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【ビジネス】証券氷河期?

この1~2年の間に多くの友人がこの業界を去った。

相次ぐリストラ、ディーリング部廃部、会社自体の廃業…。

外資系証券では国内から香港やシンガポールへリソースを移し、国

内系は追いこまれて縮小・撤退。



自分が入社したのはバブル崩壊後。

...
証券不況と呼ばれ、就職先が証券会社と言ったときには周囲から「

なんで好き好んでそんな業界行くのかねぇ。」と言われたものだ。

その頃の日経平均株価は14000円ぐらいだったと思う。



今の日経平均株価は9000円前後。

そして業界を取り巻く環境はかつて不況と呼ばれた時代よりかなり

厳しい。

当時が冬なら今は氷河期というところか…。



機械化の流れは取引環境のみにとどまらず、注文の執行、売買判断

にまで広がり、超高速化の中で短期運用においては人間は機械に太

刀打ちできなくなってきた。

人間が視覚で認知し、指を動かしてボタンを押下するまでの間にコ

ンピュータは注文をさらっていってしまう。



当然ながら人の数は減り、機械による無機的な売買が市場を支配し

がちになり、相場はどこかダイナミズムを失ってしまった気がする



かつては板(注文状況)の向こうに戦っている相手の感情が見えた



今はその感情すら見えない。



それまで火縄銃で戦ってきたところにマシンガンを持って攻め込ま

れているようなもの。

しかし、多くの日系証券は新しいことへの取り組みが出来ず(理由

はお金をかけられない、管理能力がない、コンプライアンスにおい

て過剰に保守的になっている…etc)、個々の兵隊(ディーラー

)に火縄銃のまま「頑張ってくれ!」と言うにとどまってきた。

兵隊から「火縄銃では戦えない、新しい武器を、もっと違う戦略を

!」と訴えがあっても司令部(マネジメント)も補給部隊(管理部

門)も出来ない理由ばかりを探してその対応は後手後手に回ってき

た。



そして追いこまれて縮小・撤退…。

今は前線で戦う兵隊だけではなく、司令部も補給部隊も一丸となっ

て変わる努力をし、どう戦っていくのかを考えるとき(すでに時は

過ぎてしまったかもしれないが…)。

今、自分の会社で取り組んでいるいくつかのプロジェクトは初期投

資もランニングコストもほとんどかかっていない。お金をかけなく

ても新しいことは出来る。

そして今、我々の窮地を知り、手を差し伸べてくれる多くの人たち

がいる。

もっと目を見開いて、そういった人たちの知恵や力を借りながら、

自分たちが努力をして変化してみせること。

そして10年先も戦っていける組織にならなければいけないのだと

思う。



『もう間に合わないかもしれない…。』

という思いは3年ぐらい前からずっと抱えている。

2006年~2007年に在籍していた証券会社で提案した『ディ

ーリング部改革案』。

『あのときに実現に向けて動けていれば…。』

そんな思いがずっと残っている。

それを拭い去り、『これでよかったんだ。』と思えるようにするた

めに今も諦めずに頑張っていきたいと思う。



オレが若手だった頃、相場ってワクワクドキドキするものだった(

怖い思いも死ぬほどしたけど(^^ゞ)。

今の相場は若手のみんなにとってどう感じるのだろう?

相場がつまらない…と感じてしまうようなら悲しいよね。

未来を夢見れるように一歩ずつでもいい切り拓いていきたい。


【市場雑感】HFT規制について

今朝の日経新聞の一目均衡に米国市場でのHFT(High Frequancy Trading=超高頻度取引)に対する規制の話が取り上げられ

ていた。



市場で行われる売買の機械化の流れはだいぶ前からあった。

インターネットが普及し、市場取引のインフラが劇的に変化したた

めにそれが一気に加速して現在に至る。



昨今、HFTへの規制論議が欧米で盛んになっている。

ミリ秒、マイクロ秒で注文の発注・取消を頻繁に行う彼ら。

流動性を供給しているという面もあるが、過当な数量の取消など目

に余る面も指摘される。



アローヘッドやJ-GATEと呼ばれる取引所の執行システムの高

速化に伴い、彼らは日本での売買を急速に増やしている。

自分は『儲からなくなったのはアローヘッドのせい』『HFT=悪

』という意見には反対だ。

技術革新が進む中でそれに適応し、相応の資金を投じ、リスクを取

ってその技術革新を彼らは収益機会へと結びつけた。

それ自体は正しいと思う。



先回りで売買を行われることは決して不平等ではない。

かつてはディーラーがその立場にいた。

顧客がトレーダーや営業に電話で注文状況を聞いて売買執行を行っ

ている間に、ディーラーはより早いタイミングで売買執行ができた

のだから(情報が遮断されていても、同じスピードの判断ならディ

ーラーの方が早く売買執行できた)。

HFTはコロケーションなどを利用してより高速に市場情報を得て

売買執行を行える体制を持っている。

その高速な環境を活かせるだけのシステムを構築している。

そしてそれには当然お金もかかっている。

だから我々より有利な環境にあること自体は不平等だとは思わない





儲からなくなった本質的な問題は、その技術革新や時代の変化への

対応や努力を怠ってきた日系地場証券にこそある。

ただその努力を過剰な規制や監視で縛りつけて自由を奪ってきた当

局や取引所の監督姿勢にも行き過ぎはあったかもしれない。

ディーラーや個人投資家に対する監督・規制が強い中で、HFTに

対する監督・監視体制は脆弱だ。

彼らは一つの取引所だけではなく、複数の取引所やPTS(私設取

引所)、ダークプールなどにまたがり同時かつ高速に売買を行って

いる。

そういった売買を時系列に沿って一元的に監督・監視できるだけの

体制は日本に出来ていない。

そしてHFTの中にも悪質なものは間違いなく存在する。

かつてディーラーにもロクでもない売買をやるヤツがいたのと同じ

ように。



欧米で強まるHFTへの規制強化の流れ(2015年に予定されて

いるMiFIDⅡなどもその一つだ)。

日本の当局や取引所だけが、このまま野放しでHFT大歓迎の姿勢

でいればいずれ彼らの悪い面がクローズアップされるときがくるだ

ろう。

そして過剰な規制が敷かれ、結果として健全なHFTですらビジネ

スがしづらくなり、その後には残されるのは市場参加者が減少しき

った悲しむべき市場実態なんてことにもなりかねない。

そうやって歴史は繰り返される。



今こそ市場参加者の多様性の確保、健全な育成のために何が大切な

のかを真剣に考えて取り組んでいかなければいけない。

この日本の市場で育ち、生きてきた者の一人として、この市場が多

くの投資家や市場参加者にとって、そして多くの上場企業にとって

魅力的なものであることを願う。


【ビジネス】オプションやるのも大変ですねぇ(^^ゞ

ようやく日中から夜間にかけてポジションを自由に動かせそうです。




ただこれはあくまで最初の一歩。


自分の中では昨年末(遅くても年度末)には終わっているイメージだったんですが…(^^ゞ


その先にある海外指数先物やリスクカテゴリーの違う商品への取り組み、そしてオプション。




今はオプションについて経営・管理とやり合ってますが、正直オプションを『日計りなら、買いだけなら』という意味が分からない…(-_-;)


オプション=危ないと勉強もせずに決めつけ、その商品特性を活かした運用が出来ないように縛ってしまっている。


前にブログでも書いたけど『オプション=危ない』のではなく、『オプションの取扱説明書をしっかりと読まずにやること=危ない』のであって、しっかりと勉強し、そのリスク要因がどこにあるのかを理解さえしていれば何も怖くはない。


流動性の少ない銘柄や、財務リスクが大きい銘柄を裸で大量に買う方がよっぽど怖いっての(-_-;)




証券のプロであるべき証券会社の経営や管理がそのレベルじゃあねぇ。


韓国見習ってオプション活性化しようにもこれは厳しい(>_<)




オプションによる巨額損失は確かに過去たくさんある。


ベアリングス証券を潰したニック・リーソンも最初は資金不足からショート・ガンマのポジションをバカスカ作って動かれたら困るから先物で買い支えていた。


それ以降も勧角証券、タイコム証券、東日本大震災のときのネット証券(あと個人。一人で10億円損した人がいた)といい、ハタから見ていても怖いポジション取るなぁと思っていたところは大体やらかしてる。


でもね、ハタから見ても怖いって分かるんだから、リスクを理解さえすればいい。




その全てが過剰なガンマ・リスクを取っていたのは明白だ。


点ではなく線で捉え、さらに立体的にストラテジーを組み立てていく。


それがオプションの基本。


それを点でしかリスクを考えなければ危ないことこの上ない。




その一方で、オプションほど相場観を柔軟に表現できる商品はない。


時間経過を利益につなげることもできる。


上がってもいい、下がってもいい、動かなくてもいい、少しだけ上がるでもいい、少しだけ下がるでもいい。


それを理解しようともせず安易に危ないからやらせない…なんてのは証券市場の基盤を担う会社としてどうなんだろ。




後輩たちでもチャレンジしたがっている奴らがいる。


みんながやりたい時間にやりたい商品で戦える環境を実現する。


そしてそれを的確に管理する体制を作る。




一年近く前に管理部門に自分が作成したオプションのポジション・シミュレーターを渡してしっかり検証しておいてくれるように頼んでおいた。


それすらもまだ十分理解できていない。


あのシートは自分が入社して一年目のときに作ったもの。


つまり20年近くも前の代物だ(当然Excelのバージョンアップに合わせてリメイクはしているけど)。


本当に90年代に出来ていたことが今の証券会社は出来ていない。


確実にレベルが落ちている気がする。




MiFIDⅡによる欧州の規制強化の流れは日本市場に大きな影響を及ぼすだろう。


(日本においては)HFTによる市場支配はどんどん強まっていく。


戦えるフィールドを広げ、時間軸を広げ、みんなが戦い抜けるように。


戦術だけではなく、今戦略的に動かなければいけないとき。


時代の変化を読み、その一歩二歩先をいかなければ成功はない。


二歩も三歩も後ろを歩いている今の状況では先は…。




みんなで考え、みんなで苦しみ、みんなで乗り越え、みんなで喜べるように。


会社の、業界の未来を少しでも明るくして未来を担うべき後輩たちが夢を語れる時代を取り戻したいと思う。




今日も一日頑張りますか!

【日常】今を大切に…

ランス・アームストロング。

自転車ロードレースの最高峰ツール・ド・フランスで前人未到の7連覇(1999年~2005年)を達成した素晴らしい選手だ。

自分がロードレースに夢中になっていたのはベルナール・イノー全盛期の1980年代。

レースから遠ざかり、あまり興味を持たなくなっていたが、彼の存在によってまた見るようになった。

彼の本なども読んだ。




ただ強いだけの選手ではない。

1996年に彼は癌に侵され、生存確率50%という状況の中、闘病生活を乗り越えた。

再起不能と言われた彼は1999年にツール・ド・フランスで初優勝を飾り、7連覇を遂げる。

死と向き合い、病気を乗り越え、そしてリハビリを経ての偉業だ。

彼の走り続ける姿に多くの人が勇気づけられたと思う。



昨日、夜に食事をご一緒した方も生存率20%、5年間もの闘病生活を乗り越えてこられた方だ。

ビジネスを通じて知り合い、二人で飲み交わし、仕事や業界についての意見交換などもさせてもらってきた。

とても前向きでエネルギッシュに仕事をされている。

そしてプライベートではランナーとして走り続けている。

闘病生活のこと、その頃の写真なども見せていただいた。



自分はそういった病気になったとき、しっかりと向き合えるだろうか?

前向きで在り続けられるだろうか?



彼は言った。

『病気を乗り越えた自分が走り続けること、それを伝えることで少しでも誰かが勇気づけられるのなら頑張り続けたい。』

と。



彼が目指すものはツール・ド・フランスではないが、その素晴らしさはランス・アームストロングと同じだ。

今を前向きに生きていられることに改めて感謝しなければと思った。

思うようにならないことがいっぱいあるけど、それに対して不満を持てることすら幸せなのだろうと思う。

今ある『当り前』のことへの感謝を忘れずに、今を大切に生きていきたいと改めて感じた。



もう一人の大切な友人とともにいい時間を過ごさせていただきました。

紙面をアップしたいぐらいだけど…ぜひランナーズ誌を読んでみてください。

プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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