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【マーケット】ちょっと残念マザーズ先物

このところ色んなことで追われるような状態にあったので、なかなかちゃんと見れてはいないのですが、社内のディーラーからちょっと疑問が出たようなので。

さて昨日は新J-GATE(大証の先物取引システム)が稼動。

マザーズ指数先物をはじめいくつかの新商品もスタートしました。
板・出来高的にはちょっと残念…というところでしょうか(^^ゞ
それでもまぁ注目度は高い商品ではあるので引き続き注目はしておきたいですね。

さて先物なので「理論価格」があります。
昨日はかなり割安な状態が続いていました。
その要因ってなんだろう?

昨日のマザーズ指数の終値は941.65。
理論スプレッド(現物に対して理論的にどのぐらいの価格差が適正かを示す数値。基本的には+金利-配当)は▲0.15(Bloombergのデータに基づく)。
つまり先物の理論価格は941.5のはず。
にも関わらず先物(9月限)の基準値は927.5。
かなりの割安ですね…。

ひとつはマーケットメーカーが十分機能していない(枚数が少ない)。
HFT系などは新システム稼動や新商品スタートにおいてはあまり参加してこない。
彼らは薄利多売を基本としており、積極的にリスクを取る主体ではない。
そういったところに期待しても、彼らはあくまで十分にデータが集まり、稼げるメドが立たないと板はあまり出してこないでしょう。
そして板が薄いから裁定業者も入れない。
どっかの誰かが上位3銘柄でポートフォリオ構成すれば十分だなんてこと言ってましたけど、裁定業者こそ薄利を取りにいく主体。彼らがそんな雑なバスケット構成で裁定ポジションを組むなんてことはちょっとナンセンス。
また「先物が割高」なら裁定買いは入れやすいのですが、マザーズ銘柄をバスケットで空売りするのは現実的には難しい。結果、先物が割安なときに出る「裁定解消売り(割安な先物買い、割高な現物バスケット売り)が出来ない」ということもあります。
つまり先物価格を理論価格に近づけるための価格裁定を働かす参加者が非常に少なかったうえにショート(売り)バイアスが常にかかっている状態だった。
マザーズ銘柄は株を借りることが難しく、市場参加者のポジションは圧倒的に「買い」に傾いている。
つまり先物のニーズは「売れる」ことにあり、ヘッジ目的で使う人が相対的に多くなる。

理論価格を大幅に下回る水準で推移している理由はそんなところでしょうか?
ある程度こなれて先物が割高な状態が起きて裁定買いポジションが積みあがった後か、現物売りバスケット(借株の手当が出来る前提で)を組んで裁定売りが出来るような状態が出てこないと理論価格からはしばらく安い状態が恒常化しそうな気配です。
あくまで推論に過ぎないので、もっと適切な解説できる人がいるならありがたいところですけど。
プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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