 

先月は面談やらミーティングやら会食やらで一日中人と会うことに追われていました。

自分の席にほとんど座っている余裕もなく、メールチェックも返信もほとんどスマホで対応するような一カ月。

そして今月はシンガポールに戻り、これからやらなければいけないことに本格的に取り組みはじめました。

正直、自分にとっても経験不足・知識不足の世界での挑戦。

ウチの会社の名前も、どういう組織かも知っている人なんてほとんどいない世界で、そんな自分が切り拓いていかないといけない。

 

本も書いたり、テレビに出たり、講演したり、それなりには色んな知識を持っている方だと思っていた自分も、こっちの世界では素人の新参者に過ぎない。

メジャーの世界にいる人たちから見たら、自分達の存在なんてそんなもんなんだろうなと思い知らされることも少なくない。

英語のミーティングも増え、海外の方とのやり取りも多くなってきたけれど、英語なんてほぼ必要ない世界で生きてきた自分にとっては正直きつい。

毎晩、英会話やってるけど、超レベルの低い自分に自己嫌悪の毎日です…。

知らないこと、知らない言葉も沢山。

恥も外聞もなく、色んな場所で色んな人に教えを請い、知らなかったことをネットや書籍を読み込んで調べたり。

平日はなかなかゆっくり取り組む時間もないので、週末も会社にいってプログラミングをしながら、様々なデータの整理、解析、資料を作成したり。

これまでは自分の経験や能力でなんとか出来たこと。

これからは自分の経験や能力では足りないことが沢山。

それをやりきるためには現在の自分では足りない。

だから学び、努力し、自分がまた成長するしかない。

20歳代の頃以来かな、こんなに必死になってるのw

 

圧倒的に規模の大きい会社や外資系の方々、巨額の資金を扱う方々と向き合い、色んな思いも経験もこれからもっともっとするのだろうなと思う。

でもその自分の後ろには、大切な後輩達や仲間たちがいる。

自分がその場所に立つことを覚悟してこちらに来た以上、それがどんなに困難であっても、やってみせるしかないと思う。
 

でも、出来ないなりに必死に取り組み、様々な方々と向き合ってきた中で、彼らから見れば無名のちっぽけな存在でしかないウチの会社の魅力や、地場証券ディーラーにも素晴らしい運用者がいるということを少しずつ知ってもらい、応援してくれる方々や企業も増えてきました。

運用者を志す若い世代が夢を持ち、この仕事に取り組んでいける道を拓く。

仕事には夢がないとね。

それが成長のドライバーにもなる。
 

近いうちに自分は新たな転換点を迎えることになります。
30歳になるとき。ディーラーとしては大きな転換点があった。

40歳になるとき。挑戦、そして挫折を経て、次に自分がやるべきことを見つけた。

そして50歳になる来年は、新たな挑戦をすることになりそうです。


楽に生きようと思えばそう出来るんだろうけど…。

性分なんでしょうね。

でも楽をしていたら未来は切り拓けない。
困難な取り組みではあっても、きっとやり遂げたいと思うのです。

プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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