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【相場雑感】この上昇局面での指数比較

日経平均株価とTOPIX、33業種別指数、東証一部時価総額上位20銘柄について、この上昇の起点となった11月8日と本日の終値を比較してみた。



これまで指摘してきた通り、日経平均株価が非常に強いことが分かる。

33業種中、日経平均株価の上昇率+9.19%を上回っているのは証券業、その他金融業、保険業、倉庫・運輸関連業の4業種のみだ。残りの29業種は日経平均株価のそれを下回っている。ほぼ真ん中に位置するTOPIXの方が全体を示す指数としてはどことなく納得しやすい。

...

時価総額上位20銘柄と比べてみても日経平均株価の上昇率を上回っているのはKDDI、野村、ソフトバンク、ホンダ、三井住友、ファナックの6銘柄のみ。時価総額トップのトヨタの上昇率はわずか+2.26%に留まっている。



ざっとこの表を見ていえることは金融セクターか裁定買いのインパクトが高い銘柄を買っておかなければ日経平均株価の派手な上昇ほどの利益は出なかったということ。



5月23日につけた高値を抜けていくためには、このかなり極端に歪んだ状態から物色の手が広がり、循環物色の流れが出てくるかどうかがポイントとなりそうだ。



今日の相場は高値圏でのもみ合いから一気に売られる展開となり、市場参加者の多くは今日の相場は大幅下落という感覚に陥るような動きだった。実際に東証一部の値上り銘柄数は580、値下り銘柄数は1021と大幅に値下り銘柄数が上回っているような状態だった。

しかし、それでも日経平均株価は+16.12円、TOPIXは+2.26ポイントと現指数としてはプラスを維持している。

急激な上昇ゆえに今日の高値圏からの反落も激しくは感じたが、まだ上昇の火は消えていなさそうだ。

このかなり極端に歪んだ上昇ゆえに思ったように乗れていない人が多いかもしれないが…(^_^;)






しがないディーラーのブログ


【市場雑感】相場急騰の背景

先週始まった上昇。

14000円割れ目前の水準からあっという間に1400円近くも上昇している。

先週の投資主体売買動向をみてみると外国人投資家の買い越しが一兆円を超えるほどの金額に達していた。

先物でもクレディスイス経由の買いが4000億円前後の規模に達しており、わずか一週間の間に凄まじい規模の海外投資家の買いが入ったことが上昇の背景にあることははっきりとしている。


一方で、これまでではあまり感じることのないほどの歪みが市場には発生している。


今日、東証一部の値上り銘柄数は1200弱にとどまっており、TOPIXの上昇率は1%ちょっと。

時価総額トップのトヨタ自動車の株価はマイナスだった。にも関わらず日経平均株価は2%近くもの上昇率に達している。




NT倍率の上昇(NT倍率=日経平均株価÷TOPIX)。

この上昇局面であまりにも顕著に出ているのがこの動きだ。

日経平均先物主導での上昇。

それが結果として裁定買い(割高な先物売り+割安な現物株買い)を誘発し、裁定買い残は3兆8661億円(前週比4156億円増)に達している。




確かにテクニカル的にはボックスを抜けた以上買いでいいのだろう。

ただ…。


なぜこれほどの買いが突然のように入ってきたのか?

相場上昇のカタリストはいったいなんだったのか?

ファンダメンタルズで大きく変化するようなものがあったとは思えない。

思い当たるとすればイエレンFRB次期議長が金融緩和継続に対して寛容な姿勢を示したということ。

もう一点はGPIFが株式への配分を増やすという姿勢を示したこと。

それぐらいしか正直思いつかない。




この上昇が持続性を持った大きなトレンド波なのか、どこかに大きな落とし穴があるのか、どこか強い違和感を感じながらも気づいてみれば5月につけた高値が迫りつつある。




http://www.nikkei.com/markets/kabu/marketsnews.aspx?g=DGXNASFL210H8_21112013000000

【相場雑感】クレディスイス経由の先物買いが凄まじい件

今週の1000円を超える急騰劇は正直サプライズだった。

確かにレンジを上抜けた→買いに勢いがつくのは自然なことではあるのだけど…。

一番の理由はその上昇があまりにも偏った買い方によるものだったこと。

ファンダメンタルズに大きな変化があったわけではない。

米国株は確かに堅調。

イエレンFRB副議長も金融緩和政策継続に理解を示したことで金融緩和継続→過剰流動性相場継続というのも理解はできる。

それでも…あまりに急激かつ唐突だった気がする。




その上昇の背景にあったのはクレディスイス証券経由の先物買い。

11月12日以降、大量に先物を買い始めた。

昼も夜も立会外でも…。


11月12日以降の同社経由の手口は


日中売買

日経平均先物 +14719枚

TOPIX先物 +7872枚


夜間取引

日経平均先物 +5101枚

TOPIX先物 +0枚


立会外

日経平均先物 +1830枚

TOPIX先物 +201枚

※ちなみに同社はほとんどミニの売買はしていない。




その合計枚数は実に29723枚もの買い越しとなる。

金額(想定元本)にすればザックリ4000億円前後もの買いだ。


11月14日にはSBI証券の日経平均先物の買い越しと日経レバ(ETF)の大幅買い越しもあったが、今週のこの急騰劇はほとんどクレディスイス証券経由の買いによるものだったといってもいいかもしれない。




今後発表される投資主体別売買動向を見てみる必要はあるが、海外勢の先物買いによって裁定買いが誘発され、指数中心に一気に水準を押し上げていった構図だろう。

信託銀行(年金)などは売り方、個人についてはSBI証券経由の買いなどもあったので買いもあったかもしれないが、現物株はそこまで買ってはいない(もしかすると売り越しの)ような気がする。




実際にマーケットで戦っていても、全体に買いが入っているというよりは先物中心に指数銘柄ばかりが押し上げられていく印象が強く、その歪みをみるとつい売り向かいたくなる場面が多かった。そして買い戻す間もなく踏まされる…。




チャート的には確かにボックスを上抜けてきてはいる。

テクニカル的には買いだろう。

ただ何がこの上昇のきっかけだったのか市場参加者の多くはよく分かっていないのではないだろうか(正直自分も「要因は?」と聞かれたらよく分からない)。

恐らくはバイアンドホールド(買いだけやる手法)の運用者でもない限り、指数の派手な上昇ほどは儲けられなかったように思う。




余談になるが、11月5日以降緩和された信用売りの価格規制。

新規売りで下を叩けるようになった途端のこの上昇。

売りやすくなった分、つい売ってしまって踏まされるなんて羽目になったディーラーも少なくなかった気がする(^_^;)


クレディスイス経由の先物売買はCTAやマクロ系ファンドなどが背景にあるといわれている。

これまでも派手な売買をしてきているが、ここまで極端なのはあまり記憶にない。

同社の売買が来週以降どうなっていくのか?

そして週明け以降、この強さが全体へと広がりを見せていくのか?

この上昇がアベノミクス第2波の始まりなのかどうかはその辺りがポイントになりそうだ。

【市場雑感】HFTは善か?悪か?

HFT(超高速取引)に関するWSJの記事があった。


http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304218104579181132819753814.html




自分の私見だが…


HFT=悪い存在という認識は明らかに間違っている。

HFTはテクノロジーの進化を効果的に活用して利益を上げている合理的な存在だ。

一方で、HFT全てがクリーンな売買手法で取引しているかといえば、残念ながらそうではないと思っている。


個人投資家にも、ディーラーにも、トレーダーにも不正を行う者がいたように、HFTにも悪質な(違法または違法すれすれの)売買を行う存在はいるだろう。

そういった存在が野放し状態であることに問題があり、その発注・取消の様を他の市場参加者が見て「HFTは悪だ」と感じてしまっているのが現状だろう。




人間が手動で行う売買には限度がある。

発注件数、銘柄数…当然、目視で行い手作業で発注・取消を行っていれば検査・監督するのは比較的容易だ。

そして個人やディーラー、トレーダーから何人も悪質な売買を行う者が処分されてきた(当然)。

HFTはどうか?

同時かつ大量かつ瞬時に発注・取消を行い、また主市場だけではなく、PTSやダークプールまで使う彼ら。

それを人間が目視で検査・監督しきれるわけがない。

いくらでも誤魔化されるだろう。




日本市場で活動しているHFTが処分されたという話はあまり聞かない。

彼らの全てが良心的にクリーンな発注・取消行為を行っていると思うのは甘過ぎる。

市場参加者の在り方が変質し、システム取引によってミリ秒・マイクロ秒まで高速化した売買。

それを公平かつ平等に監督・監視できる体制作りが必要なんだろうと思う。




HFTは悪ではない。非常に合理的な存在だがその全てが善でもない。

個人投資家やディーラー、トレーダーと同じ。

人間が作り出しているものである以上、そこには悪意も存在する。

それをどう見つけ出し、市場から適切に退出させていくか。

それが実現されなければ良心的かつ健全なHFTまでいずれ一緒くたに非難を浴びる(すでにそうなりつつあるが…)。

そして無意味にしか思えないHFT擁護や非難の論争が繰り返される。

より高速な市場環境を提供する以上、そういった検査・監督体制の確立も公平な市場形成のためには必要なのだと思う。

プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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