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【ビジネス】AIJ浅川社長の参考人発言を聞いて

しかし予想通りの発言が多かったAIJ浅川社長。

色々と頭来る発言は多かったけど、何よりカチンときたのは…



『私財を処分してでも返す気はないのか?』

との問いに

『これまでの報酬は正当な形でもらったものだから…。』

などといけしゃあしゃあとぬかしやがった!



パフォーマンスフィー(運用成果に対する成功報酬)はもとより、マネージメントフィー(管理報酬)だって運用成績水増しして嘘ついてかき集めなければもらえなかったものだろうに。



本来、ファンドの商品としての価値はその運用実績に比例する。

顧客は優秀な成績を見て投資を決めるのであり、その運用実績自体を偽っていたのだから正当な方法で販売されたものとはいえない。

嘘八百並べ立ててインチキ商品売りつけたのと同じ。



なのに管理報酬は正当なものだと言い切るこの神経。

損失出し続けているファンドに2000億円も運用資金が集まるわけねーだろ。

嘘ついてるからお金が集まっただけのことで、それをもとに受け取った報酬が正当なもの…なんて通る道理はねーんだよ!



人のお金を預かってマーケットで戦う仕事をしているものとして心から恥ずかしく、情けなく思う。そして強い憤りを感じる。



同じようにアメリカで起きたマドフ事件。

同容疑者は650億ドル規模の投資詐欺について有罪であることを認めた後、懲役150年の刑で収監された。また私財としてため込んでいた100億円以上に相当する資産を当局は没収。



金融犯罪に対する刑罰が甘い日本でどこまで出来るか分からないけど、私財は全て没収し損失を受けた年金(受給者)たちに1円でも多く返すべきだ。

そして二度とこの世界に戻れないように厳しい処罰を望む。

【ビジネス】ホント腹立つわ…(-_-;)

「いつか『当たる』と思ってやっていた。もう100億円あれば、なんとか巻き返せたのに」



http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120324-OYT1T00032.htm




誰がどうみてもギャンブルで大損こいて借金作って人生終わるダメ人間と変わらないこのセリフ。

こんなセリフを言う人間が2000億円以上もかき集めた。



http://s.nikkei.com/GO286y




運用成績の水増し行為は運用開始翌年から始まっていたそうだ。



勝負の世界では負けることがあってもいい。

『絶対負けない』なんてことはありえないのだから。

でも自分の負けをごまかしたり嘘をついた時点で勝負の世界からは降りるべきだ。



『アンタはこの運用水増し始めた翌年からすでに負け組なんだよ…。』



ディーラーにも自分のトラック・レコードを偽ってどこかの会社に潜り込もうとするヤツがいる。

そんなことをしなきゃいけない時点でこの仕事(人のお金を預かってリスクを取る)をする資格はないんだよ。

負けてしまったとしてもそれはしかたない。

でも全力で取り組み、そして悔いの残らないように懸命に相場と向き合い、その結果が『負け』ならば潔くこの仕事から離れることも勇気だ。

負けたからといってしょぼくれてやめる必要はない。

一つの挫折だろうけど、その悔しさを胸に抱いて、でも胸を張って次に自分がやるべきことを見つければいい。

嘘をつくということは周囲だけではなく、それまでの自分自身にも嘘をつくことになる。

結果がどうあれ、全力で戦った自分に誇りを持てないようなら勝負の世界で仕事をするべきじゃない。



負けを認められないヤツ。

損失の事実を正面から受け止めようとせず周囲のせいや相場のせいにするヤツ。

損してもその要因や経緯を自省することなくやみくもに勝負してりゃ取り返せるといい続けるヤツ(いつか当たるって発言が…)。



勝負で負けたということは相場を読み違えたということ。

相場見通しがあっていたのに儲からないということはポジション・コントロールが出来ていなかったということ(玉がデカ過ぎてつまらないところできったりしてしまう)。



負ける要因は相場より自分の中にあることが多い。

相場は自然と同じで晴れの日もあれば、曇りの日もある。雨の日もあれば嵐の日も。

それを乗り切っていくためにはそれを読み、それに自分を合わせることが大切。



自分が負けたことを相場のせいにするなど言語道断。

『この相場がおかしい。』

のではない(確かに『ヒドイ相場』ってのはあるけど)。

それに合わせられない自分がおかしいのだ。

相場に対して謙虚であること、自分に厳しくあることは勝負の世界で生き抜いていくために必要なことだ。



損失にビビっていたら戦えない。

怖がって逃げていたら戦えない。

でも怖さに目をつぶって戦ってはいけない。

損失の責任を誤魔化して戦ってはいけない。

それと正面から向き合いながら、相場と真摯に向き合っていかなければいけない。



AIJ投資顧問の浅川(すいません、個人的に激怒レベルなので『氏』とかつける気になりません)は最低の運用者だと思う。

相場で淘汰され、消えていった運用者は星の数ほどいる。

10年20年生き残っている方が圧倒的に少ない世界なのだから。

しかし、嘘をつき、人をだまし、そして何年もいい暮らしをし、そして多くの人の将来に傷を与えた。



金融犯罪に対する刑罰が比較的軽い日本。

しばらくすれば牢屋から出てくるんだろうね。

でも心の底から二度とこの世界には戻ってきてほしくないと思う。



どれだけ多くの人に傷を与えたか。

どれだけ業界にダメージを与えたか。



本当に許せんわ…。

【ビジネス】規制よりも処分で…

今朝の日経の記事です。


AIJ問題に「契約時の嘘」初適用 監視委、強制調査へ  :日本経済新聞 http://s.nikkei.com/xFfPWw


それでも『3年以下の懲役または300万円以下の罰金』ですか(-_-;)

2000億円とばして、嘘つき続けて多くの人をだまして、大勢の人の老後の生活に大きな傷をつけて、業界の信用を著しく汚して…。

規制ばっかり強化しないで罰則強化が大事なんだけどなぁ。

規制強化は健全な意思をもった人たちの手足まで縛ってしまう。

悪質な人間が違法行為を行った場合、非常に強い罰則を設けることによって悪いことしても得なことはないって状況作る方が大事なんだけど。



ちなみに…(Wikiより)

米国のマドフ事件では…

2009年6月29日、アメリカ地方裁判所はマドフに対して詐欺・資金洗浄などの罪で150年の禁固の刑の判決を下した。

現在、ノースカロライナ州の刑務所で服役中である。

2009年12月には、マドフ受刑者が他の受刑者から殴られ鼻の骨や肋骨を折られるという事件が起きたという。殴った男性はかつてマドフに投資したことがあり、損害を被っていたとされ、柔道の黒帯を持つボディービルダーで薬物犯罪で服役中だったという。

2010年12月11日早朝、ニューヨークの自宅アパートで長男のマークが首を吊って死んでいるのを発見された。この日は奇しくも父親の逮捕から丸2年だった。


しかも聞いた話では民事でマドフは全財産を奪われ、それは資産をだまし取られた被害者たちへの返金(一部でしかないけど)に当てられたらしい。



息子さんは可哀想だけど…。


少なくともこれだけ悪質なことをしたらて数年の服役で済んでしまうのはどうにもおかしな話なんだけどねぇ。

日本はどうしても罰則が甘く、何か問題が起きるとすぐに規制を強化する方向に進んでしまう。



昔、先物でしょっちゅう大口の見せ玉をしていた方が…


『処分されて罰金払っても、それで儲かる金額の方が圧倒的に大きいから…。』


と言ったとか言わなかったとか…また聞きなんで(^^ゞ


そんなことが許される状況じゃいけないんだけどね。

悪いことをしたヤツはそれで儲けた金額以上に奪われ、二度とこの世界に戻れないぐらいの処分でいい。

安易な規制強化は健全な意図で市場に参加している人たちの活力を奪い、金融市場の活性化を妨げ、結果として優秀な人材の海外流出などにつながっている。




悪質な人間はどうしたって存在する。

それをどう排除し、防ぎ、業界・市場を守っていくか?

大きな視点に立って見直すべき時が来ている気がします。




若干、話は変わるけど…

昨日の会議で監査から『発注テスト』について指示を受けた。

本番環境でのテスト発注は一切行わないことと。

聞けば東証さんからの要請らしいが…。


先週木曜日のSQ前日に大量のインデックス注文出して取り消したヤツおったけど、あれがテストだというならさすがにやり過ぎだろうと思う。

市場への影響を最低限に抑える配慮はあってしかるべき。

でもテスト環境以外でテスト発注をゼロにしろと言われたら…それは困るよ(-_-;)

システムのバージョンアップやトラブル発生から復旧後に最小単位で値段の離れたところに発注してテストを行う余地ぐらいは残してほしい。

例えば停電や地震。

場中に発生した場合、復旧後に回線に影響なかったかどうか、ルーターなどは正常に動いているかなどを含めて簡単なテスト発注ぐらいはさせてもらえないとその日は売買できなくなる。

いきなりまともなロットで約定つけろと言われても…ねぇ(^^ゞ


テストというには過当な数量であったり、高頻度であったりすれば問題視されていいと思うけど、市場への影響を配慮し、最低限のものであれば本番環境でも許容されないと現場は困りますよ。


いちいちテストの申請をして、取引所にテスト対応してもらってなんて手続き毎回は踏んでられませんから。


これも極端な数量などでテスト発注とかをやる馬鹿がおって、そいつのせいで普通の感覚で影響を最小限にとどめ、業務をスムーズに遂行するためのテストを行っている人たちまで規制されてしまういい例。


そういう現場無視の規制のかけ方や要請の仕方は勘弁してほしいものだ。

【ビジネス】一つの業界が消えゆく姿

添付の表(画像)を見てみて欲しい。




しがないディーラーのブログ



日本商品先物取引協会が公表している商品先物の登録外務員数の推移だ。

平成17年度まで14000人台を維持していたものが、平成23年度1月時点で2450人まで実に6分の1まで急減している。急速に減少を始めたのは平成18年度(2006年)。



昨今、国内商品先物取引所が苦境に陥り、単独では生き残れないという見方から総合取引所構想が示されて各国内取引所はその方向へと進んでいる。

そりゃこれだけ外務員が激減し、市場参加者が減っていればそれは苦しくなって当たり前。



これはTOCOMの売買高推移(同取引所ホームページより抜粋)

合計売買高

1992 13,585,379

1993 21,557,795

1994 30,481,313

1995 35,125,427

1996 27,560,154

1997 30,178,349

1998 43,589,723

1999 48,442,161

2000 50,851,882

2001 56,538,245

2002 75,413,190

2003 87,252,219

2004 74,511,734

2005 61,814,289

2006 63,686,701

2007 47,070,169

2008 41,026,955

2009 28,881,948

2010 27,636,367

2011 31,670,031



こちらも2006年を境に急速に減少し始めている。



この年に何が起きたのか?

『金商法(それまでの証券取引法)』の改正だ。



本来、商品先物取引においては商品取引所法で規定されるところによるはずだが、営業における勧誘方針などについてはかなり細かいところまで規定されていることもあって、実質的に業界にはかなり大きな影響を与えた。



一昔前、商品先物業界の営業がかなりエゲつないという話はよく聞いていた。

商品先物取引で損をした顧客の話もしょっちゅう聞いたし、かなり強引な営業手法なども知られるところだった。

自分はその現場を知らないので実際どうだったかまでは分からないけれど、商品先物会社から証券会社へと業態転換した会社に一時所属したことがあった。

そこの営業はそれまで知っていた証券営業よりもはるかに激しく厳しい世界だった。ある意味『軍隊』。彼らの必死さやとんでもなく厳しい中でも電話をかけ続ける姿勢には驚きと感心を感じた一方で、それは少し呆れるほどのものだった。



金商法は『投資家保護ルールの徹底と利便性の向上や、金融市場の透明化、国際化を促す目的』で施行された。



それ自体の考え方・理念は決して間違えてはいないと思う。

ただ一方で業界はそれによるコンプライアンス管理の複雑化、コスト上昇、法令違反リスクの増加などに戦々恐々とし、多くの商品先物会社が撤退していった。



自分はあくまで運用者の立場で仕事をしてきたから、その辺の実態を十分知っているわけではない。

金商法の影響が具体的にどれぐらいあって、そして業界がどう変化していったのかを正確に伝えることは自分には出来ないので、それはそういった現場にいた方々にお任せする。



しかし、商品先物業界の衰退、商品先物会社の相次ぐ撤退、そして表にあるような外務員の急減、取引所の出来高減少…これらが金商法の改正をきっかけにして生じたことは紛れもない事実だ。



それまで業界に問題が多かったことも確か。

もっと自主規制においてしっかりとやるべきことはあったのかもしれない。

ただ投資家保護、顧客保護の観点から一方的に規制を強めれば、それは業界の活力をそぐことにもつながっていくということを理解してほしい。



規制を強めれば、それだけコンプライアンスやリスク管理に厳格な体制が要求され、コストも上昇する。

結果として、新しいことへの取り組みなどが出来なくなっていき、業界は衰退していく。

日本の商品先物業界の外務員数を見る限り『一つの業界が消えゆく姿』にすら感じられる勢いの減少速度だ。



証券業界はまだそれよりもはるかに規模は大きく、市場も大きいが、それでも多くの人間がこの業界から去っていっている。

東証・大証の合併を契機に廃業する地場証券も多数に上るだろう。

そしてその多くがディーリングを中心に経営を維持している。

つまりディーラーがそれだけ一気に減少する危険がある。

一人のディーラーが一日にどれほどの金額の売買をしているかを考えれば、それは取引所の出来高にも少なからず影響を及ぼすだろう。

商品先物市場で起きていることは決して他山の火事ではない。



今回のAIJ投資顧問が起こした事件によって規制強化の動きは強まる可能性が高い。

しかし、その前に考えて欲しいことがある。



投資家サイドにはただの被害者なのか?

自分の大切なお金(今回は特に年金加入者の将来を守る大切なお金)を預けるにおいてもっと考えるべきこと、学ぶべきこと、知るべきこともあったのではないか?



本質的に『投資は自己責任』によるもの。

確かにAIJ投資顧問のように与えられる情報自体が作為的に操作された場合は騙されるのもしかたない面もあるかもしれない(というかすでに詐欺行為だし)。

しかし、それは投資家サイドの努力や意識次第で防げなかったものなのだろうか?

(多くの人のお金を預かる立場の)年金運用者であるならばそれはプロであるべきだし、プロならば最低限のデューデリジェンスは行って然るべしだったのではないだろうか。

実際に専門知識を持つ方々から聞いた話では数年前からそういった懸念はあり、かかわりを持たないようにしていたという話も聞く。



十分な知識のない個人投資家(特に老人など弱い立場の方々)を保護するのとは訳が違う。

機関投資家や資本家は運用者にとっては神様だ。

通常、立場は彼らの方が圧倒的に強く、お金を預け続けていただくために運用者(運用会社)側は必死に結果を出そうとするし、結果が出なければ頭も下げる。



『投資家保護』の観点から運用会社に様々な規制を設け、経営コストを上げるようなことをすれば、日本の運用ビジネスはさらに遅れていく。

すでにシンガポールや香港にアジアの金融センターの立場は奪われている。

日本の投資家の資金で日本人が日本市場で運用する運用会社ですら、多くがシンガポールや香港に拠点を構えている。



彼らの中には日本に戻ってやれるならやりたいと思っている人もいっぱいいる。

しかし、法規制の厳しさやコストの高さ、税金の高さなどの理由でそれが出来ないという人が少なくない(少なくとも規模の小さなベンチャーファンドでは)。




この春に金融庁は新しい運用会社のスキームを施行する。

それはこれまでに投資一任業に比べればはるかに実用的なものだと思うし、日本の金融ビジネス活性化に一役買うはずのものだった。

その流れが今回の事件で止まってしまうようなことがないことを心より願う。



プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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