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【相場雑感】怖さを知る

昨日のスイスフランもとんでもなかったけど、株式市場でもとんでもない値動きって起こる。

自分が若手の頃には阪神淡路大震災、ベアリングスショック。
山一證券の破綻、金融危機、ITバブル、そしてその崩壊、サブプライム危機、リーマンショック、東日本大震災、欧州危機…。
個別銘柄でとんでもない値動きするものを挙げればキリがない。

相場で戦うための第一歩は「怖さを知る」だ。
といっても怖さを知って怯えていたら成長はしない。そもそも怖いのが嫌ならリスクのあることはしない方がいいだろう。怖さを知るから必死に学び、調べ、考える。その怖さに立ち向かう勇気を得るために。

「根拠のない自信」と「経験や知識や努力に裏付けられた自信」は違う。
そして失敗すら経験として学び、勉強代として成長出来ればいい。
大切なのはそう割り切れる程度のリスクでしっかりとコントロールしておくことだ。

何億円稼いだ、いくらを何億円にした…そんなフレーズは飽きるほど聞いてきた。
でもそんな勝ちを続けられているヤツはほんの一握り。ほとんどが稼いだことはあるけれど…で終わってしまう。
それを続けられるヤツらはほぼ例外なく徹底的に調べ尽くし、学び続け、努力を怠らない。
そして自分の目で見て考えて判断する。
自分の判断だから迷わないし、負けを認めることも出来る。
ネットやメディアで誰かが言っていること、やっていることを真似ている時点で自分の考えではない。
そこに人生かけて失敗しても後悔しないのならばそれでもいいが、自分が決めたことだからこそ割り切れるものもある。

最悪を想定しながら最善を尽くす。
相場に近道はない。

自分も月に一千万稼げるようになるのも何年かかかったし、月に億稼げるようになるまでもさらに何年もかかった。

一進一退を繰り返しているような苛立ちや焦りを感じたこともある。もっと強くなりたい、もっとディーラーとして成長したい…これでもかというほど一日中マーケットのことを考え、勉強してきた。
そんな亀の歩みであったとしても、一歩ずつ自分の限界を乗り越えてそこまではいけた。
それでももっと上はいたけどね(笑)

ロクに知識もない、ロクに経験もない、それで大勝ち出来るほど相場は甘くない。
もし大勝ち出来たとしたらたまたまだと思っておいた方がいい。それで気が大きくなるとお釣りがくるほどやられるから(笑)

しっかり地力をつけ、苦しいときの乗り越え方を身につけ、少しずつリスクを大きくしていくこと。
長く生き残り、それなりに成功したいのならそうするべきだ。
せっかく相場に興味を持ってくれているのにたった一つの失敗で終わって欲しくはない。
十分に力をつけてからでもいくらでも稼げるのだし、焦らずとも相場は逃げてはいかないのだから。


【相場雑感】昨夜のスイスフランの動きをみて

昨夜のスイスフランの動きはとんでもなかった。
チャートは昨年5月からの日足。
前日までの日々の動きがこんなものなのに一気にとんでもないボラタイルな動き。
政策に依存している相場である以上、その政策が止まってしまえばとんでもないことになる。
昨晩は大儲けした人もいたようだが、一生返せないような借金を背負ってしまった人も少なくないようだ。
「払えないからしゃあないよね。」
「自己破産するしかない。」
一部では自殺をほのめかすような書き込みすらあった。
株では滅多にここまでやられることはないけれど、東日本大震災のときにオプションの売りでとんでもない損失を出す人が沢山いた。
ネット証券の多くが損失を出した人から資金回収ができずに数十億円の損失を被り、一部では廃業・撤退すら起きた。
それよりも資本規模の小さい業者が多いFX業者。
損失を出した顧客からは回収できず、儲かった顧客には払わなければならない。
これからいくつものFX業者が危ないという話も出てくるのだろう。

「レバレッジ」

というのはとても甘美なものだ。
少ない元手でも大きな利益を上げることができる。
しかし、市場は時として暴力的になることがある。
そこで再起不能になるような損失を出さないようにすること。
リスクとリターンは背中合わせ。
リスクを取るからリターンが得られる。
でも背負えないリスクを取ってリターンを得にいくことはやってはいけない。
相場で勝ち続け、生き残っていきたいのなら相場に対する畏怖だけは忘れてはならない。
ま、確かに昨夜の動きは「予想しきれない動き」だったかもしれない。
でも資産を失う、多少の債務を抱えるレベルではなく、とんでもない債務を抱えるというのはそもそものリスクの取り方に問題があったのだろう。
思わぬ損失に巻き込まれても、それを取り返しにいくだけのリスクを取れる余力を残さなければ負けて退場するしかない。

「リスク・コントロール」

どんなにレバレッジをかけられたとしても、自分がとっていいリスクの限界値は自分で理解しておかなければいけない。
そこを守っていると一気に大きな勝負は出来ず、コツコツとしか稼げない。
それをつまらないと思うかもしれないけれど、そこから始めて少しずつ大きくなっていくしかない。
自分も株価指数先物メインだったけれど、取らせてもらえるリスクは最初はラージ一枚だった。
何年も経って気づいてみれば数百枚単位で売買するのが当たり前になっていた。
でもそこまで一気に増やしたわけではなく、毎月・毎年利益を積み上げてリスク許容度を上げていった。
相場で勝ち続けるのに近道はない。

今回のような相場でたまたま乗れた人は別だけれど(笑)
それを続けるとなると話は別だろう。
今回の勝ちで気が大きくなり、リスクを雑に取り始めれば結構簡単に半分ぐらいは溶かすかもしれない。

何年、何十年と相場の世界で戦い、勝ち続けたいのなら「コントロール」だけは失わないことだ。

http://matome.naver.jp/odai/2142132210649651101

【ビジネス】残念なこと

自分は今ディーリング部長として様々な取り組みをしている。
その中でも大切に思っているのが人を育てるということ。
お金もなく、経験もない、でも運用の世界を志す若い人材にそのチャンスを作っていきたいという思いがある。
二十数年前の自分がそうだったように。
まだ人数は少ないけれど、入ったばかりの若手の成長も楽しみになってきた。
また拠点の増設も含めてディーリング部門の拡大も進めていることもあり、最近では連日のように履歴書が送られてくる。経験者も未経験者も含めて。

出来るだけ多くの人材にチャンスを作っていきたいと思う。
でも限られたリソースである以上、誰にでもというわけにはいかない。
一人一人の履歴書、そこに書かれている言葉、トラックレコードを真剣に見て、考え、悩む。
一人一人の人生に関わることだから、とことん考える。
信頼できるメンバーの意見も聞きながら偏った判断をしないように心がけながら。
どんなに忙しくても送られてきた履歴書や書類を読むときは集中する。

でも少し残念なことがある。
特に経験者だけど、トラックレコードに「嘘」がある人がいる。
その「嘘」はすぐにばれるよ。
そんな残念な「嘘」はつかないで欲しい。

ディーラーであれ、ファンドマネージャーであれ、「人のお金を預かりリスクをとって運用する仕事」ってそんな甘いもんじゃない。
ディーラーにとって、そのトラックレコードは自分自身が歩いてきた道。
それがどんな結果であっても、失敗も含めてそれが自分自身の努力・力量の結果だ。

そこに「嘘」をつく。
あなたは自分自身を否定しているよ。
そこに「嘘」をつく。
あなたは懸命にこの仕事をしているみんなを馬鹿にしているよ。
そこに「嘘」をつく。
あなたに人のお金を預かる資格はないよ。

どんな成功も、どんな失敗もすべては自分自身が懸命に取り組んだ結果のはず。
そこに嘘だけはつかないで欲しい。
出来ていないことも含めて自分なのだから。
それを認めたうえでチャンスを望むことと、力もないのに嘘をついてチャンスを得ようとすることはあまりにも違う。

人のお金を預かりリスクをとるという仕事。
それだけ責任も大きければ、覚悟も必要だ。
そんなつまらない「嘘」をつくぐらいならこの道は諦めなさい。
そんな「嘘」をつくような人にお金を預けたいと思う人はいないのだから。
そして胸を張って正直にできる仕事をみつけなさい。

自分もこのブログで過去に月間で▲6400万程度の損失を出してきたと何度か書いてきた。
どれだけ利益を上げたかはブログではあんまり書かないけど(笑)
そしてどの会社を受けるときも、投資家と話すときもその全てをさらけ出してきた。
それが自分自身のすべてなのだから。

履歴書を送ってくれる人は真剣なのだと思っている。
だからこそそれを読むこちらも真剣に読もうと思っている。
そこにそんな情けない「嘘」は書かないでほしい。

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。

相変わらず気が向いたときしか更新しない気紛れブログだと思いますが…(^^;

今年もよろしくお願いいたします。
プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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