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【色々】この半年を振り返って…

長いような短いような前期が終了する。



ディーラーとしては正直過去最低レベルの利益かも(^^ゞ

まぁ、損失限度額低いし、それに合わせてロットも抑えているし、東京時間じゃ動かないし…言い訳になっちゃうかな。



でもマネジメントの部分ではそれなりに大変だったけど成果はあったと実感出来てる。

四苦八苦したり、あまりに時間かかってイライラしたり…色々とあったけど、前に進んでいるということだけは確かだ。



ものすごく密度の濃い半年だった。



アクシア閉鎖が1月。

正直、精神的には疲れ果てていたし、半年はのんびりしたいと思っていた。

そんな中で今の社長と出会い、前に進もうという気持ちになれた。



今は個人としての目標というよりも、今の業界の苦境に道を開きたい、若いディーラー・トレーダーのみんなが夢を持てる業界にしたいという想いで仕事をしている。



様々な試みにもトライをし、業界でもあまり例をみないことでも積極的に取り組んできた。

社長はそんな自分の言葉・行動を受け止めてくれている。

本当にいい出会いをいただけて感謝している。





プライベートでも様々な変化があった。

一つの大きな挫折をした後に、トルコへと一人旅をした。

2週間半のバス旅行。



色んな出会いもあったし、様々なものを感じられる時間だった。

カメラを片手に本当に自分の時間をのんびり過ごした。

十数年振りにカメラが趣味だったことを思い出した(笑)



どちらかというと自分の時間を持つことがあまりなく、時間を楽しむこと、生活を楽しむことが少なかった自分。

がむしゃらに走ってきて、転んで、また起きて、また走って…。

立ち止まって色んな景色を見たり、小さな物事に感動したり、そんなことをおろそかにしていたのかもしれない。



今の会社に入ったのは3月15日。

震災直後の放射能ショックで暴落をしたその日。

転職の挨拶メールを送ることすらはばかられた…(^^ゞ



それから慌ただしい毎日が始まった。

社内の人たちから見たら、外部から来て色んなものをかき回し、ぶっ壊し、無理難題をふっかけてくる面倒なヤツだったと思う(^^ゞ

それでも説明し、話し合い、受け止めて前に進もうとしてくれた。

色々と回り道もしたし、時間もかかったけど、それでも前には進んでいる。

いくつもの証券会社が自己売買部門を閉鎖していく中で、前向きな取り組みが出来ていることに感謝をしたい。



それだけ色んなことやりながら、慌ただしい毎日を過ごしているけど、それでも登山やダイビングという好きなものにも出会えた。

登山は後輩が誘ってくれて富士山に登ったのがきっかけ。

まだ若いころに何度かアルプスとか登って、満天の星空に感動し、すごく好きだった登山。

なかなかやる機会がないまま時間が過ぎてしまったけど、誘ってくれた後輩に感謝だな。



ダイビングは興味はあったけど、なかなかトライするきっかけがなかった。

この歳になって今さら…だけど、とても感動したし、ずっと続けていきたいと思う。



トルコにいって思い出した趣味のカメラ(^^ゞ

今はいつも小さな一眼デジカメを鞄に入れている(こんな小さい一眼を開発してくれたPanasonicに感謝(^^ゞ)。

道端の花や、ちょっと目についたもの、撮りたいと思ったときにシャッターを押せる。



FBで朝に花の写真をアップしてる。

そんなことやるタイプではなかったんだけど…(^^ゞ

なんてゆーか、そんな小さなことや日常を大切にできる自分を忘れないように…。



下期はもっと厳しい局面を迎えるだろう。

もっともっと頑張らないといけない。

でも走りながらでも、一つ一つを見落としてしまわないように、気持ちにだけは少しのゆとりを持って頑張っていきたいと思う。

【日常】サイパン・ダイビングの旅(4日目)

サイパン滞在も最終日を迎えた。
スゲー感動した後だけに潜りたくてしょうがなかったが、飛行機搭乗前の18時間はダイビングは出来ない。

なんで最終日は結局フリーに…。

やることないしなぁ…と思っていたんだけど、ホテルのスタッフの西川君とスグル君のお勧めでとりあえずマニャガハ島へ。

マリン・アクティビティが色々と出来る島。
綺麗だし、サイパンでは結構みんな立ち寄る場所だから、話のネタに行っておくのも悪くないか(^^ゞ

で、一人マニャガハ島へ。

ホテルに迎えの車が来る。
で、海に行ってフェリーかなと思っていたら、迎えにきた彼がしきりに勧めてくるのがバナナボートとパラセイリング。
『オッサン一人でやる気にならねぇっての(-_-;)』
と思っていたら、話をよく聞くとフェリーの代わりにそれで島まで送ってくれるらしい。
しかも島でやるよりかなりお安く(^_-)

『オッサン一人でバナナボートも寒いけど…まぁフェリー待って時間つぶしているぐらいならとりあえずやっとくか…。』

ということで、一人でバナナボートで送ってもらってきました(^^ゞ

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そして島へ。
船着き場のところにある入島料を支払うところの受付のオッサンが…

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オッサン:『一人か?女は連れていないのか?』

おれ:『一人だよ。』

オッサン:『オゥ…。次は連れてこいよ。』

オレ:『(余計なお世話だ…オッサン(-_-;))』

なんてやり取りの後、島に上陸。

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まぁ綺麗な島ですわ。
ビーチも混んでいるかと思えば、ちょっと裏手に回れば救護員はいないけど、一人でビーチを独占できる感じ(^^)

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ガジュマル大樹。この前で写真を撮ると幸せになれるとか…。

そこでのんびりカメラを片手に写真を撮ったり、シュノーケリングしたり、音楽聴いたり、本を読んだり…のんびり過ごしました(^^)

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ただ家族連れかグループ。
そんでもってカップルばっかり…。
確かに一人で来ているオレはレア・キャラ(-_-;)

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さすがに長居はする気にならず、昼飯食ったら早々に引き上げてきました(^^ゞ

『さて、午後はどうしよう?』

と考えていたら、ホテルの料理人のタカさんが

『島内観光どうすか?』

と、連れて行ってくれた。
『観光』というより『戦地跡巡り』って感じかな。

最初は『Suicide Clif』。

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この崖から多くの日本兵が飛び降りた場所。
その崖から『Banzai Clif』も見える。

その後、『Bird Island』に寄った。
ここは日本統治時代は『月見島』と呼ばれていたそうだ。

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日本の統治は第一次世界大戦後の1914年~第二次世界大戦で敗戦する1944年までの約30年間。
1943年8月の時点での人口は日本人(台湾人、朝鮮人含む)29,348人、チャモロ人、カナカ人3,926人、外国人11人。

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その後、最後の司令塔跡に立ち寄り。
ここには大砲や戦車がいくつも残されている。

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そして最後は『Banzai Clif』。

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慰霊碑がいくつも立ち並ぶ。
海の中にも慰霊碑があるそうだ。

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サイパンの戦闘での死者は3万人にのぼる。
ここから飛び降りた兵士はそのうちの1万人とも言われている。

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またここで亡くなったのは日本人だけではなく、日本人に強制的に連れて来られたであろう朝鮮人や中国人も多かったそうだ。
慰霊碑にはそういった人たちを対象としたものもある。

自分の意思や想いとは関係なく、国のために戦い、そして死んでいった人たち…。
生き方を選べる今の時代に生きていることは幸せなことだと思う。
そして生きていることをもっと大切にしていかなきゃと改めて感じた。


帰りはガラパンで降ろしてもらって、お土産もの探しと晩飯。
とりあえず時間もないのでDFSに併設されているHardRock Cafeで生演奏聴きながら晩飯済ませてきました。

ホテルに戻って荷物をまとめ、夜中の便で帰国。

そういえば…

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ホテルがプチホテルってジャンルになるところなのかな。
14室限りでスタッフも少ない。
その分、スタッフとの距離が近くて楽しかった。

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でね、ロケーションも最高で建物が妙に豪勢というか…。
タカさんが教えてくれました。
このホテル、建物はかの村西とおる監督が全盛期に建てたそうだ。

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今は違うオーナーだそうだが、どおりで…(^^ゞ

【日常】サイパン・ダイビングの旅(3日目)

さて、だいぶアガってきた感じのサイパン・ダイビングの旅。
でも残念ながら潜れるのは今日まで…(T_T)

飛行機に乗る18時間前以降は潜ってはいけないということになっており、最終日の19日は潜ることが出来ない。

前日のオブジャンがとってもよかったので、もう一度あそこでもいいかな…と思っていた。
でもとりあえず潜るポイントはスグル君任せで行くことに。
自分のスキルも分かっているし、それがいいよね(^^ゞ


でも朝方、ショップの店長さんが言っていた『グロット』。
それなりのスキルがないと潜れないというので、OWを取ったばかりの自分にはちと厳しいかな…。
話を聞いているだけで、すごく潜りたくなってるんだけど…。


この日は午前にボート・ダイビング2本と午後にビーチ・ダイビング1本の予定。

ボートの方は、女性3人組の皆さんと一緒に。

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ポイントは『ディンプル』と『アイスクリーム』。

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エイが見れることもあるらしいが…(今回はダメでした)。
でもすごく綺麗で透明度も35mぐらいあったかな。

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差し込む光が綺麗でした。
最後にスグル君がちょっとした芸を(笑)




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バブルリングを作って

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追いかけて

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ご臨終(笑)

夜はスグル君と飲みにいくことにしていたんだけど、ご一緒した子たちがみんなノリがいいんでみんなで行くかぁ!ということに(^_-)

でもその前に今回〆の1本が。
ビーチ・ダイビングの予定だし、ボートよりは少し退屈になっちゃうかな…と思っていたんだけど、午後の1本をご一緒する方が全部自前の装備にカメラ機材もゴッツイの持っているようなベテラン・ダイバーさんとの2人。

どこに行くのか…と思っていたら、なんと『グロット』!
それなりのスキルが要求されるポイントなので、今回は諦めていたからスッゲー嬉しかった♪

スグル君が『これだけ潜れれば大丈夫でしょう!』と連れていってくれるように仕組んでくれたそうだ。

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ほぼ崖…。
そこから下に階段を降りて、岩場から入る。

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すごい…

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感動…

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天然のアドベンチャー・ワールドがそこに…

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正直、ちょっと我を忘れていました…


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完全にダイビングにハマった予感…

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スグル君に感謝!


ちょっと上がった後も興奮していたかも(^^ゞ


で、夜は予定通りにABYSSへ。

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みんなで盛り上がりました♪
 

【日常】サイパン・ダイビングの旅(2日目)

今日は午前中にライセンスが取得できる。
つまり午後は講習ではなく潜れるわけで…(^^)

とりあえず午前中はラウラウ・ビーチで講習。
それでも前日のような悪天候でもなかったので、12~13mぐらいまで潜れた。

ようやくダイビングらしい感じに♪

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函館からご夫婦でいらっしゃっているお二方。
奥さんは泳げないのだそうだが、それでも頑張って講習を受けていた。
夫婦で一緒に楽しめるってイイネ!素敵でした(^_-)

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この日はコンパスの使い方を習ったり、コントロールされた緊急スイミング・アセンドとかをやりました。

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一通り講習が終わりショップに戻ってロギング(ログ(記録)をつける)。
で、ようやく頂けましたライセンス!(^.^)

事前学習を選んでいたおかげで、自分は皆さんより一足先に終了。
午後は自由に一本潜れることに。

で、午後はオブジャン・ビーチへ♪
水深17.2mまで潜りました。

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よくみると海底の砂地にはアキアナゴやチンアナゴが群れをなして砂地から顔をのぞかせている。

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ヤバイ…綺麗だった。
岩場を抜けると白い砂地が広がる。
下が白いと太陽の光がすごく綺麗に光る。

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差し込む日の光が神秘的な美しさで時間を忘れて楽しんでました♪
 

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夜はインストラクターのスグル君が紹介してくれたABYSSという店へ。
お勧めの『オクトパス・ガーリック』に

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これまたお勧めの『ガーリック・フライド・ライス』

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そしてお勧めの食べ方。
これをぶっかけて食べる。

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ヤバイ…ムチャ美味しい♪

ようやくゆっくり潜れた嬉しさもあり、初日の凹み振りはどこへやら(^^ゞ
だんだんアガってきたぞ~♪
 

【日常】サイパン・ダイビングの旅

朝から災難続き…(-_-;)

ワケワカランやつにFBで絡まれるわ…。
経由の仁川国際空港で携帯を失くすわ…。

ま、それでもようやく昨晩、夜中の1時過ぎにサイパンについて豪雨の中、車でホテルへ。
丘の上にあるホテルなんだけど、途中山道みたいなとこ通っていくから『どこに連れて行かれるんだろう…。』的な不安の中でホテル到着。

ところが今度はホテルが停電(>_<)
何もできなくてしかたないからとりあえず寝る。
マジでスタートからこけまくり…。
ま、スタートが最低ならこっから良くなるだけでしょ(笑)

目が覚めたら迎えの来る30分前。
大慌てでシャワー浴びて、着替えたら迎えがきた。
慌てて写真を一枚だけ…。
天気はよくないけどロケーションは最高!

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とりあえずすんなりテストは受かった(駆け込みでの事前学習で何とか…)。
受講生は4人。
函館から来たご夫婦と東京から友達と来ている女の子。
友達はライセンス持っているから一人で受講しているとのことでバディに。

あんまり天候には恵まれなかったけど、ちょっとしたビーチ・ダイビングでも気持ちよかった♪
明日の午前にはライセンス取得できる見込みなので、午後から19日の午前まで潜りまくります。

ホテルは昨晩はよくわからなかったけど、丘の上で海が綺麗に見える。
すごいいいロケーション♪
一日でもいいから晴れてくれたらゆっくり写真撮りたい。

で、夜はガラパンにでもいって飯食おうか迷ったんだけど、結構疲れてるからホテルで食事。

ロコモコを作ってくれました。
明日の朝飯用のサンドイッチも用意してくれるって(^.^)

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【ビジネス】日本の運用者が進むべき道とは(MarketForum第一回セミナー⑥)

かなりキツイことを書いてきましたが…(^^ゞ



自分はマーケットが大好きです。

そしてこの仕事に誇りを持ち、感謝しています。



自分は学生の頃、どちらかといえば落ちこぼれでした。

そんな自分が必死に頑張って、それなりになれたのもこの大好きなディーリングという仕事に出会えたおかげでした。



今、その仕事が急速にしぼみ、一部には絶滅危惧種と揶揄する人までいる状況に陥っています。

でも地場証券のディーリングって、実はすごく価値のある存在だと思うのです。

お金もない、実績もない、そんな若い人材が運用の世界に挑戦する最初のステップとして残すべきものだと思うのです。

実際にそれを足場にシンガポールに渡って成功している運用者もいます。



デイ・トレーダーになるにはそれなりの資金が必要。

運用会社やヘッジファンドが未経験者の採用・育成をどこまで積極的にするか…。

運用者を目指す若手たちにとっての登竜門としての存在が必要だと思うのです。

広いすそ野があってはじめて世界に通用するような本当の成功者が生まれてくる。



日本には世界有数の個人金融資産があります。

その受け皿になるような国内ヘッジファンドは非常に少ない。

それを担っていくような運用者が育つ土壌を残していかなければいけない。



人のお金を預かり、それを運用し、その信頼に応えうるプロフェッショナルな運用者を。

そのためには知識・経験・モラル…様々なものを学び、身につけていく必要がある。



海外ではアーケードと言われるものがあったり、様々な形でそういったものが存在します。

日本でもプロップハウスと呼ばれる会社があり、頑張っていらっしゃいますが、高騰する成功報酬にかなりビジネスとしては苦戦されているところが多いように思います。



今、運用ビジネスの在り方、これからを真剣に考えて変えていかなければ、日本はいつまで経ってもこの個人金融資産という日本の資源を活かすことは出来ないでしょう。



厳しいことばっかり言ってますが、自分には大切な後輩や部下、仲間がこの世界にいっぱいいます。

最近ではTwitterやブログを通じて専業ディーラーの人たちとの交流も少しずつ増えてきました。

彼らは本当によく勉強しているし、いい『眼』を持っています。



環境は厳しいですが、そんな中でも彼ら20代~30代前半にかけての若手達が将来を夢見れるようなファンドビジネスの土台をしっかりと作っていきたい。

それはファンドを取り巻くビジネスの活性化につながり、いずれは日本がアジアの金融センターとしての地位を取り戻していく…そんな未来を描きたい。

諦めず、投げ出さず、根気よく、一歩ずつ…でも少しずつでも近づけていきたい。



そう心から願っています。

【ビジネス】日本の運用者が進むべき道とは(MarketForum第一回セミナー⑤)

そんな厳しい環境の中で日計りやってりゃ厳しくなるのは当たり前。

でもそんな中でもそれなりに稼げているみんなって実はすごいんじゃないかと…(^^ゞ



値動きのない市場で値動きを取りにいく手法で売買していること自体がアホらしいのは確かですが、もっとボラティリティのある市場にいけば恐らくかなりリターンを出す力を持っているディーラーは結構いるんじゃないでしょうか。



実際に値動きが活発なときは、ほとんどのディーラーが大きな収益を上げています。当たり前っちゃあ当たり前なんですが、大事なことは一つの市場に依存せず、より効率的に収益を上げやすい市場を選択できる環境を持たせること。





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まずは運用手法の多様化。

とりあえず今出来ることから…となると、夜間の取引体制がない中では大きなデルタ・リスクは取りづらい。なのでロング・ショートなど、デルタに依存しない手法が一つ。



オプションによるストラテジーもやりたいんですが、これは管理部門の知識向上が不可欠なので、正直時間もかかるしかなり難しい。でも90年代とかバンバンやっていたんですけどね。しっかりとした管理体制と知識を持ち、ガンマ・リスクに対する理解がしっかりあれば、本来は積極的に活用すべき商品だと思います。だって動かなくても儲けられる貴重な商品なんですから…(^^ゞ



次に時間軸の多様化。

これは今、一生懸命取り組んでいますが、夜間をもっと活用できる体制を構築すること(ウンザリするほどハードルは多いけど)。これが出来れば、短期運用でも値動きのある夜間で勝負できます。さらにオーバー・ナイトでデルタを傾けることもしやすくなる。それは日本市場の方向性の回復にも多少は寄与するでしょう。

夜間の売買が可能になれば、デイ・エンドでポジションをゼロにしなければならないということもだいぶ緩和されるので、デルタ勝負でもトレーディング・スパンを伸ばしていくことができます。



そして運用対象商品の多様化。

最終的にはここまでいきたいと思うのですが、海外の指数先物、個別株などもやれるようにしていきたい。外貨建てという壁はありますが、越えられない問題ではない。実際に90年代はS&P先物とかやってましたから…(^^ゞ

さらに進んでリスク・カテゴリーの異なる商品も出来るようにすべきだと思っています。ただここまで踏み込むには証券自己では難しいかもしれませんね。



実はこれらは2007年に自分が当時所属していた会社に『ディーリング部改革案』として提出していたものです。


これに加えて、証券自己であるがゆえに機動性を確保できないのなら、運用子会社化、ファンド化も含めて検討すべきだとそこには最後に書き加えました。

当時は2006年に稼いだ貯金がガッポリあったんで、上には危機感もなく、結果として無駄に時間が流れ…。





どんな企業でも研究開発投資はしています。常に時代は変わり、環境は変化していきます。日系証券の多くが、その努力を怠ってきました。安易に稼げるやつを好条件で引き抜いて、腕のいい奴を集めることにばかり。確かに運用で重要なのは人材です。頭数揃えたって意味はない。質の高い運用者をいかに確保できるかは重要です。ただその一方で、優秀な人材を育てることも中長期的にはそれ以上に重要だということだと思います。



そして育つ環境もとても重要です。自分は今の部下たちに出会ったとき、正直愕然としました。一年以上ディーリングやっていて(運用の最前線にいて)、PERもPBRもROEも説明できない…。呆れるというより悲しくなりました。若い子たちが運用のプロになるべく学ぶ場ではなく、テレビゲームの延長線上もしくは職人的なテクニックばかりを覚え、資本市場の基礎すら知ろうとしない。そして教えようとしない。これでは未来を担う運用者は生まれていきません。



『新しいことをやるお金がない。』



しょっちゅう耳にするマネジメント・サイドの言い訳です。今、自分のところでは夜間取引体制の構築を進めています。これには初期投資・維持費用ともにかかっていません。インフラ利用料としてブローカーさんに上乗せの手数料をお支払いしますが、それもブローカーさんのお力添えで最小限にすんでいます。



でもね、2006年前後とかディーラーが元気良かった時の話ですが、自分だって月1億~2億の利益上げてましたし、みんなすごい稼いでいたと思うんですよ。そのお金どーしたんですか?



新しいことをやろうともせず、知ろうともせず、ただ漫然と過去に稼げた手法に依存して、相場が改善することをただ願っているのはマネジメントではないと思います。

もちろんプレーヤーであるディーラーの責任は大きいですが、証券自己がここまでひどい状態になった根本的な問題はマネジメントにこそあるのかもしれません。



ディーラーは所詮兵隊です。ここで戦えと言われればそれに従うしかない。ただ明らかに戦況が不利な場所で戦わせ続けたのはマネジメントの問題です。市場の変化、環境の変化に適応できるよう、会社の管理体制や規則を変え、必要に応じてシステム投資(お金かけなくても工夫ひとつで何とかなるものもあります)を行い、運用の機動力を確保すること、それがマネジメントの責任ではないでしょうか?



まぁ、東証上場したら廃業する前提であるなら、そんな必要はないかもしれませんが…。





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だからといってディーラーに責任がないわけではない。ここ10年ちょっとの間、成功報酬ばっかり要求してきた。20%程度ならいざしらず、30%、40%、なかには50%超なんてワケ分からない水準を平気で正しいと勘違いしてきた。



それが正当化されているのは、中小証券だけです。ヘッジファンドであれば高くても20%。実際に運用者レベルでは一ケタも当たり前。外資系のプロップも概ね一ケタです。



成功報酬はあくまで自分の取り分。年間5千万円しか儲けられないディーラーがいて、それでも40%の成功報酬があれば年収2000万円。すごいですね。でも運用者として本当にすごいのかどうか?



正直、運用者としての収益水準としてはとても一人前と呼べるレベルではないと思います。自分は部下たちに月1千万稼げれば一人前だと言ってきました。外資系や海外ファンドならもっと水準は高いでしょう。

その程度の運用者が自分の取り分を増やすことに執着し、結果、会社は利益を削られてディーリング自体がビジネス・モデルとしては崩壊してしまった。

全員が儲かるような簡単な上げ相場じゃなければ利益が残らない会社が多いのではないでしょうか?



自分も時代の流れに乗って、成功報酬高騰の恩恵にあずかったプレーヤーの一人です。でも6年ぐらい前にある水準以上の提示を受けた時に断ったことがあります。人のお金で人のリスクでそれ以上の報酬を受け取るべきではないと思ったからです。そして今の会社に入る時も提示から10%減額してもらいました。



朝、寄り前にきて、引けたらすぐに帰って飲んで好き勝手やってる。相場の知識もロクになく、海外市場や経済の動きなどを知り、学び、研究し、考えるという当たり前の努力をしてこなかった。そして運用者として大したレベルでもないのに報酬ばっかり要求する。

挙句、大きな損を出したまんま会社をやめて、他社に移ってゼロからのスタート。そんなモラルの欠片もないようなディーラーも多数いました。

これではマネジメントも管理部門もみんな力にはなってくれません。

ディーラーが動かしている資金は自分の給料のためにあるのではなく、会社(投資家)のためにあるのだという根本を忘れているんでしょうね。




そんなに好き勝手やりたけりゃ、自分のお金でやるべきでしょう。

デイ・トレーダーとして。

でもそんなデイ・トレーダーの方がよっぽど勉強してるヤツが多いのも確かですけど(^^ゞ




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証券ディーラー(プロップ・トレーダー)やファンド・マネージャーは人のお金を預かり、それでリスクを取り、リターンを上げる仕事です。

これは仕事であり、遊びではない。

そして仕事である以上、我々はプロフェッショナルでいなければならない。



ある相場解説者の方と、飲みでご一緒したときに言われました。



『ディーラーってレベル低いよね。』



正直、悔しかったですが、全く否定はできませんでした。

新聞も読まず、記者のコメント鵜呑みにして、自分で相場を考えない。

基本的な知識すらない。

欧州の株価指数を知らない。

株価指標を知らない。

もちろん自分で研究することもせず、人がいいといったものを見て、あとは板カン頼み。

確かにとてもプロとは言えません…(-_-;)



少ない利益の取り分を増やすことよりも、利益自体を増やし、投資家(会社)を幸せにし、その報酬として収入を得る。そんな当たり前のことすら、分かっていないディーラーも少なくなかったと思います。



でもそんな中でも懸命に学び、研究し、戦っている連中もいます。

今回のセミナーに足を運んでくれたみんなはきっとそんな意識を持った連中だと思っています。

そしてそんな中から将来を担うプレーヤーが出てきてくれると願っています。



そのためには証券自己という選択だけではダメかもしれません。

運用会社への転職をしている元ディーラーとも何人か会いました。

ファンドとして独立した友人もいます。

今は個人投資家(デイ・トレーダー)になる人が多いですね。

それが一番楽だし、合理的ですから。



今、ディーラーもマネジメントもこの10年の誤った道を改め、自身を変えていかなければなりません。



資金運用とは何なのか?

それをビジネスとして成立させるためにはどうするべきなのか?



今、変わらなければさらに多くのディーリング部門の閉鎖が起き、自主廃業も相次ぐことでしょう。

それはそれで仕方のないことですが、古いものが淘汰される過程で新しいものを生み出していかなければ、雇用は失われ、活力は低下し、日本の運用・金融ビジネスは本来持っている力を取り戻せないでしょう。



運用をビジネスとして成立し、発展させるためにはこのままではいけないと感じています。

金融庁でも新しい投資運用業のスキームを法制化しようとしています。



アジアの金融センターになっている香港、シンガポールの環境や運用業に関する法律と日本の運用業に関する法律などをまとめた資料を参加者には配布しました。十分ではありませんが、外資系証券の友人などが力を貸してくれて要約したものです。





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ディーリング部門の閉鎖・撤退が相次ぐ中で、新しい道を模索することも必要になるかもしれませんから…。

【ビジネス】日本の運用者が進むべき道とは(MarketForum第一回セミナー④)

なんでこんなに日本市場(日本時間)動かなくなっちゃったのでしょうか?



自分はそこには様々な要因が絡んでいると考えています。

『市場の成熟』という面もあるかもしれません。

ただ日本の市場のそれだけの価格形成機能があるのならば、これほど毎日のようにギャップアップ・ギャップダウンにはならないでしょう(^^ゞ

海外市場が価格を決定し、それに追随して寄り付いたあとはこう着…これは『市場の成熟』ではなく、『主体性の喪失』だと私は感じています。



フォト



①今、市場を動かしている要因が欧米にあるから。



というのも一つでしょう。

しかし、それだけだと思ったら大きな間違いだと思います。

もっと根の深い、構造的な問題にしっかりと目を向けておかないと、日本の証券市場の活性化はとても実現できないでしょう。



日本時間の値幅の低下は2006年頃から始まっています。

その頃から、日経平均株価が上昇であれ下落であれ、1500円程度動いたときに、日本時間で生まれた値幅は大体200円~300円程度。



板は厚くなる一方なのに、出来高は増えず、値幅も出ない。



ちょうどその頃、日本では株ブームが発生しました。

株で儲け話があちこちで聞かれ、本屋には『100万円を1億円にした』とか、『絶対儲かる』とか、派手な文句が帯に書かれている本が並び、若い子たちが一攫千金を夢見て、デイ・トレーダーになったり、ディーラーになったりしました。



その多くが『日計り』という短期手法に偏った運用を選択し、結果として日本市場(時間)にはそういった短期運用者があふれかえったのです。



買ったらすぐに売ることしか考えない。



明日の相場、一週間後の相場、これからの相場がどうなるかなんてたいして考えもせず、わずかな時間に利益を確保するというやり方の市場参加者がかなり増えたのです。



結果、みんなで隙間を奪い合うような構図が目立つようになり、日本時間にトレンドは生まれづらくなりました。

たまに値幅(トレンド)が出るときは、某欧州系証券からCTAとみられる大量の先物買いや売りが入ったときだけ…なんて状態になったのです。



そしてそこにHFTの台頭。

彼らこそ究極の存在。マーケット・メイクと称してオーバーナイトではポジションを持たないし、日経平均株価の水準も気にしなければ、今後どうなるかなんて考えない。いわば装置産業ビジネス的な運用手法の持ち主です。

そして東証も大証もこぞってそういった運用者を日本市場に引きこんできた。



②市場参加者の運用スパンが短期(日計り)に偏ってしまっている。



いわゆる機関投資家もパッシブ運用が主流であり、積極的にリスクを取りにいくところは減りました。

そして銀行や企業の保有株比率は低下し、現在、日本市場の主役は海外投資家です。投資主体別売買動向をみれば、概ね50~60%超が海外投資家に占められています。



海外投資家といっても、日本の運用者がシンガポールや香港に渡って行った売買も含まれているので、純粋な海外投資家はもうちょっと少ないとは思いますが(^^ゞ



ただ外資系証券注文動向や投資主体別の売買動向から、市場の方向性を生み出しているのは外国人投資家であることは間違いありません。彼らが買えば上がる、そして売れば下がることが圧倒的に多いのですから(部門別でみると相関係数が高い)。



日本は実態経済においてもそうなってしまっていますが、外需依存になってしまっているのです。

問題はそのグローバルな運用を行う海外投資家にとって、日本市場の存在自体がかつてほど重要ではなくなってしまっているという点にあります。



かつて日本の市場は米国株式市場に次いで重要な存在でした。

しかし、世界の株式市場において、かつての主要市場の占めるシェアは低下の一途をたどっています。

アジアにおいては中国株式市場の成長、そして相対的な日本市場の低迷。



結果として、日本市場は彼らにとってリバランスの場に過ぎなくなってきているのではないかと感じています。

欧米市場が動き、それに合わせてある程度リバランスは行うものの、アクティブに参加するべき市場とは考えていない。



そんな資金に方向性を依存し、しかも彼らにとっては夜という時間帯が日本時間なのです。



③外国人投資家への依存度の高まり



そしてもう一つ。



④相場に逆行した運用を行う年金や日銀の存在



年金は元々逆張り主体です。株価が上がり、ポートフォリオ全体に占める株の比率が上がれば売り、下がれば買う。しかも今は資金流出の主体なのでどちらかといえば売り主体。



そしていつも話題に上る日銀のETF買い。

一定以上(▲1%以上が目安と言われていますが…)、下落すると株(日経平均株価やTOPIX連動型)のETFを買い、相場を支えようとします。



相場の方向性に対して大きくポジションを傾ける大きなフローがあまりない中で、相場のトレンドにはっきりと逆らう投資主体がいて(特に彼らは目先の損益など一切気にしない…)、残りが短期運用者ばかり…。



ちょっと極端な言い方をすれば、そんな構図になっているのが日本の株式市場なのです。

もっと株式投資・運用を学び、ゲームの延長線上ではなく、市場に参加する人が増えればもっと変わってくるかもしれません。

日計りに偏った参加者が、少しでも『相場を取る』参加者になっていってくれれば、もう少しトレンドが生まれてくるかもしれません。



投資に対する教育から、様々な取り組みをしていかなければならないでしょうが、日本市場を主として参加する参加者をもっと増やしていくことも必要でしょう。



韓国市場を一度見てみてください。

先物もオプションも個人の活躍が目立ちます。

そしてボラティリティもそれなりにある。


日本市場がもっと活気のある市場であって欲しい…この市場で育ってきた運用者の一人として思う今日この頃です。

【ビジネス】日本の運用者が進むべき道とは(MarketForum第一回セミナー③)

『日本市場(日本時間)は動かない。』



市場参加者の多くが感じているこの状況。

実際のところどうなのでしょうか?





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このチャートは6月20日~8月19日までの日経平均株価の推移を示したものです。

6月20日の日経平均株価の終値9354.32円を起点(0)として、そこからの価格の変化を示しています。

終値ベースでみると、7月8日には10137.73円まで+783.41円上昇し、そこから下落。

8月19日には8719.24円まで下落し、6月20日との比較では▲635.08円、高値比では▲1418.49円の下落幅となっています。





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次に示したチャートは同じ期間のCME日経平均先物の値動きです。

これは同日の日本時間の終値9410円を起点(0)として、日本時間を除外した値動きをプロットしています。

欧州時間~米国時間の値動きだけを示しているものになります。

高値は7月8日早朝につけた+575円。

その後の下落では▲940円の下落となり、その値幅は▲1515円となっています。

値幅・値動き共にほぼ日経平均株価の推移と合致していることが分かります(若干上回っている)。





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そしてこのチャートが日本時間のみの値動きを示したものです(前日比のギャップアップ・ギャップダウンは調整しています)。



高値はなんと8月11日につけた+430円。

安値は▲40円で、これは6月21日につけたものです。

値幅は合計でも470円にとどまっています。

注目しなければいけないのは安値をつけたのが相場が上昇局面中の6月21日であり、高値をつけたのが8月11日の相場急落時であったということ。

つまり世界的な市場全体の流れとは逆にザラ場は動いているということになります。



この時間帯に市場のトレンドに従ったポジションを取ってもほとんど利益にはならないということになります。

そして値幅も非常に狭く、夜間の半分もあるかないか…。

そんな中でディーラー、デイ・トレーダー、HFTが板を奪い合うという構図になっているのが現在の日本の株式市場の実態です。



こんな状況で『日計りで収益上げろ。』というのはかなり非効率な話。

じゃあ『オーバー・ナイトすればいいだろ。』と相場の怖さを知らない人は簡単に言ってくれるかもしれません。



よく考えてみてください。

相場においては誰しもが(判断の)間違いを犯します。

昼にこれほど動かない半面、夜にこれほど動かれてしまうのです。



オーバーナイトで勝負しにいって、その判断が間違えていた時…。

我々、日系証券のディーラーのほとんどが指をくわえて見ているしかないのです。

みるみるうちに膨れ上がる損にただ呆然と…。



そもそもオーバーナイト・リスクを与えておいて、ヘッジ手段を与えていないこと自体がリスク管理上おかしいとは思いませんか?



そして日中の日計りだけでは収益機会が激減している今、結果としてディーラーのみんなは苦しみ、自信を失いつつあります。

現在のような値動きに乏しいこの国の市場で値動きを取りにいく手法で利益を上げようとしているのです。苦しむのは当たり前。



しかし、会社は『損を出すな』とばかり言い、リスクは取れない。だから日計りで戦うしかない。(ヘッジ手段のない)オーバーナイトではリスクが大きいから。



そして運用手法の多様化も進まず、旧来の一カイ二ヤリだけを続けてきた。

いずれ稼げなくなることが分かっていても…。





ではなんでこの国の市場がこんなに動かなくなっちゃったのか?

それを次に考えてみたいと思います。

【ビジネス】日本の運用者が進むべき道とは(MarketForum第一回セミナー②)

かつて証券ディーラーはその圧倒的な環境の優位性を持っており、それによって多少ヘタクソでもそれなりに稼げてしまいました(言い方悪いですが…でもホントにヘタクソだとさすがにダメですよ(^^ゞ)。



個人であれ、法人であれ、顧客は証券会社の担当者に電話をして、注文状況(バイカイ)を聞き、それから注文を出す。



一方で、証券自己はどんなに遅いシステムであれ、リアルタイムにバイカイを見て、自分の指で発注すればよかった。



つまり判断してから実際に発注するまでの時間はかなり優位な状況にあったといっていいでしょう。

今、思えば…儲かって当たり前だったのかもしれません。



それが時代の変化によって変わってきました。



インターネットの普及、ネット証券の台頭、システム(DMA)の発達…。

これらが証券自己の優位性を喪失させ、個人でも法人でもヘッジファンドでも証券自己とほぼ同等の情報を見て、判断し、遜色ないスピードで発注できる。



さらにはコロケーション(取引所に併設されたサーバー)やプロキシミティなどを活用して、資金力のある外資系や海外ファンド、HFTなどはディーラー以上に高速な環境を手にしました。



ミリ・セカンドからマイクロ・セカンドの世界へ。



我々が見ている価格情報はすでに過去のもの。

取引所のサーバーから配信され、我々の端末に表示され、それを認知するまでの間に、コロケーションに置いてあるプログラムは先回りで動いてしまう。



そして市場には隙間がなくなり、板カンや一カイ二ヤリといった旧来の手法は通じなくなっていった。



まず理解しなければいけないのは我々ディーラーを取り巻く市場環境が変化したのだということ。





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そして問題になってくるのは…



その市場環境の変化に対応することが出来るかどうか。



よくアローヘッドやJ-GATEのせいで儲からなくなったというディーラーや経営者の方の声を聞きます。

儲からなくなったのをそれらのせいにするのは明らかに間違い。



時代の変化、技術の進歩とともに市場は変わります。

そしてシステムを高速化することで、高頻度売買(HFT)などに対応し、出来高を増やしていこうと国内取引所が行動することは、世界の取引所の状況から見ても遅かったぐらいです(ただシステム変更に伴う会員証券の設備投資負担についてはもっと取引所は考慮すべきでした)。



そのせいで儲からなくなった…ということは、環境の優位性がなければ儲けられないと言っているようなものです。



システムを変えた取引所に文句を言う前に、その変化に対応すべく自らを変えられないことが問題だと認識すべきでしょう。



一方で、実際に自らを変えることが出来るものなのか?という根本的な問題もあります。



日系証券の多くは呆れるほど保守的な管理体制、リスク管理、コンプラ管理に支配され、汎用性のない高コストなシステムに依存しているため、新しいことがほとんど出来ないという面もあります。



例えば、一銘柄あたりのロスカット・ルール。

ある会社では一つの銘柄を買って評価損が▲10%に達したら強制的にロスカットするというルールがあります。

確かにその銘柄が上がると思って、ただその銘柄を買うという行為をした場合(デルタを取りにいく運用に対して)はそのルールには合理性があります。



しかし、ロング・ショート(異なる銘柄の売りと買いを組み合わせる)など相場の方向性ではなく、それぞれの銘柄の割高・割安を取りにいくような運用をした場合にそのルールは適合しなくなります。



片方の銘柄で▲10%損失が出ていても、もう一方の銘柄で△15%の利益が出ていたらどうでしょうか?

ロスカットの対象になるのはおかしいですよね?



運用手法は様々です。地場証券が伝統的に得意としてきた一カイ二ヤリなど、そういった手法の一部に過ぎません。

でもそういった管理しかしたことがないから、ルールの変更もままならない。



結果、▲10%に達する前にクロスを振ったり、無駄な執行をして対処してまで頑張っている若手が何人もいます。





もう一つは夜間取引。日系証券のほとんどが夜間の売買に対応していません。しかし、外資系証券の多くは認可を受けたトレーダーは在宅でも売買可能です。金融庁の検査マニュアルには『在宅ディーリングはこうあるべき』という記述が明文化されています。なのに在宅ディーリングは出来ないと決めつけている。結果、日計りに偏った運用になり、昔からの一カイ二ヤリから脱却できなくなっている。



こんな話は呆れるほどいっぱい出てきます…。

外資系の人と話していると、『そんな環境でよくやってるねぇ…。』を同情されるような状態なのです。



過剰な管理・規制によって手足を縛られた状態で変化への対応を柔軟に出来ないまま、時代の変化の波にされされてきた。



それが日系証券の現実です。



結果として、ディーリング部門での収益は低迷し、アローヘッドのせいで儲からなくなったと経営者は諦め、そして撤退・閉鎖。運用をビジネスとして捉え、今後発展させていくという強い意思を持った日系証券の経営者はごくわずかです。



今、日本の市場は非常に『寒い』状況にあります。

そんな状態の市場で『日計りで稼げ』ということがどれほどナンセンスなことなのか…それを次回示したいと思います。

プロフィール

tetsu219

Author:tetsu219
元証券ディーラーです。
二十数年ディーラーやって、シンガポールにも一時期行ってヘッジファンドを立ち上げてみたりと色々やってきて、とある証券会社でディーリング部長になり、今はシンガポールでヘッジファンドの設立・経営をやっています。

基本仕事ネタです。
更新は気が向いたときだけ(^^;
でもこのブログを通じて運用を志す若い世代の人たちに何か伝えられること、その一助になればと思っています。

初期は限定記事にしていましたが、今は開き直って全部公開にしてますのでお気軽に(笑)

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