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【ビジネス】相場は常に変化する

アベノミクスをきっかけにした日本市場の急上昇。
個人投資家の信用取引規制緩和もあり、売買高は急増。
証券各社の収益も短期的には改善している。
各社のマネジメントはお先真っ暗から抜け出せてホッとしているところだろう。

かつてバブルと呼ばれた時代があった。
そういう相場では現物株のロングオンリーが一番儲かる(しかも日計りではなくバイ・アンド・ホールド)。特にリスクに対して大胆な(恐れを知らない)やつの方が儲かる。

そして崩壊。
下落相場になるとデリバティブ(特に先物)ディーラーが最も儲かり、荒稼ぎしていた現物株ディーラーは虫の息になる。
相場がいい時期にスタートしたプレーヤーによくみられるのが、相場の怖さも知らずにイケイケで荒稼ぎし、儲かったのを相場のおかげではなく自分の腕だと勘違いしたままこの時期を迎えてしまう…これはきつい。しのぎ方を覚える間もなく解雇なんてこともよくある話。

そして下げがいくとこまでいき、低迷期に入るとみんな苦しくなる。こういったときに比較的強いのはオプションのショート・ガンマや、ロング・ショートのプレーヤー達だ。

「これだけ相場が上がっているのにどうしてそんなに儲かってないんだ?」

マネジメントはよくそう聞く。
その前にそれぞれの部下達がどういった手法を得意としているのかを知っておくべきだろう。
そしてチームの構成を考えて人材を揃えていくべきだ。
野球と同じ。
ホームランバッターだけ揃えてもチーム打率が低ければチームの勝率は下がる。

腕がいいやつならどんな相場でもそれなりにアジャストしてくるし、手法自体を変えてくることもある。自分も若手の頃にオプションから始め、小型株、現物株、ロングショート、先物と変化していった。でも多くは自分が積み上げてきた手法から大きく離れることは出来ない。契約化が進んだ昨今ではディーラー個人でも対応力を引き上げなければ10年以上戦えるプレーヤーにはなれない。

相場は常に変化する。

相場がよくなり、かつてディーラーから離れた人達にも復活を期して業界に戻ろうという動きが出ている。悪いことではないし、彼らにもそういった機会を作ってあげたいとも思うが…。

目先の利益ではなく、中長期的に中小地場証券が強い運用を実現したいのなら、恐らく必要なのは彼らのような人材ではない。
5年先10年先の相場の変化に適応出来る、アルゴ・トレーディングやもっと広いフィールドで戦える若い世代を育てなければいけないのだろう。

昨日海外取引所の方が訪問してくださり、ミーティングをした。
先日外国人プレーヤーの人達と食事をした。
彼らから見ればきっと我々の世界は不思議なことだらけだろう。

かつて黒船が来航し、ちょんまげに刀をぶら下げている日本人を見ているかのように。

もっと外の世界を知り、海外と戦っていける運用とは何かを考えなければならない。

明治維新と呼ばれるその時代、ちっぽけな島国である日本は急激な変化を遂げ、欧米列強と伍していけるだけの国になった。そんな力を持っているはずなのだから。

【ビジネス】自己資本規制比率について

平成24年12月末時点での総合取引参加者の自己資本規制比率が公表されている。




いつも思う。




『何故ここまで自己資本規制比率を高くしておかなければならないのだろう?』




1990年代後半。

『山一ショック』が業界を震撼させた。

四大証券の一角が自主廃業に追い込まれ、三洋証券、北海道拓殖銀行、日債銀…。

安全と思われていた大手金融機関が次々とバブルの後遺症から倒産に追い込まれていった。

その時期、金融機関の安全性をみるうえの指標として自己資本規制比率が重要視されるようになった。

当然、高ければ高いほど安全性が高いといえる。




ただ本当にそれがビジネスの上で何よりも優先されるべきなのか?




対顧客でビジネスを展開しているのであれば、「ウチは安全な金融機関です」と示す意義は高い。

しかし、地場証券の多くは自己売買(ディーリング)を主としており、営業が業務の中核になっている会社は少ない。

またあれから10年以上も経っている現在、自己資本規制比率が高いからその会社を使うという顧客はそれほど多くはないのも事実だ。




実際にこの一覧を見てみるとほとんどの大手証券や銀行系証券、外資系証券の自己資本規制比率はそこまで高くはない。

ほぼそれらの全てが500%を下回っており、多くは300%~400%程度で安定的に推移している。これらの会社の多くはそのレベルに落ち着くようにしっかりとコントロールされている場合が多い。

そして上位に並ぶ会社を見ると中小地場証券が1000%超でずらりと並ぶ。




これが意味するもの。


見方を変えれば、それだけビジネス・リスクを取っていない証左でもある。

ディーラーにはこの数字を高くしたいから月末はポジションを残すな、期末は絶対にポジションをゼロにしろという規制をほとんどの地場証券が行っている。

しかし、1000%超の自己資本規制比率達成のために収益機会を奪ってまで現金化する必要があるのだろうか?

価格に歪みが出やすい期末などはディーラーにとってはビジネスチャンスにもなる。

そこを過剰に高い自己資本規制比率維持のために制約かけるのはあまりにももったいない気がする。


資本を元にビジネスを行い、リターンを得るのが企業活動であるならば、これは株主にとって決して褒められた経営とはいえないのではないろうか?

資本を寝かして安全な状態に保持していることで自己資本規制比率を高めた結果、ビジネス自体が消極的になり、リターンが得られず赤字に陥っているのなら、これはビジネスの在り方を間違ってしまっているのではないだろうか?




確かに数値は高い方が監督官庁は評価してくれるだろう。

しかし、そこを気にし過ぎてビジネス自体を委縮させているようでは収益黒字化は遠のく一方だ。

結果、赤字を続けて資本を毀損し、株主に損失を与えているのならそろそろ発想の転換を図るべきではないだろうか?




自分も経営に対してよく訴えていることだが、自己資本規制比率を保つべき水準を明確にし、そのうえでもう少し積極的にビジネスリスクをとっていくべきだと思う。

【相場雑感】NT倍率乱高下

NT倍率(日経平均株価÷TOPIX)の変動が激しい。




先週は日経平均株価に対する寄与度が最も高いファーストリテイリング(東証:9983)の急騰劇により日経平均株価の上昇が際立ち、相対的に同銘柄の寄与度が低いTOPIXの上昇は限定的なものとなった。


それによりNT倍率は大幅上昇となり12.0を回復。


しかし、この週初はファーストリテイリングの値動きは鈍くなる一方で銀行・証券といったセクターにまとまった買いが入っており、同セクターの寄与度が高いTOPIXの上昇が際立っている(+2.15%)。


日経平均株価に対する銀行・証券セクターの寄与度は決して大きくはないことからその上昇はTOPIXに比べれば鈍く(+0.92%)、結果としてNT倍率は11.9を割り込み、前日比で0.1以上とかなりの振れ幅になってきている。






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【相場雑感】ユニクロ祭り

今週はファーストリテイリング(東証:9983)が完全なる主役

の相場でしたね。



3月4日の終値25370円→38日の終値31500円で613

0円(24.16%)の急騰。

日経平均株価をたったひと銘柄で日経平均株価を+245.45円

も押し上げる上昇となりました。

同期間の日経平均株価の上昇幅が+631.33円(+5.14%

)だったことを考えると値幅の実に4割近くがFリテの上昇による

もの。

同期間のTOPIXの上昇率は+2.85%にとどまっているので

、日経平均株価との上昇率の差はほぼFリテの寄与度の差で説明が

出来てしまう。

...

不動産株とかも強烈な上昇でしたが、指数屋的にはFリテ一つでだ

いぶ日経平均先物が振り回される感じでやりづらい感覚があったん

じゃないでしょうか。

銀行株とかTOPIXとか見ていると上がる気しないけど、それで

225先物を売ってしまうとFリテの上昇だけでかつがれていく。



久しぶりにここまで極端な歪み方を見た気がします。



「同じ阿呆なら踊らにゃ損々」…はまだ続くのかなぁ(^_^;)






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【相場雑感】日経記事はちょっとおかしい?

『株、先物の影響力一段と

SQ算出控え1万2000円巡り思惑、現物の値動きを増幅』



http://www.nikkei.com/paper/

article/

?b=20130307&ng=DGKDZO52504780W3

A300C1EN2000





... 今朝のこの日経新聞の下記の記事はミスリーディングしかねない内

容なので注意。



3月限のメジャーSQ(先物のSQ(決済日)、3月・6月・9月

・12月の第二金曜日)を控えている今週、先物市場では3月限か

ら6月限に建玉を乗り換える「ロールオーバー」と言われる売買が

活発に行われている。



そのほとんどはスプレッド取引により執行されており、実際の日経

平均先物3月限や6月限の市場で直接執行される比率は少ない。



表のように3月限の出来高をただ見ていれば月曜日の59935枚

から、火曜日に83361枚、水曜日に90598枚と急増してい

るかのようにみえるが、その増加分のほとんどはスプレッド売買に

よるものだ。



月曜日のスプレッド売買は19784枚(前週末9270枚)、火

曜日は35245枚、水曜日は61768枚とSQが近づくにつれ

て急増しており、その売買が含まれている出来高をみてしまうと一

見出来高急増に見えてしまう。



しかしその実態はスプレッド除外の列の通り。昨日にいたっては実

質28830枚まで減少している。一方で、売買の中心が期先(6

月限)に移行しつつあるため、そちらの売買を加えると51196

枚となり、2月26日に市場が大きく動いて急増した後の先物売買

高は5万枚前後で低位安定といったところ。



現物株の売買が細り気味の一方で先物の売買が活発化し、市場を動

かしているというのは明らかなミスリーディング。

先物市場もロールオーバー中心の値動きになっており、売買自体は

活発とはいえない。先物主導というよりも、ファーストリテイリン

グやソフトバンクといった一部の指数寄与度が高い銘柄の急騰が指

数の上昇を支えているという構図が正しい見方だろう。



要するに値動きを増幅しているとすれば先物ではなくFリテやソフ

トバンクなんですよ(^_^;)






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【相場雑感】指数マジック?

ファーストリテイリング(東証:9983)の上昇が止まらない。

3月4日の終値25370円からすでに29000円を突破、その

上昇率は14.31%を超えている。



同銘柄は日経平均株価採用銘柄225銘柄中でも最大の指数寄与度

(株価の変動が指数に与える影響が大きい)を誇っており、同期間

の日経平均株価の上昇幅250円弱(上昇率は+2.13%)のう

ち、150円弱(銘柄数としては225分の1に過ぎないのにほぼ

6割)の上昇をわずかひと銘柄で実現している。



... 一方で、TOPIX(東証株価指数)の上昇率は+0.78%にと

どまっており、ファーストリテイリングの影響の大きさの差が明確

に出た格好だ。



日経平均株価は修正単純平均。

TOPIX(東証株価指数)は時価総額加重平均。



指数の計算式による違いがここまで明確に出るのも久しぶりな気が

する(しかもたったひと銘柄で)。

かつて『ITバブル』と呼ばれた時代。

日経平均先物はあまり動かず、上昇も緩慢なものだったが、TOP

IXは大幅な変動、急激な上昇をしていた。

日経平均株価に採用されていない光通信やソフトバンクといったI

T銘柄がTOPIXへの指数寄与度を高めており、それらの銘柄が

動くとTOPIXは動くが指数に採用していない日経平均株価は無

風状態といった背景があった。



こういう指数マジックで株価が動いているとき、指数の水準だけを

見ていると市場全体を見誤ることが多い。

全体は上値が重く見えるのに指数はFリテひと銘柄で押し上げられ

ていく。

一歩引いて俯瞰していくことが肝要だろう。

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プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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