【ビジネス】密度の濃かった長期出張~日本の投資や運用の課題
2ヶ月半と長期に渡った出張も最終日を迎えようとしています。
本当に密度の濃かった滞在期間でした。
本来ならば、3月末には帰国する予定が、それまでの間に立ち上げてしまったプロジェクトが複数あったりしたこともあり、それが流れに乗るところまではいた方がいいという判断で延長。
気づいてみれば桜の季節も終わってしまいました。
今朝の日経の記事です。
ホントそう思います。
世界トップレベルの個人金融資産を持つこの国。
なのに資産運用ビジネスは外資系に席巻されていて、圧倒的に負けてしまっているのが実状。
「運用」「投資」でお金を儲けることをよく思わない国民性もあるのかもしれません。
製造業で高度成長を実現してきた国だからこそ、かもしれません。
何かを生み出すわけではなく、お金を右から左に動かすことで利益を得るなんて…という言い方をする方もいらっしゃいました。
バブル崩壊以降、その製造業が海外企業との競争の中で苦境に陥ってきた。世界で圧倒的なシェア、強さを見せていた日本の電機メーカーも外資に買収されたり、淘汰の中で苦しんできました。
これからの時代、金融や資産運用を否定するのではなく、その必要性を理解し、受け入れていく必要があると思っています。
個人金融資産2000兆円ともいわれるこの国で、その資産が資源として活かされたとき、この国はまだまだ世界のトップレベルで戦える潜在的な力を持っていると信じています。
この10数年の個人投資家の水準向上は著しいものがあります。
ネット証券が投資や運用を身近なものにしたこと。
それをけん引してきた著名個人投資家の人たちがいて、そこで興味を持ち、憧れを持つ若い世代がさらに増え、すそ野が広がっていった結果でしょう。
人材は決して世界に劣ってはいないと思います。
お金という資源があり、人材もいる。
それを資産運用ビジネスとして、繋げていくことが重要であり、そして困難な課題でもあるのかもしれません。
実際に「貯蓄から投資へ」「老後2000万円問題」といった言葉に煽られて、投資をしなきゃ、資産運用をやらなきゃという危機感や興味を持つ一般の方々。
それが無登録のポンジスキーム(詐欺行為)に簡単に引っかかり、事件化することも相次いでいます。
ここに金融庁が無登録業者の一覧を掲載してくれています。
本来ならば登録されていない業者の時点で、警察の管轄になるのでしょうが、金融庁もこういった取り組みをして金融詐欺や投資詐欺を防ごうと取り組んでくれています。
この業者すべてが詐欺とは思いませんが、無登録で金融業を営んでいる時点で法律に違反している行為になります。
そういった業者に大切なお金や資産を預けることのリスクを理解しておいてほしいと思います。
こちらが日本国内で正しくライセンスを受けて金融業を営んでいる業者になります。
大切なお金を預けるのであれば、そういった法律をしっかりと順守している金融機関や運用業者にお金を預けるようにしてください。
念のため、ウチのような外国籍の運用会社はそれぞれの地域の金融当局の免許、認可や登録を受けて業を営んでいます。
ただ日本国内で販売や勧誘を行えるのは、あくまでも上記の一覧の中にある日本で登録を受けている業者のみとなります。
ただ日本国内で販売や勧誘を行えるのは、あくまでも上記の一覧の中にある日本で登録を受けている業者のみとなります。
”大切なお金を預けるならば、法律を守って金融業・運用業を営んでいる業者に預けること”
こんな当たり前のことすら、まだ日本の一般の方々は理解が行き届いていない状況なんです。
そりゃそうですよね。学生や一般の人が「金融商品取引法(金商法)」なんて知らなくて当たり前ですから。
正直、こういったポンジスキームなどを野放しにしていると、「投資や運用の話って詐欺ばっかり」というレッテルを貼られかねないと危惧しています。
これは政治、官公庁、業界がしっかりと連携して取り組んでいかなければいけないと思います。
実際にヘッジファンドの経営とかやっていて、欧米の投資家や同業他社の方と会ったり話す機会も増えました。
日本の運用業者はだいぶ格下に見られているなぁと感じる場面も何度かありました。
世界で活躍されている日本人の方もごくわずかですがいらっしゃいます。
でも前掲の日経新聞の記事にあるような国内大手資産運用会社ですら、世界では大きくその順位を落としています。
和製ヘッジファンドなんて…悲しいぐらいに差があるのが現実です。
グローバルの大手プラットフォーマー、マルチマネージャーのところから、運用者を常に引き抜きされる圧力にさらされながら、なんとか踏ん張っているってところでしょうか。
国内でヘッジファンドに投資することが出来たとしても、ほとんどの場合が「私募投資信託」です。
国内でヘッジファンドに投資することが出来たとしても、ほとんどの場合が「私募投資信託」です。
個人投資家保護の観点からしかたのない面もありますが、その存在を知ってもらうことすらままならない。
そうなってくるとなかなか難しいですよね。
公募まで一気にやろうと思うと要件やハードルも厳しいので、ブティック型や規模の小さい運用会社ではなかなかクリアできない。結果、ヘッジファンド投資に慣れていて、チケットサイズ(投資金額)の大きな欧米の投資家などが、ヘッジファンドにとってはより効率的に大きくなるために必要な投資家としての対象になってくる。
日本の投資家は総じて保守的な姿勢の方が多く、いわゆるベンチャー投資的な姿勢で設立間もない運用会社に投資してくれるところはあまりありません。大手なら安心というところでしょうか。運用資産のごく一部でも、運用業界の育成・発展という面から、そういったこれからの可能性を持つ運用会社に投資してもいいような気もしますが。
自分はごく一部ですが、幸運にもそういった姿勢を持った日本の投資家にも出会うことができました。そういった方々のお陰で現在があると思っています。
それでも運用額の大きな年金などに投資対象としてもらうためには、ある程度までAUM(運用資産残高)を増やさなければならない。そこにいくまでがイバラの道だったりします。
個人金融資産という資源と、運用者の人材育成、それを取り巻くビジネス環境や人材、それらをどう繋ぎ合わせていくか。
自分に出来ることは、日本で失われてきた「運用者を志す人材が、その未来に挑戦できる場所」を守り、「次世代の運用者を一人でも多く育てる」ということぐらいだと思っています。
その未来をより大きなものにするためには、彼らをサポートしてくれるような方々、投資家の方々、様々な方のサポートが必要になります。
その未来をより大きなものにするためには、彼らをサポートしてくれるような方々、投資家の方々、様々な方のサポートが必要になります。
それが小さな取り組みであったとしても、それを見つけて投資しようとしてくださる投資家にも出会えましたし、そういった取り組みを支えようとインフラ・ストラクチャーのサポートをしようと取り組んでくださる方々にも出会えました。そしてこれからこの世界に挑戦しようという若者にも何人か会うことができました。
今回、この滞在期間中に若手の懇親会を開いたり、後輩のディーラー達とも飲みにいったりしてきました。
そういえば大学の投資サークルの学生さん達とも飲みましたね。
そういった若く、運用者としての未来を志す人材こそが、この業界の財産なんだと思います。
彼らの成長や成功を支えていけるよう、おじさん達なりに頑張らないといけないなと心を新たにした出張期間でした。