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【マーケット】SGX日経225先物上場30周年

今日SGX日経225上場30周年のイベントがある。

自分がその取引を始めたのは1990年代前半のことだ。
20数年前、まだSGXではなくSIMEX(サイメックス)と呼ばれていた頃の話。

その頃はまだフロア(立会場)があり、ラインハンドラー(場電)と呼ばれる人間がヘッドセットをしながら顧客と電話をつなぎ、場況を伝え、売買を取り次いでいた。彼らのようなラインハンドラーがぐるりとフロアを囲み、その真ん中にはオーダーフィラー(場立ち)がいた。ラインハンドラーが顧客から注文を受けると手サインでオーダーフィラーに伝え、オーダーフィラーが他のオーダーフィラーが持っている注文を見て捌いていく。
この時代はラインハンドラーとオーダーフィラーのスキルがとても重要だった。彼らが上手いか下手かで捌けるオーダーも捌けなくなる。日系の証券各社の先物ディーラーの間でラインハンドラーの取り合いなんてしょっちゅう起きていた(笑)
アテにしていたラインハンドラー取られて他社のディーラーに抗議の電話している上司の姿を今でも覚えている。

自分にとってはラインハンドラーのR(イニシャル)、オーダーフィラーのKが最高のパートナーだった。彼らにつないで注文を捌けなかったら、それは自分の判断が悪かったと思える。それぐらい絶対的な信頼を置いていた。
ラインハンドラーがフロアを囲み、そして当然他社のラインハンドラーの動きも見える。どのラインハンドラーがどういった顧客を持っているかも大体バレている。結果、大口の注文出すところとかは注目されている。
自分が若手の頃は全く気にもならなかったけれど、それなりの玉を出すようになってからはかなりウザかった…。
自分はポジションとってから、反対注文(利食い)の値段は決めてあるので大体そこに注文を出しておく。その5円手前でよく止められることが多かった。
「また止められてるよ。工藤さん、いいところに指値出し過ぎね。」
そんなことをよく二人(RとK)からよく言われていたっけ。
そこで自分は10円のバッファをRに預けることにした。
その指値から10円の範囲ではRの判断で捌いてもらっていいよと。
それぐらい信頼をおける関係だった。

今では彼女はウチのシンガポールディーリング室を支えてくれるメンバーでもある。
そして5円手前でしょっちゅう止めてくれたローカル(現地のトレーダー)は今でも飲みに行くし、家族ぐるみでも会う仲だ。しのぎを削りあい、戦った相手ではあるけれど、互いにリスペクトし、仲もいい。あの頃の市場にはそんな人間のつながりが確かにあった。
ちなみにそのローカルは今でも語り草になっている。ブラックマンデーの日、日経225先物を5000円で買った人物だ。翌日が19000円だったのだから信じ難い話だろうが、当時はサーキットブレーカーも値幅制限も整備されておらず、市場がパニックに陥る中で出されたマーケットオーダー(成行注文)はそこでそのローカルに拾われた。そして一夜にして大金を得たのだ。


SGX日経225先物で最も大きな出来事といえば『ベアリングス・ショック』だろう。
たった一人のトレーダーの手によって200年以上の歴史を誇る英国の名門銀行が破たんに追い込まれた。
その舞台となったのがこの先物だ。

当時まだ自分は若手だった。
オプション・ディーラーとしてトレードをし、先物は多少のアウトライトとオプションのポジションに対するデルタ・ヘッジなどを主目的に使うことが多かった。
確かに異常だった。
現物株がズルズルと下げていく。
当然、原資産が下がるのだからその指数先物も売られていく。
TOPIXが下がる、そして日経225先物も下がる…はずなのに、下げかけるとSGXでベアリングスから大口の買いが入り続ける。そして裁定買いが誘発される(割高な先物売り現物買い)。
自分の上司はNTショートで勝負していた。
明らかに日経225が異常に高いと思われたからだ。
でもなぜかそれが続く。
イライラしていた。
なんでこんな買い方が出来るんだ?
絶対におかしい。
何かあるはずだ。
ジリジリと膨らむ評価損を前に疑念と苛立ちを感じながらみんな戦っていた。
ニック・リーソン本人以外には誰も分からなかったのだから。

それがいよいよメディアなどでも話題になりはじめた頃。
阪神淡路大震災が発生した。
目が覚めてテレビに映る景色は恐ろしいものだった。
ニック・リーソンにとってはもっと違った意味で恐ろしいものだったに違いない。

それから少しして彼は逃亡した。
そしてベアリングスのポジションは明るみに出て、日経225先物は急落していく。
同社の損失額は▲約1380億円にも上った。
自己資本が約750億円しかなかったベアリングスはたった一人のトレーダーの行った取引のために破たんし、233年の歴史に幕を降ろすこととなった。

まだ若手だった自分は「すごいことが起きてしまっているんだ」と嵐の中で右往左往しながら懸命にトレードしていたけれど、相場の怖さを強く感じた事件でもあった。
その後、映画化されたときに新宿の映画館で他社のディーラーと二人で観にいって、なぜかニックがやられて呆然とするシーンで二人で変な汗かいたのを覚えている。

30周年。
短いようでもその中にはいろんな歴史やドラマがある。
そんなことを懐かしみながら、今日はそのイベントに出席させていただきます。

【ビジネス】面接また面接…

昨日、採用面接を一件。
今日は帰り際に最終面接を受けたまた別のやつとバッタリ。
そしてまたエントリーがあった。
このところ毎週数件の応募がある。
書類選考から面接にいける人もかなり少ない。
それでも採用についてはひっきりなしの状態。
なんかえらい人気企業になったもんだ(^_^;)

でもそれだけ未経験者でこの仕事を夢見る若者の受け皿が業界としてはなくなってしまっているということ。
決して手放しで喜べる状況ではない。
未来の運用者、市場の担い手を育てることは証券市場にとっても大切なこと。
ウチの会社だけでできることは限られている。
それでも頑張り続けないとね。

俺にも「始まり」はあった。
どんなにやりたくてもやらせてもらえる場所がなければ「始める」ことは出来ない。
今は種を蒔く。
そして根気よく育てる。
それぞれの芽が成長してくれることが組織の発展にもつながる。

ちょっとだけ即戦力が欲しいなぁ…というのはマネジメントの欲目かな(^^;
ウチの平均年齢はどんどん下がってる。
それだけ未来に可能性があるということ。

ただその可能性を形に出来るかどうかは本人達の意識と覚悟次第。
ディーラーになることが目的ではなく、ディーラーになって成功することこそをしっかりと目標に据えて欲しいと思う。
自分に対しても、色んなものに対しても貪欲であれ。

卵、ひよこ…まだまだ可能性の塊でしかないこいつらの成長が楽しみです(^ ^)

【ビジネス】採用

今週もいくつものエントリー(入社希望)が届いた。
最近では週に5件程度はある。

少し前までは「山和証券って募集してるの?」と業界のディーラーですらよく分からない状態だった。
管理部門のスタッフがホームページをリニューアルしてくれて、そして検索サイトで「ディーラー、採用」で検索すると8ページ目という誰も見ないような順位から引き上げてくれた。彼らの頑張りがあったからこそのことだ。

そして今や連日のようにエントリーが届く。
そのすべてを採用してあげられるわけではない。
席には限りがある。
書類選考→面接にまでいける人も絞り込まざるをえなくなってきた。

『この仕事をやりたい』
という気持ち。
そしてそのためにどんな努力をしてきたのか。
そんなものが感じられる人とは会いたいと思う。

若い世代にチャンスを作っていくこと。
そしてこの仕事に全力でぶつかり、夢を追っている人にこそ来て欲しいと思う。

中途の転職組であれば本人の現在の仕事もそれなりに忙しい。
面接のスケジュールもなかなか組めない。
ということで、今日は夜20時ぐらいに面接です(^^;

いい出会いになることを願って!

【マーケット】市場を創る

『市場を創る』

これって取引所だけで出来ることじゃない。
新しい商品や先物を設計し、『市場を作る』のは取引所がやってくれる。
でもその商品の売買が活性化し、個人や機関投資家といった顧客が参加しやすい環境を創るのは証券会社が担うべき責任だと思う。

最初は出来高がどれだけ出来るか分からない。儲かるかどうかも。やってみなけりゃ分からないのはみんな一緒だ。

でもその商品が活性化し、自己の取引機会や顧客のニーズが増えることによって潤うのは証券会社だろう。
証券業界の一員として、市場の活性化や商品の発展には一定の責任を担うべき存在。それが我々証券会社だ。

かつて自分が若かった頃は厳しかった。
誰よりも早い時期から新商品の特性やリスクを研究し、事前に準備しておくのは当たり前。手抜きや漏れがあれば雷落とされた(笑)

当然、よく理解していない参加者がミスプライスつけるなんてこともあったし、それは収益機会にもなった。一方で、顧客が注文出しても板がなければどうにもならない。そのためヘッジプランもしっかり用意したうえである程度板を出してリスクを取りつつヘッジもしながら面倒くさくても流動性を供給するのが当然だった。

でも証券自己も変わった。
ディーラーの契約化が進んだ結果、儲かるか分からないのに労力やコストをかけたくないというディーラーも増えた。
そんなことやって万が一ヤラレてクビになるのも馬鹿馬鹿しい。
でも一番の問題は、各証券会社がそもそもその商品に対応しないという選択を取り始めたことにある。

その原因は『システム』だ。

取引、管理、決済がシステム化されたことにより、システムが対応しなければその商品が出来ない(厳密に言えばやれなくはないのだけれど)。
そして先物で一つ商品の追加するのに高額のコストを要求していたシステムベンダーがあった。
個別株一つ増えたってコストは特にかからないのに、先物になると同一通貨で乗数が違う程度であってもバックオフィスシステムの対応に1千万近く~2千万程度まで『証券各社に要求する』システムベンダー。さらにディーリング用のシステムでもそれなりのお金を取られた。
先物で儲けられるディーラーがいない証券会社や顧客で先物をやる方がいない証券会社はどんどん積極性を失っていった。

『そんなにコストかかるなら出来高が増えるかどうか見てからでいい。』

いわば様子見だ。
気づけば証券会社は様子見ばかりになり、その先物スタート時に取引出来る環境を整備しているのは大手、外資系ばかりになっていった。

そして取引所の方は言う。
『マーケットメーカー(売り買いの板を表示してくれる)を何社お願いしてあるから…』
自分は常々言っていた。
『マーケットメーカーばかりをいくつ並べたってダメですよ。彼らは売り買いは表示するけど受動的にしかリスクを取らない。積極的なリスクテイカーが入らなければ約定につながらないし、建玉も増えない。結果、市場は育たない。』

ミニ日経先物の時は大証さんと連携して、マーケットフォーラムの活動を通じて業界関係者に集まってもらったり、いろんな取り組みをした。その時も本業のディーリングではバックオフィスシステムの対応が間に合わないというので、この商品だけは手書き伝票で対応させろとまで上にかけあい流動性を供給した。

だってその頃、自分のいた証券会社は日経平均先物での手口は連日トップにいたのだから。その会社がミニのスタートで流動性を供給しないなんて恥ずべきことだ。
そして毎日引け後になると、馬鹿みたいに分かれたミニの約定を小さな文字で手書きで伝票に書くことに1~2時間も費やす羽目になった。
そこまでしてでも流動性を供給する責任を果たそうと思った。

でも結局システム対応しなければ抜本的な対応は出来ない時代だ。そして証券会社が新しい商品に積極性を失ったほとんどの理由は『システムコスト』だ。

でもかつてはボッタクリとしか思えなかった新しい先物対応のためのシステムコストもようやく下がってきている(まだ十分ではないが)。

システムベンダーにお願いしたいこと。
新しい商品に対応するためのコストは最小限にとどめて欲しい。
その商品が育てばあなた達の利益にもなるはず。だって会社によってはいち約定毎に証券会社からお金とってるんだし。それなのにあなた達が原因で各証券会社が新しい商品に取り組みづらいという状況はなくしてほしい。あなた方が証券界の一員という自覚があるのならだ。

そして証券会社は、新しい市場や商品の発展のために自分達に何が出来るのか?そして何をするべきなのか?を真剣に考えて欲しい。
我々こそ証券界の一員であり、その発展には一定の責任を担うべきなのだから。

そしてディーラーのみんな。
無理はしなくてもいい。
でもその商品が軌道にのればみんなにとってのビジネスチャンスも増えることになる。
出来る限り前向きに取り組む姿勢は持って欲しい。

我々がそういう姿勢を持ち続けることが、我々の存在価値を認めてもらう道の一つでもあるのだから。

儲かりそうにならないものは一切手を出さない、コストや面倒かけてまでやりたくない…その気持ちは分からなくはない。でもね、そんな姿勢で居続けたら、我々の存在は不要と言われることになる。
かつてディーラーが絶滅危惧種と揶揄された頃。『流動性はHFTがいればいい』と言う人が沢山いたことを思い出して欲しい。

流動性は市場参加者の多様性があって初めて健全なものになると俺はずっと言い続けた。
その多様性の一つとして、俺たちは俺たちがするべき仕事をしよう。

そうやってみんなが一丸となって市場を創り、個人投資家や機関投資家といった市場参加者が入りやすい環境を整える。それが市場の発展につながり、みんなの未来にもつながっていくのだから。

【マーケット】マザーズ指数先物について

マザーズ指数先物が7月19日に上場される。
※文章内データは6月21日時点のもの。JPXの方にお願いをしてディーラー向け説明会もやってもらう予定だけれど、それに合わせて自分なりにも分析し、ウチのディーラーに説明できるようにしておこうと仕事の合間に作ったものなので抜けや漏れがあったらごめんなさい。


個人投資家やディーラーは小型株をやる傾向が強く、特に悪名高き『呼値適正化』以降、その傾向はより強くなっている。

元々、個人投資家比率の高い市場ではあったが、マザーズ指数は海外投資家の動向などとは全く異なる動きを示すことがより多くなった。
そのためマザーズ市場銘柄などでポジションをとって、そのヘッジに日経平均先物を売ってみても、ものの見事に相関してくれない…なんてこともしょっちゅう。
そういう意味ではマザーズ指数先物の上場への期待はかなり高い。
もちろんウチは初日から出来るように対応する(残念ながら同日上場される台湾加権指数先物も対応はするが注目度は高くない)。

でもディーラーも個人もその指数について十分に理解してやる人がどれだけおるんだろうとちょっと心配になったりもする。
また裁定業者がどの程度入ってくるのか?
構成銘柄が構成銘柄なだけにその影響度は軽視できない。

元々流動性が少ない銘柄が多い。
PB(プライム・ブローカー)などがヘッジファンドなどの空売り用にレンディング(貸し株)に回すにしても株券調達が難しい。
となると裁定ポジション(先物売りと現物バスケット買い)をある程度保有することでマーケットリスクを限定しながらも、保有している現物株を貸し株に回すことができる(というか最近の裁定取引はそういう在庫調達に利用される側面が強い)。
そういった面からは裁定取引にも一定のニーズはあるのだろうが、この指数はかなり扱いの難しい指数になっている。

まず日経平均株価(日経225)と算出方式が違う。
東証株価指数(TOPIX)と同じ時価総額加重平均だ(2003年9月12日基準日が1000となる)。

そうなると裁定取引で買うポートフォリオ構成が日経平均株価ほどシンプルにはいかなくなる。
指数構成比率に基づいて出来る限り連動するようにポートフォリオを構成するのだが、これがまた難しい。
構成比率が最も低いのが(3185)夢展望の0.009192%。
最も高いのがご存知の(4565)SOSEIの14.934813%。
その比率の格差は1625倍にもなる。
つまり採用銘柄全部を必ず組み入れる前提でポートフォリオ構成すれば(そんなことやるところはないだろうけど)、夢展望の最小売買単位100株を組み入れたら、SOSEIは16万2500株も買わなきゃいけなくなる(笑)
30日平均売買代金が100万円をきっている銘柄すらあるし、実際に流動性リスクを考慮したら組み入れられる銘柄は限られてくる。
そういったことから当然構成比率の低い銘柄や流動性が極端に低い銘柄を除外してポートフォリオ(バスケット)を構成し、指数への連動性をしっかりと保持できるように作る必要がある(昔ならBARRAとかよく使った)。

マザーズ指数先物の乗数が1000なので、一枚あたりの売買代金はざっくり100万円になる。
一回の裁定取引で10枚だと1000万、100枚で1億円(ざっくりね)。
先物の流動性がどうなるか分からないけど、このところのETFとかの出来高見ている限りは100枚ぐらいは余裕で執行できるだろう。

で、1億円以内でどんなポートフォリオになるかざっくり試算してみた(トラッキングエラーとかポートフォリオに関する分析はしていないのであくまで金額合わせ)。
流動性や浮動株に対する比率などを多少考慮してアレンジし、21日引け時点でマザーズ指数先物を100枚売ったのに対して買いを入れるバスケットとして金額をほぼ合わせて試算してみた。
会社によって当然ポートフォリオは変わってくるし、かなり適当に作ったポートなのであくまでご参考ということで。
1億円程度のポートフォリオ作ろうと思うとかなりの銘柄は除外しないと厳しい(サンプルでは91銘柄除外)。
これでも個別板見てるとアービトラージやるにはちょっと流動性リスクは高過ぎるかな(^^ゞ

実際に取引が始まると先物の計算式も知らず、理論価格も知らない人たちが沢山入ってくる可能性がある。
そうなるとミス・プライスもかなりついて、結果としてアービトラージのチャンスも生まれる。
流動性リスクとトラッキングエラーリスク、またマザーズ市場から東証一部・二部へ昇格したりするときに発生するイベントリスク(チャンスにもなる)…先物が出来ることで考慮すべきこと、知るべきことは山ほどある。

中長期的に心配なのは裁定業者がどれぐらい入ってくるかということ。
彼らが入ることによる価格適正化、先物への流動性供給はあるのだけれど、裁定ポジションに多くの株券が吸収されるとただでさえ流動性が少ない市場なので、個々の銘柄の方の流動性リスクがどの程度高まるか懸念される。

ただでさえボラタイルなマーケット。
先物上場が与える影響は小さくないだろう。
せめて理論価格ぐらいは頭に入れておいた方がいいと思いますよ。


【トレード】相場の怖さ

相場って怖いところ。

舐めてかかるとあっという間に殺される。
そんな中で日々戦わなければならないディーラーにとって、ここは『戦場』だ。
どこから敵の弾が飛んでくるか(自分の相場見通しの逆にいくリスク)分からない。
油断してれば簡単に撃たれる。

相場の怖さを知ること。
これが最初の一歩だろう。
そのうえで怖いから懸命に知り学ぶ努力をする。

誰かの相場感やコメントを見て『そうなんだ』と鵜呑みにしているようじゃ話にならない。

全てのことを知ろうとする努力。
起きている事象や値動きの背景を知ろうとする努力。
様々なものの仕組みを理解する努力。
誰かの言葉の受け売りではなく、自分の目で見たことから自分の考えで判断する。

だって記者やコメンテーター、ブロガーがどんなに優れていたって間違える時はある。そして彼らはそのヤラレに対して何の責任も負ってはくれないのだから。
新聞やニュース、ブログやツイートを見るうえで必要な情報と無視していい情報を見極めること。

この『戦場』では勝つのも負けるのも全て自己責任だ。
負けたのは全て自分のせい。
自分の何が足りなかったのか、それをとことん突き詰める姿勢がなければ長年勝ち続けることなんて出来はしない。

怖さに怯えて縮こまってしまうことも間違い。
怖さに目を瞑って度胸や根性という言葉だけで努力も裏付けもなく飛び込んでいくのも間違い。

怖さを知る。
そしてその怖さと向き合うために努力をする。
しっかりとした裏付けがあれば、それが自分を支える勇気になる。

ニュースや情報、状況などの外的要因に対する分析。
的確に事実を把握し、それを客観的に分析する力。誰かの言葉を鵜呑みにしている時点で話にならない(参考にするのはありだが、参考にしていい人かどうかを見極めることも自分の判断力による)。

自分の精神状態やポジション状況、損益状況などの内的要因に対する分析。どんなに熱くなっても頭は常に冷静でいなければならない。自分自身をコントロール出来なければ相場の値動きの中で自分を見失うだけだ。期待であったり、不安であったり、傲慢であったり、怠慢であったり、恐怖であったり、絶望であったり…自分の中に沸き起こる感情を客観的に見極めて向き合うことが出来なければならない。

当たり前のことだけれど、リターンを取りにいくにはリスクを取らなければならない。
そのリスクとどう向き合うかが大切なんだ。

ヤラレてもいい。
それを勉強代として、糧として学ぶことが出来ればそれでいい。
でもヤラレたからには理由がある。
その答えは全て自分の中にある。
見るべきものが見えていなかったのかもしれない。ニュースや外的要因に対しての分析も足りなかったろう。
そしてリスクに対して鈍感過ぎたのかもしれない。自分の相場感が外れた時にどういうことになるのか?そんなちょっとした想像力が足りなかったのかもしれない。

でも『相場の怖さ』を知ることは出来ただろう。
これを第一歩に出来るかどうかだ。
俺もルーキーの時に先物一枚オーバーナイトロングして50万(500円口やられたことがある)。あの怖さはきっと一生忘れない。

何年後かに振り返った時、あの時の自分のトレードは甘かったと思い出せるようになっていてくれればそれでいいのだから。

【ビジネス】未来予想図

今、シンガポールに二人のディーラーが研修で滞在している。来月からは本格的な転属も始まる。
ウチのトッププレーヤーにまで大きくなった彼らが次の夢に向けてスタートする。

そして大阪では二人のルーキーが今期入社し、ディーラーとしての成長を目指している。
来期には複数名の楽しみな新卒達が入社予定だ。

ルーキーからトッププレーヤーまで夢を追い続けられる場所。
彼らの成長をサポートし、その成長とともに発展する組織であること。

自分がプレーヤーだったときに『こうあるべきだと』と思い続けていたものを形にする。
部長になって二年ちょっと。
だいぶ形が出来つつある。
でもまだ未来予想図からすれば2割~3割といったところかな。
まだまだやらなければいけないことは山積みだ。
部長として汗をかき、部下達の、そしてこの会社の、出来ることならこの業界の未来につながる仕事が出来たらいいなと思う。

さて帰りの新幹線で(結構労力使う)出張報告書書かなきゃ(^^;
次の大阪は上期終わる前後かな。
短い滞在だったけどいい時間が過ごせました。
また来ます!

【ビジネス】大阪出張

さてこれから大阪へ。

今月はシンガポールに大阪にと慌ただしい(^_^;)
昨年4月に立ち上がった大阪ディーリング室。彼らの頑張りがあったからこそ今年4月のシンガポールディーリング室の立ち上げへとスムーズに展開できた。

今年度に入ってから新卒も含めて育成対象の若手も入社。
これからは大阪での人材発掘や育成も担い、大坂のディーリング業界の活性化にもつなげていきたい。
東京以上にシュリンクが激しい大阪のディーリング業界。
東京地場のウチが進出した理由と目的。

大阪出身で優秀な個人投資家って沢山いる。決して人の質が劣っている訳ではない。でもなぜか大阪地場でディーリングが強いと言われる会社は…正直ない。

A証券もY証券も名古屋から始まった地場証券だ。
そしてウチは東京。

マーケットフォーラム大阪を立ち上げに来た5年前。
東京でばかりイベントやセミナーがあるとボヤキともとれるツイートがきっかけだった。
東京の兜町と並び称される証券の街、大阪北浜をなんとか盛り上げたい。
そんな気持ちで単身大阪に来て、現地のディーラー達との交流を持った。
彼らの置かれている状況は想像より厳しかった。
そして一昨年ある会社が大阪ディーリング室を閉鎖した。

そんな中での大阪進出だった。
多分、大阪地盤の他社には敬遠されたり、嫌われたりするかもしれない。
でも大阪で頑張っている後輩ディーラー達のためにも、ちゃんとマーケットと向き合えるディーリング環境を作ってやりたい。チャレンジ出来る場所を作ってやりたい。
それが正しく出来たなら…きっと人は集まる。

20数回もビジネスプラン書き直しながらなんとかスタートがきれた。
そして今は楽しみな連中がいてくれる。
そしてこれからが楽しみな若手も入ってきた。

ここには『未来』がある。
こいつらがそう信じられるように。
俺も頑張り続けたい。

【ビジネス】シンガポール最終日

さて出張最終日。
午前中はコンドミニアムでのんびりとジムやプールで過ごしてかな。

今回の主目的は概ねクリア。
4月にスタートした『ステージ1』。
これからここに転属してくるディーラー達の為の諸制度の詰めや準備。

まぁでもこちらでヘッジファンドをやっている友人達とも沢山飲めたし、ローカルの友人達とのBBQとか楽しい時間もいっぱいありました。

次に来るのは9月?

次に来るときは『ステージ2』に向けた話し合いや準備になるかな。
来年度になる頃にはまた新しい動きも。

運用を志す若い世代に扉を開き
彼らの成長を実現し
それと共に発展する組織であること
そして地場証券のディーリングという器では収まりきらなくなりつつあるトッププレーヤー達に新たなステージを作ってやること

夢のある世界で
夢が見づらくなり始めて数年

外資系証券や大手証券であってもボルカールールの影響でリスクを取れなくなり始め、プロップはなくなっていった。
中小証券ではディーリング(=プロップ)はシュリンクし続け、一時は3000人近くいるとまで言われたディーラーは500~700人程度までは減っているだろう。
ファンドと言えばパッシブばかりが増え(アクティブで素晴らしいパフォーマンスを出しているところもいくつかある)、マーケットを真正面から向き合える運用が出来る場所は減っていった。

お金もなく
経験もなく
若い世代がチャレンジ出来る場所はほとんどなくなってきたと言ってもいいかもしれない。

その裾野を守り、広げていくこと。
そしてその頂点を引き上げていくこと。

主役は今ここにいる部下達であり、これからウチの扉を叩いてくれる若者だ。
彼らが夢を見られるようにすること。
その夢を共に形にすること。

個で出来ることには限度があるけれど、様々な力が組み合わさればきっと出来る。
そして中小証券だからこそ出来ることもあるはずだ。
まだ始まったばかりだけど、ここはこれから面白くなる。
もしかしたら俺自身が一番夢見てるのかもしれないな(笑)
ま、仲間や部下に夢を見させるなら、誰よりも自分が夢見てないとね!

さて再来週は大阪へ。
その前に留守中に起きたトラブル片付けないと…(^_^;)
プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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