この一年を振り返るとあの挫折から一年も経っていないんだ…と、なんか不思議な気持ちになる。
あの苦しかった時期がずいぶん昔のことのように感じられる。
2011年は公私に渡ってどん底からのスタートだった。
40年以上も生きてきてつらかったことはいっぱい経験したけれど、そのどんな経験すら大したことじゃないと感じるほどきつかった。
先が見えなくて、疲れ果てて、しばらく仕事もしたくなかったし、どこかで全部投げ出してしまいたいとすら感じていた。
自分の人生なのに思うようにならない辛さ。
背負ったものの重さに押し潰されそうになっていた。
多くのものを失い、傷ついていた。
そして傷つけもしていた。
1月にアクシアをクローズすることになり、その後は半年ぐらい休養しようと思っていた。
そんな自分が思いのほか早く立ち上がることができたのは家族や仲間や多くの友人たちの応援があったから。
たくさんの人が心配し、励まし、手を差し伸べてくれた。
そしてボロボロの状態の自分のことをそれでも信じてくれた。
一人で生きているわけじゃない…そんなことは分かっているつもりだったけど、これほど「生かされている」と感じたのは初めてだった。
ファンドをクローズして、すぐに初めての長い一人旅に出かけた。
トルコを3週間弱、カメラを片手にバックパッカーのように旅した。
カメラが趣味だったことをようやく思い出した。
就職してからの自分はくそ真面目そのもの。
自分を追い込むように生きてきて、自分の時間や趣味を大切にしてこなかった。
学生時代は多趣味だった自分が、仕事から離れて一人でいると何をしていいのかすら分からなかった。
でもカメラを持っていると、通りがかりの風景や草木・花、光…当たり前のようにあるそんなものを気にするようになった。
これまでは意識もせずただ通り過ぎていたものに目をとめるようになり、何かを感じたり、感動したりできるようになった。
トルコから帰り、しばらく休みたいと思っていた自分の背中を押してくれたのは今の会社の社長だった。
「前に進もう。」と思った。
「この人の期待に応えたい。」本気でそう思えた。
地場証券の現実に失望していた自分だったけど、それでも諦めずにできることをしていこうという気持ちになれた。
その出会いを作ってくれたのは他の証券のディーリング部長をしていた人だった。
多くの人が心配し、様々な人を紹介してくれたり、自分を必要と言ってくれた。
それがとても大きな力になった。
自分でもびっくりするほどに。
その後、また走り始めた自分。
今やりたいことは30代の頃のようにプレーヤーとして成功することではない。
それはそれでプロとしての仕事・責任を果たさなければならないけれど、今の自分が目指すものはもっと質の異なるもの。
そしてそれは一人の力では実現できない。
でもあの苦しいときに力を与えてくれた人たちがいる。
多くの人の支援や理解を得られれば少しずつでも変えていけるかもしれない。
そう思えた。
夢を見れなくなった地場証券の若手ディーラー達。
彼らが夢を追える時代・環境をもう一度取り戻したい。
単なる一攫千金ではなく、運用のプロとしてこの国で運用ビジネスをし、成長して世界に通用するようなプレーヤーが生まれるような土壌を作っていきたいと本気で思っている。
ファンドの世界を垣間見て、日本の運用スケールの小ささを思い知らされた。
月に1億~2億稼いでいた時期もある。
でもグローバルに運用する海外ファンドの人の前ではとても胸を張れるようなものではなかった。
あまりにもスケールが違った。
日本は世界有数の個人金融資産を持っている。
なのに金融・運用ビジネスは未発達で規模も小さい。
アジアにおける金融センターは香港やシンガポール。
日本人が日本市場で運用するのにも関わらず、多くのファンドマネージャーがそれらの国に移ってビジネスをしている。
日本でもやれる。
日本だからこそ出来る。
そんな風になって欲しいと願う。
そのために自分か出来ることがあるのなら、どんな小さなことでも全力でやっていこうと思う。
もっとワクワクするような市場。
若手が将来を夢見てチャレンジしていけるような環境を作っていきたい。
今の会社に入社して、研修室を任された。
まだ二年目、三年目の若手達。
挨拶もロクに出来てなければ、証券の基礎知識すらロクになかった。
でも彼らはたった半年で変わってくれた。
そのほとんどがプログラミングまで身に付け、金融知識も少しずつだけどそれなりに話せるレベルには成長してくれた。
難しい相場か続いているけど、光るものを持っているヤツもいる。
コイツらの成長も自分にとっていくつもの喜びを与えてくれた。
どん底から始まった一年だったけど、決して満足出来る一年ではなかったけど、自分らしく前に向いて進んでこれた一年だったと思う。
多くの人に支えられ、背中を押してもらったからこの一年を乗り越えてこれた。
そして仕事ばかりだった自分が人生を楽しむということの大切さに気づくことが出来た一年でもあった。
写真だけではなく、旅行やコンサート、登山、そしてダイビング。
それまでの自分では考えられないほどプライベートな時間もアクティブに動いた。
旅先で目にするものや出会う人々。
生で聴く音楽や歌声が与えてくれる感動。
山の雄大な自然や景色、満天の星空。
そして海の中で過ごした時間。
様々なものに感動することができた一年だった。
とてもつらい出来事だったけどノアとの出会い、そして別れ。
そして今年も多くの人に出会った。
ただ仕事だけをがむしゃらにやってきたこれまでとは違う一年を過ごすことができたと思う。
今年で後厄も終わる(^^ゞ
前厄もきつかった。
本厄はシャレにならないほどきつかった。
後厄はきついながらもそこから立ち直ろうと前に進んだ一年だった。
来年はもっと前を向いて走っていこう。
今日は今井美樹のライブに行ってきた。
どうしても生で聴きたい歌があったから。
昨年末、そして今年初めにとてもきつかったときに何度も聴いた曲。
それまではあんまり歌詞を気にしたこともなかったけど…(^^ゞ
震災後に多くのリクエストがあった曲。
学生の頃は音楽を聴いて、その歌詞にいろんなものを感じたりしていたけど、仕事を始めてからはそんなこともなくなっていた。
でもこの歌には少し励まされたかな。
『PIECE OF MY WISH』
朝が来るまで泣き続けた夜も
歩きだせる力にきっと出来る
太陽は昇り心をつつむでしょう
やがて闇はかならず明けてゆくから
どうしてもっと自分に素直に生きれないの
そんな思い 問いかけながら
あきらめないで すべてが崩れそうになっても
信じていて あなたのことを
本当は誰もが願いを叶えたいの
だけどうまくゆかない時もあるわ
希望のかけらを手のひらにあつめて
大きな喜びへと変えてゆこう
愛する人や友達が勇気づけてくれるよ
そんな言葉 抱きしめながら
だけど最後の答えは一人で見つけるのね
めぐり 続く 明日のために
雨に負けない気持ちを
炎もくぐりぬける そんな強さ 持ち続けたい
それでもいつか すべてが崩れそうになっても
信じていて あなたのことを
信じていて欲しい あなたのことを