【雑感】歓迎会
【ビジネス】二年連続の受賞

【ビジネス】新しいディーラー
今日、新卒入社のディーラーが部署に配属されました。
採用面接をして、内定を出してからの数ヶ月、待ちに待った日です。
若い世代がチャレンジできる場所で在り続けること。
それは自分が部の責任者として、最も大切にしたいことの一つです。
一年後、そして数年後、彼らがどんな風に成長しているのか、楽しみです。
自分にも「そのとき」がありました。
配属されて、緊張感の中でマーケットと初めて向き合い、ドキドキしながら初めて発注したときのこと、二十数年経った今でも思い出せます。
マーケットの世界は厳しく、チャレンジした者が全員生き残れるわけではありません。
チャレンジしても、結果を残せずに去ることになる者も少なくありません。
でも「チャレンジしてよかった」と思えるよう、精一杯やったと自分で納得できるようにいて欲しいと思います。
そして出来るなら、成功し、夢を実現して欲しいと願ってやみません。
そしてまた来年の新卒入社のディーラー希望者の採用も動いています。
新たな出会いを楽しみにしています。
【ビジネス】オプション・リスク管理セミナー
今日は大阪でオプションのリスク管理担当者向けのセミナーがあります。
東京ですでに二回開催されたもの。
自分はそこで講師の一人としてお話させていただきます。
ディーラー向けのオプション研修セミナーを継続して実施してくださっており、ディーラー達の中にはオプションをやってみよう、取り組んでみたいという気運が少なからず出てきています。
一方で、彼らがどんなに勉強してやりたいと言っても、会社側にそれを受け入れてあげる体制がなければやる機会が持てずに終わってしまう。
「ディーラーだけに伝えてもダメなんだ」
ということは自分が主張させてもらいました。
各社のリスク管理担当者の方々が理解し、その体制を構築しようと取り組むことでオプションの取引がちゃんと出来る環境になること。
ディーラーが望んだとき、それを出来るようにしてあげられる環境があること。
そこがこれまで欠けていたように思っています。
そして市場参加者が増えて、少しずつでもオプション市場が盛り上がってくれたらいいと思っています。
運用者、管理部門が協力的に取り組む体制を作る。
自分はそのヒントをお伝えできたらと思っています。
正直、数年前まではオプションなんてまともに取引できる環境はウチにもありませんでした。
様々な障害や課題もありましたが、社内リスク管理体制を再構築し、ディーラーにある程度柔軟にオプションを出来る環境を作っていきました。
そんなに特別難しいことはしていません。
それでも取引所から表彰してもらえるレベルまで派生商品の取引は活発になりました。
経理部門、管理部門が一体となり、体制構築に取り組んできたこと。
それを活かしてくれるディーラー達がいてくれたこと。
やってよかったと思っています。
高度な計算能力がなくても(Excelで十分)、地場証券のレベルであっても、やれば出来るんだということを感じていただいて、各社でその体制作りが進むことを願います。
「自社がよければいい」ではなく、業界全体がよくなっていくこと。
証券ディーラーは激減し、今は次世代のディーラーも非常に少なくなってしまっています。
このままでは先細りになるだけ。
お互いに切磋琢磨し、よりそれぞれが強くなり、次世代のディーラー達が育つ環境を作っていくこと。
そのお手伝いを出来るならと思って講師をお引き受けしました。
スタートはオプション・ディーラーだった自分。
こんなに魅力的な商品はなかなかないと思っています。
ただ理解度が低い運用者がたまにとんでもないリスクの取り方をして巨額損失を出してきたのもオプション。
どこにリスクがあるのか、それをどうコントロールするべきなのか、管理体制およびその実務。
証券会社である以上、リスク管理体制や市場リスクの計算も必要になる。
出来るだけ具体的なヒントをお伝えできたらと思います。
【雑感】昔話
昨日は懐かしい時間を過ごしてきました。
SGXがまだSIMEX(サイメックス)と呼ばれていた時代。
まだフロア(立会場)があった頃の友人たちと飲み語らう時間。
みんな20年来、10年来の友人たち。
ヘッドセットをしながら、一日中Line Handller(場電)と会話しながら注文を出していた頃。
Line HandllerからOrder Filler(場立ち)に注文が流れ、彼らのスキル次第で注文が捌けるかどうか、結構重要なファクターだった。
下手なやつにあたると、取りたい玉もまともに取れない。
先輩が他社の有力ディーラーと優秀なLine Handllerを奪い合って喧嘩している姿みてびっくりしていたっけ。
英語もロクに話せない自分だけど、一日中彼らと繋がりを持ちながら、どこかチームのような感覚を感じられた。とても強い信頼関係で結ばれていた彼ら。
自分が入社する前に起きたブラック・マンデーの日。
SIMEXで日経平均先物をわずか5000円という値段で買ったという逸話を聞いてビックリ(それがどれだけとんでもないミスプライスかはそのときの大証日経平均先物の終値をみれば分かります)。
あの頃は、そんな人達と実際に会って飲んだりできたのもちょっと興奮してたな。
ベアリングス・ショック、ニック・リーソンなんかはリアルタイムの話だった。
2000年に初めて他社のディーラーの友人たちとシンガポールに来たとき、ここのお店でリーソンがお尻を出して逮捕されたとか聞きながら、どこかワクワクしていたのを思い出します。
自分がそれなりに大きい注文を出すようになってからは、よくローカルにその注文読まれて、手前で玉を拾われてイライラすることもあった。
まだ市場にはそんな風に沢山の隙間があった時代の話。
そんな懐かしいことを思い出しながら、今でもこうしてみんな元気で飲み交わせることをすごく嬉しく感じました。
しかし、シンガポールは古い建物のすぐそばに近代的な新しい建物があったりして、やっぱり面白い。
【雑感】機械だから、人間だから…
下記のニュースをリツイートしたところ、結構コメントつきで引用リツイートされる人も多かったので雑感を。
「フラッシュボーイズ」が話題になった頃、HFTは悪だ、アルゴは悪だとの論調がすごく増えた。
一方で、取引所からは有識者やら学者さんやら、頭のよさそうな方々からの論文を公表したりしながら、「HFTは流動性を供給していて貢献している」とか擁護する論調が目立った。
実際にあまりにもHFTの注文取消し比率が多く、それに振り回される人が増えて、HFTやアルゴは見せ玉が多いという声が多くなった。
それに対抗しようとして、人間側が同じようなことをすると相場操縦やら作為的相場形成で捕まる事例も実際に起きた。
当時、一部の市場関係者からは「システムがやっているものだから恣意性がない」ということで機械が執行しているものについては問題ないという、ちょっとびっくりするような意見も聞こえてきた。
そのプログラム書いているのは人間なんだし、そこに悪意や恣意性があれば問題だろと個人的には反論していたのを思い出した。
さすがに今ではそんなことを言う人はあまり聞かなくなったけど。
相手がそういうことをやっているからといって、同じことをやってはいけない。
それが他の市場参加者からの注文を誘引する目的であっては絶対にいけない。
そんなつまらないことで運用者としての将来をダメにして欲しくはないから。
自分はHFTを否定もしない。
かなり大手のHFT業者のアジア責任者と話し合ったこともある。
一度、HFTの人たちを紹介してもらって飲み会を開いてもらって色んな話を聞きもした。
概ね、まっとうなHFTの人たちだった。
すべてが悪ではない。
とはいえ、一部には悪質な発注・訂正・約定を繰り返すHFTもいる。
ディーラーや個人にも悪質な取引をする者がいるのと同じこと。
アローヘッドが稼動し、HFTが日本市場に本格参入して以降、取引所の約定率はおそらく著しく低下したはずだ。
それぐらい取消しが増えたのは事実だと思う。
一方で、人間の取引においても、短期トレードであればあるほど、取消しを行うケースは増えやすい。ごく短い時間に小さな値動きを取りにいくとき、注文出してみて空振りすれば取り消すこともあるだろう。
だから超短期での高速取引を行う彼らの取消し比率がある程度高いのは理解できる面もある。
機械だから、人間だからではなく、同じ視点で公平に監督・監視を行い、必要な処分を行い、市場の健全性を保つことが一番大切。
ようやく金融庁もHFTに対する監督体制の強化に乗り出した。
最近、証券各社は説明会を受けて、自社および顧客でそれに該当する場合は登録を行わなければならないとの通達され、その対応に追われている。
それで監督体制が十分だとは思わない。
超高速に取引所、PTS、ダークプールに渡って注文の出し入れを繰り返し、それも複数のブローカーを使う彼らの取引の全容をどこまで把握できるのか?
本来ならば、そこまで監督できてはじめて公平なのだろうと思う。
手で注文出し入れしている人間だから監督しやすくて、処分も出しやすいってのじゃ多分みんな納得できないだろうから。
でも規制は一歩前進している。
悪質なHFT業者を排除しようという動きもちゃんとある。
「呼び値適正化」
これが実施されたとき、反対したのは個人投資家やディーラーだけではなく、HFTも結構反対していたのはどれだけ知られているのだろうか?
とにかく…
繰り返しになるけど、腹は立っても、「やつらがやってるんだから」と作為的相場形成や相場操縦につながるようなつまらない取引だけはしないで欲しい。
そんなことで可能性を沢山もったみんなの運用者人生が終わってしまうのは、あまりにももったいないから。
生身の元UBSトレーダー、アルゴリズム欺く-見せ玉注文で刑事訴訟
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-04-17/P7BF2Y6KLVR401